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「平成の政治改革 検証し改善の具体策を」の見出しの3月28日付朝日新聞社説は厳然たる事実を黙 殺し、読者を間違った方向に誘導しているのである。 社説は冒頭、「主権者たる国民の意思をくみ取りつつ、山積する内外の諸課題に的確に対応できている か。答えているか。日本の民主主義を守り、深化させるためにも、政治システムを不断に見直し、改善を 重ねることは極めて重要だ」と正論(建前論?)を説いている。 朝日新聞社説のこの部分は、いみじくも朝日新聞の社論としての社説、また報道に欠落している部分で もある。 「派閥政治や金権腐敗の温床となった中選挙区制を廃止し、小選挙区比例代表並列制を導入したこと で、政党本位、政策中心の選挙になったのは事実だ」 この主張は明らかに事実と異なり、読者を誤誘導する内容である。 小選挙区比例代表並列制を導入した目的は、第1に政権交代可能な選挙制度による緊張感ある政治を 実現」、第2に「活発な政策論争が行われる選挙の実現」第3に「候補者中心から政党中心の選挙への転 換」の3点だった。 しかし、政策本位、政党本位の選挙には、なっていないのである。 「活発な政策論争が行われる選挙の実現」は、同じ政党の候補者間による「同士討ち」がなくなれば、 「『人』ではなく各党の『政策』が選挙の争点に浮上する」はず、との理由によるものだった。しかし、 これは幻想であった。 何より政策論争が成り立つためには、与野党の共通基盤が必要で、小選挙区制にしただけでは実現しな いのである。 当時、ソ連の崩壊によって東西冷戦が終わり、イデオロギー対立がなくなるとの前提でこのような主張 が行われたのだが、自衛隊や日米安保を違憲と主張する政党は当時も存在し、現在もなお、イデオロギー 的な隔たりが存在している。こうした環境では政策中心の選挙は実現しない。 「候補者中心から政党中心の選挙への転換」はどうか。。 「候補者中心から政党中心の選挙への転換」は、有名無実と化している。 実際に行われているのは、中選挙区時代と同様の候補者中心の選挙である。 候補者が支持者を集め、実際の選挙運動も候補者が行っている。 政党はあくまで側面支援にとどまる。 なぜかといえば、政党の力が弱いからだ。政界再編がたびたび行われ、政党ができたり消滅したりして いる。 こうしたなかで選挙の主体となる政党が育たないのは当然だ。 政治家自身も政党を信用していないこともある。党内の意思決定の不透明さも指摘されている。 これでは「政党中心の選挙」が成立するはずがない。 朝日新聞社説は「政党本位、政策中心の選挙になったのは事実だ」と強弁しているが、事実は異なって いるのである。 それにしても、先の総選挙で、小選挙区制比例代表並立制を中心とする選挙制度の矛盾がますます深 刻化していることを痛感せざるを得ない。 小選挙区制を中心とする現在の選挙制度が初めて施行されたのは1996年である。 今年で25年、ちょうど四半世紀が経過したことになる。(つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022年03月28日 12時45分36秒
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