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【中古】文庫 クライマーズ・ハイ【画】 しばらく前に映画化されたんだよね、確か。 見に行ってないけど。 で、『出口のない海』と同じ作者ってのが記憶に残ってる。 今、『出口のない海』のリンクを探そうと思って、 「本棚」を見て来たんだけど、2008年…… そっか、もう3年近く前なんだ……。 『半落ち』も『出口のない海』も、そんなに前に読んだんだ……。 せいぜい1年くらい前のもんだと思ってたから、何となくショック。 月日が経つのって、本当に早いね。 さて、『クライマーズ・ハイ』。 今回は自分自身が揺れる中で読んだから、なかなか辛い読書だった。 自分自身のことで荒れる気持ちをごまかすように読むのは、辛い。 読んでいても没頭できないし、頭に入ってこない。 こういう時にこそラノベって向いてると思うんだけど、 どうしても今、ラノベに手が向いていかない。 頭を使いたがっているんだよね、たぶん。 頭を使いたかがっている、という面ではとても合致した本だった。 1985年、日航機墜落。 当時10歳だった私は、社会的に全く無知だったし興味もなかったけど、 この事件を報道したテレビを見たことは覚えている。 後にも先にもこんな事故は無いだろうけど、そのことを当時の私が知るはずもなく、 あまりにも無残な事故現場の映像に、飛行機事故の恐ろしさを知ったものだ。 この作品は、その事故に地元新聞記者の全権デスクとして関わった男性を主人公に、 事故当時とその17年後を行き来する。 男性は幼少時の経験から、暗い自己を内側に秘めている。 そのインナーチャイルドのために、自分の子にも接し方が分からず、 社内の人間関係にも臆病になっている。 そんな主人公が人を使う立場になる、責任を持つ立場になる。 これは、辛いことだよね。 主人公は事故報道を巡って、社内の人々と衝突していく。 部下を生かしきれなかったり、サポートしきれなかったり、 暗い過去を刺激する他部署の人間との折衝を必要としたり。 そこへ、家庭から逃れるかのように始めた山仲間の事故が重なる。 以前に自殺した部下の従妹が現れ、心情的に揺さぶられる。 日航機墜落という事故を扱いながら、 事故そのものについての経緯は殆ど語られない。 確かにその必要もないくらい有名で悲惨な事故だけれど、 作品中で直接的に触れなくても、悲惨さは十分伝わってくる。 登場人物たちの言動の中に、あらわれてくる。 日航機墜落を描きながら、書かれているのは記者の葛藤であったり、 父親の葛藤であったり、インナーチャイルドのつぶやきだったり、 とそれだけで収まりきらない。 父親としての務めを果たせなかったことを、重い悔いとしてもっている主人公。 しかし、その救いはあっけなく、劇的だった。 あまりにもあっけなくて、陳腐だなって気がしなくはないけど…… 読者としても、救われる。 どーでもいいけど。 日航機墜落で坂本九も犠牲になったんだよね。 一言もそんなん触れられなかったんだけど、 当時の報道では話題にならなかったんかな? いやまあ、当時の私は坂本九知らなかったんですが。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.06.09 11:56:43
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