万葉集と帝国的想像 読了
奈良以前の日本の古代世界を万葉集という視点で見てみるという歴史の本だが驚いたのは著者がイギリス系アメリカ人であること。日本の古代とかマイナーなネタに外国人の研究者がいる辺りおどろきだが、日本人では気付かない視点での歴史論、華夏的帝国と呼ばれる古代の中華帝国を模倣した、帝国と呼ぶには少々寂しい領域に影響力を持つヤマトという帝国。その歴史書である古事記と日本書紀、それぞれ視点が違う書物だが、その視点の違いから天智と天武の争いである古代日本最大の内戦、壬申の乱とその段階で滅ぼされた大友皇子の近江王朝と新たな王朝の成立を叫んだ天武天皇、その皇子たちの末路と天武天皇の皇后である持統天皇。そういった流れを研究し、さらに万葉集での詩の内容や収録数から補足するという初めて見る内容でしたね。日本が中華と並ぶくらいの帝国組織を獲得できたのは徳川幕府からだと思いますが、それまでの日本でも日本だけの世界で成立してきたという歴史の流れはあると思います。貿易量があったとしても非常に影響は限られてますしね。その考え方の影響は今でも引き続いているので、なかなか移民が根付くのは難しいし、トラブルも起こっていくんだろうなあとなんとなく思ったりも。万葉集と帝国的想像 [ トークィル・ダシー ]