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てんじゃくの小道

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2009.06.23
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カテゴリ:戯曲を読もう
皆さま、おはようございます♪

今日から、時々ですが、ワタクシがオススメの戯曲を紹介していきたいと思います。
古今東西、ギリシア悲劇、シェイクスピアから現代の日本の劇作家まで。
戯曲って、何?
と思われる方、舞台のお芝居の台本のことです。

さて、一つ皆さまにワタクシから決まりごとのお話をいたします。
シェイクスピアなどの比較的、図書館や書店で入手しやすい作品に関しては、
お話のラストは書きません。
どうか、このブログを取っ掛かりにして、是非、ご一読ください!
そして、それ以外の作品については、ワタクシ流ではありますが、
お芝居のラストまで、ご紹介したいと思います。
今日は、ラストまで書きますので。

それでは、お芝居の始まり、始まり。

「狐と笛吹き」北條秀司作


昔、昔。
都の春の宵のこと。

笛吹きの春方は、仲間たちと酒を酌み交わしていた。
仲間たちは、妻を亡くし、すっかりふさぎこんでいる春方をなぐさめている。
笛の修行にも身が入らない。

狐の親子をしとめたが、「妻の命日だから殺さないで上げて欲しい」と
春方は、仲間達に頼み逃がしてやった。

仲間たちは、そんな春方が、心配であった。

仲間の一人が、ある女を連れてやってくる。
驚いたのは、春方。
「まろや」
春方の亡き妻に瓜二つだったのである。
女の名前は、「ともね」近江の国の出身らしい。

ともねの舞に春方は、亡き妻の姿を重ねていた。

春方には不思議なことが、
亡き妻が残していった琴から
夜もふけることになると、琴の音がするのである。
その琴の音に合わせて、笛を吹く春方。

やがて、ともねは、春方の身の回りの世話をするようになる。
すっかり、元気を取り戻した春方。
帝が、御前で演奏する笛方を選んでいるという。
その中に春方の名もあるらしい。
二人は幸せであった。

突然、泣き出してしまう、ともね。
理由はわからない。

ある日、ともねは、亡くなった妻の琴を焼いてしまう。
問いただす、春方に
「まろやさんのおもかげはいやなんです。ともねとして愛してほしいです。」
というともね。
ともねの気持ちを知り、夫婦になって欲しいという春方。
しかし、ともねには母から言われた掟があった。
…夫婦には、なれない。
ともねの秘密、それは春方が助けた狐の親子の娘だったのだ。
人間と結ばれることは、許されない、死んでしまう。
近江に帰ると言う、ともね。
春方は、一緒に「生きる」ことを決心する。

帝の御前で演奏する笛方を決める日。
ともねは、春方を待っていたが、
春方の気持ちを思うとたまらなくなり、近江に帰ろうとする。

そこに仲間たちと春方が帰ってくる。
帝の御前で演奏する夢が…友人の秀人に敗れてしまったのだ。
仲間たちは、春方を案じながら帰っていく。

秀人の笛の音の技量を認める春方。
自分の芸の稚なさを思い知らされ…。
ともねは、酒を飲みながら話す春方の話を聞いていた。

そして、自分の押さえられない気持ちを切々とともねに打ち明ける
春方。
しかし、人間と結ばれることは出来ない。
話を聞き堪えているともね、そうだとしたら死んでしまう。

「掟をやぶろう、もし、そうだったら、お前一人ではやらない…。」

明け方、近くの森の中を春方は、ともねを探す。

草の上に息絶えた、一匹の子狐が…。

子狐ーともねを抱きしめ、春方は言う。
「お前だけはやらない…お前の母さんがいる近江の国へ行こう。
そしてあの美しい湖に二人で沈もう。」

笛の音が月かげとともにいよいよ冴えわたり…。

ー幕ー

昭和27年7月、歌舞伎座初演。
春方、市川寿海。ともね、中村歌右衛門。

最近では、いつだったか、忘れてしまったのですが、
春方、市川団十郎。ともね、坂東玉三郎で上演されています。

最後の春方のともねへの愛の高ぶりと、
堪えているともねの姿が印象に残ります。
笛の音が美しく…。

何からご紹介しようかと迷いましたが、
思い出深い作品なので…。

なんとか、書き終えました。(ため息)
皆さま、よい一日を。

今日は、この辺で…。









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Last updated  2009.06.23 07:33:29
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