『12月のベロニカ』 貴子 潤一郎
ミスリードの本と聞いて読むことにしたんですが、それを知った上でも、事実が判明した時のあの背筋ゾゾゾ感はたまりませんでしたね。そしてそれを成し遂げるのに要求されるこまやかな行動描写、環境設定。富士見ファンタジア大賞受賞に恥じないデキだと思います(他は読んだことないので多分)。ただデビュー作とあって粗も探せば当然少なくないわけで。ダブルキャストかと思いきや、ミスリード構成のため片方は見事に登録抹消。そのためすぼんでしまった尻が、怒涛のネタばらしと比べられて残念でなりません。総論。いつもだらだらとしか読書しない私が、背筋をピンと張り詰めて2時間半夢中で過ごしてしまったぐらいの見えない巨大引力を持った本です。表紙と細かい所に目をつぶればほんとスバラシイ本なので、是非とも読んでみて下さい。