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ちえ丸のヨロカジ日記

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2009年09月30日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
 先日、NHKで
京都・西本願寺の修復作業を長期にわたって取材した、

「世界遺産・西本願寺10年大修復」 という

ドキュメンタリー番組をやっていたのだが、
これが滅法面白かった。

江戸時代初期に建てられた、西本願寺・御影堂の大規模な修復工事である。

大掛かりな外側は
屋根の梁、瓦、壁など、建物全体、
そして内部は、柱、床、御簾、障壁画・・などである。
 
屋根部分は骨組みを解体し、老朽化して腐った箇所の梁と柱の修復、
瓦の敷き直しをし、壁も塗り直す。

梁の部分はカーブを描いた木が使われているため、
同じように曲がった木材を探すところから始める。
(樹齢100年~とも、150年とも思われる巨木を、山から切り出してくるのだ)

解体して、使える材料はそのまま再利用する。
しかし、
その工法には、驚くとともに感心する。
例えば、壁を再構築する際は、
骨組みのあと、土壁を塗る。
その土は、解体したときの、江戸時代の泥を使用する。
泥の中には藁を入れる。
その藁は、泥に混ぜて数ヶ月~半年ほど寝かせてから用いる。
そうすることで、
土中のバクテリアが藁を分解し、藁の繊維が細かくほぐれる。
その繊維の広がった藁を含んだ泥は、
土同志を繋ぎとめる役割をし、壁に塗ってもひび割れしにくくなるという。
美観と共に、強度や耐震も兼ねてあるのだ。
しかもそれが、既に江戸時代に考案されていたという事実・・。
さらにその上から、漆喰を塗って白い壁が完成するのだが、
その漆喰もまた、練って、寝かせて、職人の勘と経験によって
ちょうどいい固さとなめらかさに整えるのである。


内部の修復は、
支柱や障壁画の汚れの除去、剥落した部分の彩色、
漆の塗布、さらに金箔による装飾・・など。
障壁画の裏打ちには、
こうぞで作られた強い和紙が使われるが、
それをすくための巻きすの糸までが、職人さんの手作りで、
(日本に一機しかない、強度の高い絹のより糸を織る機械で作られる)
突き詰めると、一つ一つ、全部に細かく人の手が係わっている。

前・後編に渡る長時間番組だったので録画して見たのだが、
その後、何度か再放送されており、
その度に(既に見たにも係わらず)必ずTVの前で足が止まってしまい,
また見てしまうというロールプレイング状態(?)を繰り返してしまったのだが、
何度見ても面白く、
本当に奥が深い、究極のもの作り、もの作りの本質を見せてもらったという感のある、
見応えのある番組だった。

その見事な建造物(もちろん、文化的、芸術的価値も含めての)
世界遺産とは、外観の美しさだけではなく、
知恵と技術の結集した賜物でもあるのだ。



それにしても、

 微に入り細を穿つ 

とはこういうことをいうんだろうなぁ・・・
その仕事の繊細さ(しかも300年以上も前に考案された)に、ほんとに脱帽です。









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最終更新日  2009年09月30日 16時38分54秒
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