「始める時」よりも「やめる時」のほうが簡単ではないことが多い…。
個人事業であれば、税務署に廃業届を提出するだけで、手続き的に「辞める」ことができるし、簡単なところはある。
しかし、法人ではそうはいかない。
辞める時も登記する必要があるので、体力(資金力)が全くないと、そういうわけにもいかず、個人事業に比べて取引先も多いこともあるし、従業員もいるわけで、簡単ではない。
開業当初は気力体力も充実していることが多く、また、「これから自分の思い通りに仕事ができる喜び」もあって、準備しているだけでも、楽しいものだ。
だけど、「辞める」という後ろ向きの仕事というものは、気が進ます、先延ばしについついしてしまいがち。なかなか決断もできないこともある。
それでも、人間の寿命と同じで、事業にも寿命というものがあると考えている。
というのも、お客さんを見ていて感じるのは、高齢になってくればくるほど、その業績も芳しいものではなくなってくる、ように思える。
特に、近年は、時代のスピードが速く、コロナの影響もあって、さらにその事業環境が急激に変わっている。昨今の物価高騰や自宅でのテレワーク、ZOOMなどでの商談、代金決済方法が電子決済中心になり銀行の統廃合も進んでいる。納税環境も電子申告の普及、消費税のインボイス制度が間近に迫り、電子帳簿保存法の導入、インターネット環境の急激な変化、
そんなものについていけない経営者も少なくない。
時代に流れに飲み込まれないようにするには、積極的に新しい環境に慣れなければならないし、これまでのやり方を改める必要はあるが、それに対応できない事実…。
「活性化」という意味では、まさに「今」が過渡期と言えるのではないかと思うのです。コロナから回復しつつあるとはいえ、大廃業時代が到来することも考えられる。
長年続けてきた事業を廃止する、辞めるという決断は、なかなか踏み切れないこともあるが、早いほうがよい。気力・体力がないとできないわけで、明日辞めます、ということもできないから、準備が必要。
だから、「辞めた」ときに支障があることをまずはリスト化する必要があるのではないかと。
・銀行からの借入金の返済はあるか、いつ返済が終わるか、繰り上げ返済できるのか?
・辞めた時にかかる費用は何があって、いくらかかるのか?(現状回復費用、会社の解散等の登記費用、従業員の退職金など)
・従業員のその後の就職先は確保できるか?
・経営者自身のその後の生活の目途は立ちそうか?
・得意先へ廃業の連絡はいつするのか?代わりの同業者を紹介できるか?
・辞める時の税金はどのくらいになりそうか?
他にも、やらなければならないこともあるけれど、主だったところは上記の事柄でしょうか。
でも、「辞める」という選択ができるところは、まだマシです。
多額の借入金に業績不振では、経営者自身の生活にも大きな影響があり、辞めたくてもやめられないところもあるのです。
廃業するときも、開業当初と同じように「準備」が大切。
まずは、いつ辞めるのか、そこから逆算して、準備するしかないかもしれないです…。