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カテゴリ:読書
婀娜として おお たをやかの魔女、きみが 若さを飾る種々の色香を われは 語らむか、 子供らしさと 爛熟の 融けて凝りたる きみが美を 描きてきみには示さむか。 廣き裳裾も寛闊に 風を孕みて行く時は、 帆を滿々と高く張り、沖を目差して滑り出て、 緩く、懶く、心地よき 律動のまにま ゆらゆらと揺ぐ晝舫をさながらに。 頸は 太く 圓らかに、肩 むつくりと肥り膩、 異様ながら優雅なる頭を擧げて誇らしげ。 悠々と また 昂然と 道行く きみの貴すがた、氣位高き童女よ。 婀娜として おお たをやかの魔女、きみが 若さを飾る種々の色香を われは 語らむか、 子供らしさと 爛熟の 融けて凝りたる きみが美を 描きてきみに示さむか。 玉蟲色の衣の覆ふ 胸 たかだかと盛り上がり、 乳房のあたり 誇らしく、譬へば 楯の 光彩を 陸離と放つ如くなる 色鮮やかに膨らめる 飾戸棚の鏡板。 乳首の鋲も薔薇色に鎧ひて 挑みかかる楯、 人の心も腦髄も 狂ひ亂さむ 葡萄酒や、 馨や、酒や、ありとある めでたきものに充ち満てる 甘き秘密の飾棚。 廣き裳裾も寛闊に 風を孕みて行く時は、 帆を滿々と高く張り、沖を目差して滑り出て、 緩く、懶く、心地よき 律動のまにま ゆらゆらと揺ぐ晝舫をさながらに。 裾をさばきて行く脚の 裾に隠るるあてやかさ、 心の奥の仄暗き清炎を唆り掻き立てて、 たとえば 深き甕の中に 黒き媚薬を煉り合はす 魔法使の巫女二人。 腕は、巨人の早熟の子と戯るるにふさはしく、 きららに光る蟒蛇の力に適ふ逞しさ、 心の中に 戀人を 刻みつけむと抱きては 身も世もあらず抱き緊む。 頸は 太く 圓らかに 、肩 むつくりと肥り膩、 異様ながら優雅なる頭を擧げて誇らしげ。 悠々と また 昂然と 道行く きみの貴すがた、氣位高き童女よ。 ボードレール「美しき船」 ――――――― …何故か、真っ先に「Nice boat.」という言葉が思い浮かんでしまった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.08.20 10:14:25
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