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2011.06.13
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【送料無料】台所に立つ子どもたち

香川県で実践された「弁当の日」。

これを主導した校長による、著。



最初は、小学校での実践だった。

・子どもだけで作ること

 買い出しを含む準備、調理、後片付けまで、全てを子どもだけで行う。

・5・6年生を対象とすること

 家庭科という授業科目を持つ、高学年に限定して実施する

・月1回、年5回実施する

 家庭の負担を考慮し、月1回を限度とし、

 繰り返しの効力を考え、年五回実施する。

この3点を決まりごとに実施された。



当初は子どもからも保護者からも反発があったようだ。

保護者も忙しい毎日を送っているために、

手際のよくない子どもが、忙しい台所を荒らしまわるのは迷惑だ。

子どもは子どもで、親が家事労働をすることに疑問をもっていないため、

なんでこんなことをしなくてはいけないのだ、と反発する。

やってみたい、という意欲的な家庭もある一方で、そういう家庭は確実にあるのだ。



いや、そういう家庭はまだマシだ。

経済的理由で食材の調達が困難な家庭もある。

包丁やまな板、という調理器具が無い家庭もある。

経済的に恵まれていても、親が家事をしている姿を見せていないために、

子どもに見習うモデルがなく、調理することが出来ない家庭もある。

現代では、そんな家庭もあるのだ。



そんな中で、小学校で弁当の日を実践させた後、

著者は中学校へ赴任し、また弁当の日を実践する。



中学生は思春期ただなかにあり、小学生より指導が難しい。

それだけでなく、教科担任制という制度が小学校より指導を難しくする。

また、中学生は部活動に塾にと、小学生よりよほど多忙な毎日を送っている。

3年生にもなれば、受験もある。



この本の前半は小学校での実践を述べたものだが、

中学校での実践は、障害が多かった分だけ、深いものとなっていく。



食育、という言葉がとりざたされている昨今ではあるが、

家庭科の軽視に歯止めがかからない。

家庭に便利な電化製品が多数導入され、コンビニなどが増えた結果、

生活に手がかからなくなり、どんどん軽視されていくようになってしまった。

また、受験科目に家庭科が含まれないことも、大きい。



そういった生活のゆがみを、目の当たりにすることになるのだ。



でも、小・中学校での実践は子ども達に大きな力となって残る。

子どもが家事に積極的に関わるようになった、との結果。

母親たちに感謝する言葉を口にするようになった、との結果。

食生活を見直し、野菜を意識的に接取するようになった、との結果。

もちろんこれらは、数回の弁当の日だけの結果ではないだろうが、

「生きる力」に繋がるものが子どもの中に見られる結果となったのだ。



この「弁当の日」はその後、たくさんの小中学校で実施されることとなった。

私の子が通う小学校も、高学年は実施しているようだ。



子どもは家庭の「お客様」ではない。

お膳の全てを親が準備してやるのは、どこかで止めなくてはいけない。

でも、忙しい時間に子どもに台所をうろうろされるのは親にとってイライラのもとだし、

節約生活を目指している主婦には、廃棄率がやたら高い包丁さばきを見るのは苦痛。

理想と現実の狭間、という感じだ。



でも、子どもに家事はさせなくてはならない。

どこかで少しずつ、と思う。



この本を読んだからではないが、土曜日の昼食はタロウ作のざるそば。

麺をゆでて、卵を焼き、味付けのりを切っただけだが、満足顔。

そういえば、私にもそんな時があったなと、懐かしく思い出した。






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Last updated  2011.06.13 13:43:06
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