tartaros 　―タルタロス―

　最近、自分の金銭感覚は少しおかしいのではないかと思った。

　書籍を購入する時は一度に数冊・数千円分も金を使うのは特に惜しくもないというのに、飯を食う時やその他の娯楽に金を使う時には妙に惜しんでしまう。つい先日、８８０円のガンプラを買おうか買うまいか散々に悩んだ挙句、結局カードに溜まっていた数百ポイントを使用して３００円にまで値切ってから買った。
　衣服等に関しては必要な時や欲しくなった時に適宜……という所だろうか？　いずれにせよ、あまり積極的という訳ではない。
　同じクラスのオタク連中の会話に耳をそばだててみた事もある（要するに盗み聞いた）。曰く、彼らは毎月何らかの新作ゲーム購入に自らの資金を使っている。ゲーセンで数千円使う時もあるようだ。その辺の裁量は個人の趣味に多分に基づいているので、他人であるこの俺がとやかく言うべきではどう考えてもないのであるが、彼らのような金の使い方が世の中に存在すると知った瞬間には正直、「引いた」と言わざるを得ない。
　かといって、リア充連のように服飾や髪型――つまりはファッション全般に金をかけるほどの覚悟も無いのだけれども……というか、その点だけという事にも賛同しかねる。勝てるかどかもあやふやなパチンコなんかの娯楽に投資するのも俺の中ではもってのほかだ。

　どこで妥協して、そしてどこに資金を注入するか、そういった点は個人の趣味嗜好や心情・信条に多分に左右されるだろうが、いったい「まともな」金銭感覚というモノがいかなる様相をしているのかは未だに判らない。
　こういった感覚にスタンダードを求める事自体が一種の間違いであるのかもしれないが、少なくとも学生として有効な金の使い方ってのがどうも気になって仕方がないのもまた事実では、ある。