良い政治とは何か＆良い政治家とは

　　・皇室典範改正法案／三笠宮寛仁親王殿下「ご発言」波紋・

　　・自民党内に／通常国会提出慎重論・
　
　皇位継承資格者（継承順位５位）である三笠宮寛仁親王殿下が、政府の「皇室典範に関する有識者会議」が打ち出した女性・女系天皇容認の方針に疑問を呈されたことが波紋を広げている。

　福祉団体「柏朋会」の会報に掲載された三笠宮寛仁親王殿下のエッセー「とどのおしゃべり－近況雑感」の要旨は次の通り。
「世界に類を見ないわが国固有の歴史と伝統を平成の御世でいとも簡単に変更してよいのかどうか」
「万世一系、百二十五代の天子様の皇統が貴重な理由は、神話の時代の初代神武天皇から連綿として一度の例外もなく、『男系』で今上陛下まで続いてきているという厳然たる事実です」
「皇室典範を改正し、（１）元皇族の皇籍復帰（２）女性皇族に養子を元皇族（男系）からとることができるよう定め、その方に皇位継承権を与える（３）元皇族に廃絶になった宮家の祭祀を継承していただき、再興する－などの方法を駆使してみることが先決だと思います」

　政府の「皇室典範に関する有識者会議」（座長・吉川弘之元東大学長、ロボット工学専攻）は発足時から、女性・女系天皇容認論者が複数いる半面、皇室制度の専門家がほとんどいないなどメンバー構成が偏っており、「はじめに女性・女系天皇容認の結論ありき」との指摘もあった。
　このため、「皇室典範に関する有識者会議」の運営には、自民党内や民間有識者の間から「当事者である皇族の意見を聴かないのか」「なぜ結論を急ぐのか」などの指摘があった。三笠宮寛仁親王殿下の「ご発言」を受け、自民党内に拙速を危ぶむ声が高まっている。
　皇族内に、男系継承を重視する意見があることも知られていたが、「皇室典範に関する有識者会議」有識者会議の吉川座長は、根拠となる条文を示すことなく「（皇族方の）意見を聴く考えは全くない」「意見を聴くことは憲法に反する」などと発言していた。

　「皇室典範に関する有識者会議」は11月７日午後、首相官邸で第15回会合を開き、月内の最終報告書の取りまとめに向け、吉川座長が提示した原案を基に議論を行った。検討課題として残っている皇位継承順位については、直系の「第一子優先」か「兄弟姉妹間で男子優先」かで結論が出ず、さらに調整することになった。
　吉川座長は会合後、記者団に対し、三笠宮寛仁親王殿下が女性・女系天皇に疑問を呈すエッセーを執筆したことについて、「それによってどうということはない」と述べ、同会議の議論には影響しないとの考えを強調した。　

　しかし、自民党内には、「皇室典範に関する有識者会議」のメンバー構成、運営のありかたを疑問視する向きも多く、「皇室典範改正法案」の通常国会提出に慎重論が出始めている。