カテゴリ:カテゴリ未分類
静かな夜が明けて穏やかな朝がやってくる。 凛(りん)とした大気は上質のゼリーのようにやわらかな感触だ。 降りそそぐ朝日は優しさに満ちて、盛夏のあの凶暴さはみじんも感じられない。 森からは自然のたてる様々な音が聞こえてくる。 目を閉じれば様々ないのちの息吹が感じられる。 それは秋という季節の歌う歌だ。 さわさわからからと木の葉が鳴る。 それは森を吹く風の歌だ。 大地を踏みしめて空を見上げれば、そこにあるのは突き抜けるような天空。 この季節、大地と空とはくっきりとした境界を描く。 大気と同様に意識も澄み渡る。 いままで見えなかったものがしだいに見えてくる。 自分が追い求めていたものがじつは虚像だったことが見て取れる。 追い求めるものは、追うことをやめた時に初めて手にはいるのだと秋の空は語る。 真夏の逃げ水のように、追い続ける限りそれは逃げ続けるのだと。 両の手からこぼれ落ちすり抜けてゆく。 たとえばそれは僕の夢。 ささやかな幸福感。 いま思い知る、 なすべき事をなせばよいのだ、 いま行なうべきことをきちんと行なえばよいのだ。 僕の夢などどうでも良い、 なすべき事をなせばよいのだ。 秋はもの思う季節。 その気候がそうさせるのか、 この静けさがそういざなうのか。 澄み切った大気を胸いっぱい吸い込んで、 見えない未来に思いをはせることをやめ、 「いま」を見つめる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.09.24 02:07:37
コメント(0) | コメントを書く |
|