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うちのお客様のそのほとんどが同族会社です。 簡単に言えば、親族経営の会社ということになります。 で、そうした会社に多いのが、役員借入金。 一時的な資金繰りで、会社に個人のお金を貸したり、または、設備するのにそれなりのお金が必要で、 本来なら、増資して設備するところを増資するには、登記しなければならず、 手続きが面倒だし、登録免許税もかかる。 であれば、役員から借りた形にすれば、登記などの手続きもいらないし、余計なお金もかからない。 お金を貸した方も貸した方で、追加の出資という意識があるので、返してもらおうという気持ちもない。 社歴が長い会社ほど、こうしたちょっとずつの積み重ねで、役員からの借入金が膨れ上がり、 数千万円からの借入金があることは、さほど珍しいことではありません。 しかし、貸して側から考えると、これはまさしく債権であり、その役員にもしものことがあれば、相続財産ということになります。 会社から返してもらえるのであれば、問題ないですが、財務内容が悪化している会社も少なくなく、全額戻ってくることはまずないのではないでしょうか? もう5年以上も前になりますが、勇退した税理士から引き継いだ同族会社のお客さん、 高級なマンションが買えるくらい、自分の会社に貸し付けていました。 過年度の決算書を見せてもらって、真っ先に目についたのは、この役員借入金。 御年、それなりの年齢です。 現金化できる財産であれば、相続税課税されても、致し方ないもの。 だけど、返ってくるアテは限りなくないものに対して、課税されるというのは、避けられるものなら避けたい。前任の税理士からは、何らリスクの説明もなかったようです。 幸いにも、業績は好調で、売上も立ち、利益も多くはないけれど、それなりにあり、提案したことは、役員報酬を減額して、個人の借入金を返済すること。 また、それなりの年齢でありながら、頭も体も、まだまだ現役で元気でいてもらったこともあり、かなり返済が進みました。 「年だし、お金使うこともない」し、経営者にとって、会社は「子供のように、かわいいもの」だから、会社の存続のために、自己資金を投資することなんて、なんとも思っていない。 だけど、それが相続財産になる、なんてもとは、つゆとも考えていなかったようです。 残された遺族からすると、現金化できないものに課税されることの不合理さ、を感じるとは思うけど、これは過去の納税者の戦いから決着がついたところもあり、課税を回避することはとても難しい。 むかしむかしの会社は、納税をしたくないばかりに、個人的な支出じゃないの?と思えるような、グレーな経費を会社につけ、お金が足らないから、会社に貸し付けた形にして、なんてところもあったのではないかと想像します。 それが、ツケとなり、法人税は少なくて済ませられたとしても、今度は相続税課税される、という結果に。 むかしの納税者は、「税金を取られる」という感覚だったけど、今の経営者は「税金を納める」という思考に変わりつつある印象を受け、それも法人税率が「かつて」に比べて、下がってきたことにもあると思います。 中小零細といえども、会社と経営者は別人格なわけで、そのあたりの区別はきちんとしておかないと、とんでもないことになることも考えられ、「とにかく納めたくない!」というお客さんが相当減ってきた、と感じています。 そんな意味では、税理士の仕事もやりやすくなった。 聞く耳を持ってくれるお客さんが多くなった、ってこともあります。 「役員借入金」、将来子供や配偶者にツケをまわすことないように、それも事業承継なのかな?と考えます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.05.30 20:59:47
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