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ソニー「nasne(ナスネ)」出荷終了後の後継機がないということですが、米国で「PlayStation Vue」という新次元のサブスクリプションサービスを展開しているソニーとしては、当然のことなのかもしれません。米国ソニーの幹部をはじめ、ソニーの幹部のみなさんは、「nasne(ナスネ)」のような製品を過去の遺物として見ているのではないでしょうか。
「PlayStation Vue」は、PlayStation 4やFire TV、Apple TVなどのストリーミング端末、あるいはスマホ、タブレット、PCなどの機器でテレビ放送を視聴するもので、CATVのネットストリーミング版のようなイメージです。 「PlayStation Vue」のサブスクリプション料金は、視聴可能チャンネル数によって異なります。 「PlayStation Vue」のクラウドレコーダーサービスでは、好きな番組の録画ができ、録画番組はソニーのサーバーに録画されます。 録画番組は28日間保存され、録画番組の視聴は、動画ストリーミングの利用と同じ感覚のようです。 同時録画チャンネル数に制約はなさそうですが、トータルの録画ファイル数は、どうやら500が上限のようです。保存期間が限定されますが、nasneの故障による録画番組の消失、録画失敗といったトラブルからは解放されます。何より、同時録画チャンネル数の制約がないというところは、nasneとの大きな違いです。 「PlayStation Vue」と同種のサービスである、「YouTube TV」にもクラウドレコーダーサービスがあり、何チャンネルでも同時録画可能で、録画容量は無制限です。ただし、録画保存期間は9カ月です。 日本のケーブルテレビ業界でも、nDVR(network Digital Video Recorder)の研究はされているようですが、技術的な問題よりも、著作権保護の問題などの解決が課題のようです。 ネット回線によるテレビ放送信号の再送信サービスである「フレッツ・テレビ」やネット回線での有料放送サービス「ひかりTV」などはすでに存在しているので、もしかすると、ストリーミングのテレビサービスである「PlayStation Vue」のようなサービスの日本展開の時期はそう遠くはないのかもしれません。 「PlayStation Vue」に必要なハードウェアは、ストリーミング再生装置だけであり、「レコーダーという、コンテンツの複製を可能にするハードウェアを利用したコンテンツ消費」は、ネットインフラの進化を背景として「レコーダー不要のコンテンツ消費」に置き換えられようとしているのかもしれません。 「テレビの見方改革」ということでしょうか。 20世紀は「複製技術時代」(ベンヤミン)とも言われました。音楽や映画の形態が、20世紀的なレコード、カセット、MD、CDやVHS、DVD、BD、といった「大量に複製されたモノ💿、📀」から、21世紀的なデジタルデータの音楽ファイル、動画ファイルやストリーミングに移行してきましたが、各家庭で大量に複製ディスクや複製ファイルを作成するレコーダーはなくなる方向にあるのかもしれません。 省資源の観点からはいいことなのかもしれません。 21世紀は、物理的なディスクはもちろん、複製したデジタルファイルの保存先すら不要の、ストリーミング技術で「コンテンツの複製(同時配信)」ができるようになりました。 ある意味で、分権(各家庭で複製を利用)型から中央集権(オリジナルをストリーミングで配信)への移行と見ることができるのかもしれません。 テレビ放送に関しては、レコーダーという機器の登場以前は、中央集権(オリジナルを電波で放送)型であったので、過去への回帰なのかもしれません。違いは、ストリーミングの時代では、「オンデマンド視聴」が可能ということでしょうか。 2018年5月22日に発表されたソニーの経営方針では、「ユーザーに近い Direct to Consumer(DTC)サービスとクリエイターに近いコンテンツIPの強化」を目標として掲げています。 DTCサービスとは、具体的には、下記の引用にあるように、PlayStation Networkなどのサービスのことです。 「DTCサービス強化とは、売上が1兆円を超え、月間アクティブユーザー数が8,000万を突破し、世界有数のネットワークサービスとなった「プレイステーションネットワーク」の成長戦略です。 サブスクリプションサービスであるPS Plusの会員数を更に拡大することや、PS VRやクラウドゲームサービスのPS Now、映像のPS VueやPS Video、音楽のPS Musicなど、商品やさまざまなサービスをユーザーの皆様にご利用いただき、PSNへの訪問頻度と利用時間、すなわちユーザーエンゲージメントを高めていくことが成長戦略の基本となります。」(ソニーの「経営方針説明会資料」から引用) ソニーは、コンテンツを販売する側であり、明らかに「クリエーター」サイドです。その立場からすると、ストリーミング配信が可能になった時代においては、コンテンツを複製するレコーダー機器は縮小の方向で考えているのではないでしょうか。 ストリーミングサブスクリプションを強化するのが目標ですから、消費者の手元に複製を残すようなことには興味がなさそうです。 nasneの終了は、昨年のソニーの経営方針説明会で語られた既定路線が実行されつつあることを示していると考えられます。 ソニーのブルーレイレコーダーも18年5月から新製品が出ていないので、徐々に縮小の方向なのだと思います。 でも、レコーダーを縮小するのは「PS Vue」のようなサービスを日本でも展開してからにしてほしいと思います。消費者を軽視していると見られても仕方がないと思うのですが。 コンテンツの自由な視聴の観点から、個人的には、Makuakeの「全10chを同時受信するテレビチューナー」に頑張ってほしいと思います。ただ。録画・視聴ソフトの機能や安定性が重要だと思うので、ソフトについての情報が早く出てくるといいと思います。 楽天市場で「nasne(ナスネ)」を検索する 楽天市場で「ソニー ブルーレイレコーダー」を検索する ↓「BD・DVDレコーダー」のシェアの推移をアニメーション・グラフにしてみました。 ☆関連記事 ソニーの「nasne(ナスネ)」後継機の本命は、ソニーのブルーレイレコーダー。対抗は、パナソニックの「おうちクラウドDIGA(ディーガ)」? ソニーのネットワーク録画サーバー「nasne(ナスネ)」、出荷終了を受けて価格上昇中 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.12.31 16:40:51
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