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カテゴリ:カタコト
にゃんですとー!
水看です。 にゃんだふる水看です。 では気まぐれに本題。 僕は単なる町の工芸職人だ。 だからあの人と釣り合うわけがない。 彼女は地主のお嬢様。 仕事でなければ会うことさえ許されない。 僕は彼女が好きだった。 だから不可能と思われる仕事も引き受けたんだ。 僕は作業を続けた。 どのくらい続けたかもわからないくらい続けた。 それは奇跡だった。 そう。 僕の愛は形になったんだ。 これがあの人の手にあれば僕は満足だ。 僕にはただ舞い散る羽根がまぶしくて。 僕を包む優しさが心地よくても。 悲しみを繋ぎ止めたかった。 彼女は今僕の目の前にいる。 彼女は頭が良かったから。 きっと僕に気付いたんだ。 彼女はただ泣いていた。 僕にはどうすることもできなかった。 彼女はしばらく毎日僕に会いに来た。 僕からは会いに行けないから。 その間隔が少しづつ空いていった。 そして彼女は姿を見せなくなった。 彼女は前に進んだんだ。 止まってしまった僕を置いて。 僕は密かに彼女を恨んだ。 でも、優しく笑って。 「お幸せに…」 小さく呟いた。 水看のショートショートの世界。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.08.09 10:27:17
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