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立法府の「良識の府」と呼ばれる参議院ですが、その一方で衆議院の影響を受
け「政争の府」や「衆議院のカーボンコピー」と酷評されることもあります。 さらに昨年の総選挙では一院制を公約した政党もありました。 参議院の危機と存在意義について、与野党参議院議員に話を聞ききました。 (聞き手・政治評論家 伊藤達美) 民主党の江田五月 元参議院議長 第4回目 ・参議院の危機と存在意義・ 問 選挙制度にも問題がある、との指摘もありますがどう考えますか。 江田氏「私は、例の参議院の定数是正で違憲状態を直すということも含めて、 選挙制度をかなり考える必要がある。最高裁の参議院の選挙区が都道府県ごとに 決められているのは憲法の要請ではないのだ、と言っている。 都道府県ごとで決めるということは考え直してもいいのだ、と最高裁も言って いる。参議院の選挙制度については西岡私案というのがあって、参議院の選挙区 を全国のブロックに分けて、そのブロックで選ぶというものです。私自身は、ブ ロックに個人名投票した方が良いと考えています。 比例区はブロックに分けてブロックを個人名投票にすると、自ずとどっか一つ の政党が過半数を取るということは出来なくなると思います。多党分立になる。 そうすると、衆議院は過半数政党で政権を作ります。その政党が参議院に来たら 自分の足元の政党が過半数ないです。そうすると参議院の内で連立を考えざるを 得ない。衆議院は政権選択が切れ味鮮やかにではあるけれど、ある程度行き過ぎ て、暴走と言ってはいけないけれど、ちょっと一定の幅を振り切ってしまうよう な選択をしかねない。 それが参議院に来ると、連立工作によって、ぐっと緩和されるわけです。そう やって参議院が役割を果たして二院制が一定の幅の中で右に左に動きながら機能 するということが生きるのではないか、と思います。西岡さんの提案をもっと真 剣にみんなで検討の対象にされた方がいいのではないかと思っています」 問 参議院議長経験者として、今の参議院のあり方をどうお考えですか。 江田氏「私が議長に就任した時は参議院が与野党逆転して、しかし、与党民主 党は単独で過半数がなくて、しかも衆議院では時の与党が三分の二以上の議席を 持っているという状況でした。『ねじれ』第一期の議長で、これは大変苦労しま した。 率直に言って参議院で第一党となった民主党が方に力が入り過ぎて、ブレーキ を強く踏み過ぎたというところあって、後に民主党はそれで苦労するわけです。 例の道路特定財源で『ガソリン値下げ隊』というのをしたりしていましたが、 これは結局、政権を取っても解決できなかったわけで、民主党の足かせになった り、足を引っ張ったところもあります。まあ廃止になった。09年総選挙で衆議 院も逆転をして政権交代をして、それから1年間は比較的順調の努めることがで きました。『ねじれ』の時代とそうでない時代の両方を経験しました。 問 『ねじれ』時代の議長の時は衆議院議長とは下交渉のような接触がありま したか。 江田氏「政治は制度だけで動くものではなくて人で動きますから、私の時には 最初の2年間、衆議院議長が河野洋平さんですから河野さんと私とは随分いろん なことを一緒にやってきて、だから水面下だけではなくて表でも二人でやりまし た。 例えば、道路特定財源の暫定税率の問題など政府側がつなぎ法案を出して、そ れ対して、つなぎという奇策ではなくてそこはちゃんと合意で進めなさいという ことでつなぎ法案を撤回させて、年度内に結論を得るという与野党の合意をして いただいた。これは河野さんと表でも一緒にそういう努力をしました。衆参、人 によりけりですが別の院ではあってもお互い意思の齟齬がないようにしていかな いと二院制というのは上手に動かすことはできないのです」 問 民主党政権の3年間四か月を振り返って、どう受け止めていますか。 江田氏「私自身は政権交代による民主主義というのが民主主義政治には絶対欠 かせないことであると考えています。 長く政権担当し得る自民党以外のもう一つの政党を作らなきゃというので国会 に出て来て35年超えるのですが、やっと3年前に政権交代できた。だから、こ の3年は空白だ、とか何とかいうのは余り短期的な見方で、ちょっと長い目で見 ると、政権交代政治の門口にやっと立ったところだと思います。 そこへ第3極が出て、第3極がどうなって行くのか、全く見えないというか、 ああいうやり方だと危ない方向に行きかねない。 これまで政権を担当してきて一定の力量のある自民党とやっと政権担当経験3 年を経て、この3年間、傲慢であったこともあるでしょう、マニフェストで間違っ たこともあるでしょう、いろいろあるけれども、政権担当経験を持ったもう一つ の勢力というのが一定の姿を現したところですから、民主党はそこの歴史的使命 というのは十分自覚して、しっかり地に足の着いた政権担当能力のある政党にちゃ んとなって行く、あるいは国民もそういうものをちゃんと育てていく、というこ とが必要だと思っています」 (終り) 江田五月氏(えだ・さつき) 東大卒。弁護士。科学技術庁長官。参院議長。 法相。71歳。参院岡山選挙区。当選4回。 午前4時30起床。主要新聞に目を通す。 メールチェック。うめ子ちゃんと散歩。 風呂、朝食。資料整理。 午前7時30分、地元小学校の通学時の見守り。 午前10時、永田町取材。 午後4時、帰宅。 午後4時30分、うめ子ちゃんと散歩。 午後8時30分、就寝。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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