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カテゴリ:お買い物
「嬉しいような、悲しいような」
とは、まさにこういう日に使うんだなぁと思ったこと。 中学、高校時代と、私のレンタルビデオライフを支えてくれた地元の老舗が閉店することになったらしい。そこで「VHSオール100円で販売」という閉店セールをしていたのだが、それを知ったのがまさに本当の閉店当日の閉店2時間前。「とにかく何か買わなきゃ」という思いで、寒い日も暑い日も当時は自転車で駆けた、通いなれた道を自動車で走った。 「ほとんどビデオが無くなっていたらどうしよう」 という心配とは裏腹に、やや暗い店内には、大量のVHS作品がひっそりと陳列されていた。 私自身、12年ぶりの来店。 店内には小さな子どもを連れたヤンキー親子らしき一団が、大声でしゃべりながら、ビデオを物色していた。子どもの騒ぎ声がうるさい。走り回る。床に転がる。 いや、うるさ過ぎる! 後で、見知らぬおじさんに子どもが大声で注意されていたが、それを聞いた父親が、子どもに向かって 「うるせーんだよ。おまえらのせいで、こっちまで叱られるんやぞ!」 と言っていた。それって自分の保身。どうかしてる。子どもが叱られる前に、親として子どもに躾ないといけないのではないのかい? まあ、そんなこんなで暗い気分で店内をウロウロ。 一本100円といっても、なかなか手に取りたいような作品に出会えない。 気がつけば、俺は、見たことのある作品ばかりを手に抱えていた。 「思い出を手元に置いておきたい」 結局そんな気分になってしまっていた。 俺は35本ものビデオを買い、一人しかいない店員さんが、「もう大きい袋もなくなってしまいまして、すみません。」と、5本ずつ小さな袋に詰め込んでいる。 悲しくなってきた。 なにかが無くなるのは悲しい。 俺の青春時代のもやもやを、ひと時の別世界に浸ることで解消させてくれた、この店が無くなってしまうのだ。俺はきっとこの日買ったビデオを全部見ることは無いだろう。ただ、何もしないのが嫌だったんだ。 店員さんの「今までありがとうございました。」 「こちらこそ」という気持ちである。 さて、購入してきたビデオの一部を紹介。 ↓ ほんとドラえもんは幼稚園のころからよく見たなぁ。見たときの年齢で、感じ方が違ったりするから面白い。覚えている台詞もたくさんあって、初期の映画版はまさに名作揃いである。写真には、唯一店内に残っていた「宇宙小戦争」。この話、宇宙船でピリカ星に向かうあたりから急に引き込まれる。ロケットの中での5人の様子に思いっきり心を重ねてしまう。ドキドキする。 たった今BGMに流してるけど、 パピ「官邸のダンスパーティーを思いだすな」 のび「官邸って何?」 ドラ「かんていないじゃない、そんなもの・・」 みたいな会話を、ハモれた自分に感動。 プラモを壊されたのをのび太の仕業と勘違したジャイアンの台詞 ジャイ「自分の胸に聞けい!」 小さいときはわからなかったけど、とてもジャイアンはいい言葉使うなって思った。 ドラえもんはどうしてこんなに面白いのだろうか。 笑って、泣いて、ドキドキして、感動して。 もう一本思い出深いのが右下の一本 「日本製少年」 別にだれかにオススメされたとかじゃなく、ジャケ借りした作品。 これが非常に暗かった。ダウナーっていうのかな。作品全体に漂うだる~い感じ、そしてだるいBGM。だれもしゃきっとしてない感じ。 「人生楽だ~ 楽だ~ 楽だ~」と、川の土手を歩きながら、メリーさんの羊を替え歌で歌う、ヒロインの女の子のシーンが特に気力が萎える。しかしその貫かれた空気に異常に惹かれるのも確かで、高校時代、大学時代と、これまで2回観たのであった。今回見れば3回目だが、一体どういう感想を俺は抱くのだろうか。まだ見ないでおこう。 30にして、なんか初めて時代を感じた日だった。 「あとはロックに打たれて眠るだけ」 ♪本日の一曲♪ syrup16g/She was beautiful なんとなく、秋は切なさに浸りたくなる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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