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立法府の「良識の府」と呼ばれる参議院ですが、その一方で衆議院の影響を受
け「政争の府」や「衆議院のカーボンコピー」と酷評されることもあります。さ らに昨年の総選挙では一院制を公約した政党もありました。 参議院の危機と存在意義について、与野党参議院議員に話を聞ききました。 (聞き手・政治評論家 伊藤達美) 民主党の江田五月 元参議院議長 第2回目 ・参議院の危機と存在意義・ 問 総理、内閣(閣僚)に対する意思表示としての参院の問責決議は慣例的に 衆院の不信任決議と同等に位置づけられていますが、ある日本経済新聞は「法的 根拠がない」と主張していました、どう見ますか。 江田氏「日本の二院制が十分考えられた制度設計になっているか、というとこ ろは多少疑問なしとしない。優劣の差あったり政権党との距離に差があったり、 ということがありますが世界のいろいろな二院制と比較すると日本の両院は余り にも似かよっている。これはどうするということは置いといて、私が前から言っ ているのは参院の問責は、参院も首班指名に関わっています。 天皇陛下に内奏する時には衆参両院議長がそろって行くわけで、その内奏受け て天皇陛下が内閣総理大臣を任命するわけです。だから内閣総理大臣の指名に関 わった参議院が内閣総理大臣の政治運営に対して、ものを言うということはあり 得る話です。 したがって、問責決議には法的根拠はある、というのが私の意見です」 問 問責決議の法的効果をどう考えますか。 江田氏「衆議院の内閣不信任案については法的効果が肯定されている。しかし 参議院は問責決議の効果は肯定されていないので、政治的な効果があるという話 です。 それは十分意味があるということです。効果が法定されていないから、いかな る効果を持つのかというのはその時、その時の政治状況が決めることであって、 そこに関わった政治家は、その点を意識して自分たちが下した問責決議にどうい う政治的効果を与えるのか、政治的に判断すべきものであると思います」 問 これまでは参議院の問責決議を受けて一定の期間を置いて、内閣の構成員 から外れています。 江田氏「それは総理大臣であれ、閣僚であれ、外れるという効果が生じていた。 これは政治的効果です。私は議長時代にも問責については、そういうことを言っ ていたし、今も同じです。大変残念ながら今回の野田内閣に対する問責決議は、 結論ありきで理由が大変な矛盾をはらんでしまった。 提案した人たちが一体改革の消費増税、それを進めた三党合意も問責に当たる と、それに賛成の人たちは消費増税をやり、三党合意をやった人たちがこの理由 の問責に賛成して、問責を可決したという複雑怪奇なことになった」 問 問責決議案がそれぞれの野党から提出され、先に提出した案を優先すると いうことでわかりにくい状況で可決しました。 江田氏「順序はそうなのですが、普通は問責ということで合意して、その理由 はさまざまならば、そこは政治家同士お互い知恵を絞って、みんなが納得する理 由で問責を出し直すのが普通の形だと思います。それが意地の張り合いで、これ に乗れなかった公明党は降りる(棄権)ということになった。 そういう意地の張り合い、面子で通した問責にどれだけの政治的効果を与えて いいのか、というのが今回のテーマで、私自身はこの問責というのは参議院の問 責の価値を低からしめたもので、政治的熟度、塾議ということから言えば、政治 的効果を与えることはできない、という結論の方が正しいと思います」 (つづく) 江田五月氏(えだ・さつき) 東大卒。弁護士。科学技術庁長官。参院議長。 法相。71歳。参院岡山選挙区。当選4回。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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