|
カテゴリ:漫画旧作館
PALMの29巻(新刊)の感想を、今日読んだ漫画で紹介しようかと思ったのですが、とても語りつくせないと思い、昔の漫画を紹介するという主旨のカテゴリを増やしてみました。これからも、ぼちぼち、懐かしい(絶版の?)漫画を紹介していけたら良いなあと思います。今日はその第一弾。 PALMシリーズは1983年に連載が始まり、今もなお続く連作長編シリーズ。 このシリーズ、もう何から語って良いか分からないほど複雑で、時にコメディ、時にシリアス、出てくる人物も、元心臓外科医の探偵、シンジケート出身で天才児の探偵助手、15歳までアフリカのジャングルでライオンと暮らした美少年。その他、FBI、CIA、殺人鬼、ゲイ、売春婦、ミュージシャン、詐欺師、環境活動家、美人妻にマフィアに酒乱に。。。と、個性的な人物ばかり。 物語は、とても胸に深く突き刺さり、一つ一つの言葉が重く心に響いてくる。時に文学的ですらある。全体的にはとても重く悲しいエピソードが多いのだが、意外にコミカルな面もあり、特にジェームスとカーターの夫婦漫才(?)は、物語の重さを払拭してくれる面白さだ。 さてそのストーリー。とても語れるはずも無いのだが、少しサワリだけでも紹介したい。 ジェームスはニューヨークマフィアである義父アーサー・ネガットの元で育つが、ある日ネガットに恨みを持つものに誘拐されてしまう。しかし元々ジェームスはアーサーと折り合いが悪く、誘拐に乗じて殺されかける。しかし、LAのギャング、ロナルド・エリーの元へ逃げこみ、更にそこから逃げるために刑務所を利用するのだった(まだこの頃10代の少年なんですが)。。。 カーターは、心底愛していた女性に振られて、心臓外科医というキャリアを捨てて私立探偵になってしまった。でも、仕事なんかするわけも無く、毎日お酒を飲んだり美人妻といけない事(^▽^;)をしたりと、厭世観漂う生活を送っていた。 アフリカの毒蛇研究所の所長の息子アンディは、3歳の頃に母親を失う。それから心を閉ざした彼は10歳から15歳までライオンと一緒にジャングルで生活をしていた。15歳の時父親に連れ戻されるが、その時父サミーは癌に侵されていた。自分の死後、アンディの成長を危惧したサミーは、親戚のカーターにアンディの後見人になってくれるよう依頼する。 そうして回り逢ったこの3人と、気の強い女の子アンジェラちゃんの4人が奇妙な共同生活を始める。しかしその生活はとても一般人の想像を超えていた。
これが記念すべき第1巻。上の画像と比較するとかなり変わっているのが分かると思う。 この物語と出逢った時、私が幾つだったかは内緒だが、風邪をひいて布団でゴロゴロしながらWINGSを読んでいたのを思い出す。正直絵が趣味じゃなくて、最初は読み飛ばしていたのだが、暇だったので試しに少し読んでみたら、あまりの面白さにガバッと跳ね起きてしまった。残りは正座して読んだと思う。 単行本が出てからは、とにかく友人という友人に布教した。いろいろ学校を卒業して、社会人になってもとにかく布教しまくっていた。 しかし、何故かこのシリーズ、面白いという人と、全然分からんという人に二極化してしまうのだ。絵のアクが強いせいなのか、FBIなんかが出てくるせいなのか。。。「これぜんぜんわからへんわ~。」と初めて突き返された時には非常に悲しかったものだ。でも、考えてみれば、彼女達は普段、学園恋愛モノを読んでいるような子達だから、ちょっと相容れない世界だったのかもしれないなあ。 つい話が横にそれてしまったが、やはりとても私の筆力でPALMの魅力を伝えることは出来ない。 公式ページを見て少しでも作品の世界観を感じていただければと思う。特にhigh light(コミックのプレビューが見られます。)と、BIOGRAPHYは必見。現実は漫画より奇なり。作者もまたPALMの一登場人物であるかのような数奇な運命に翻弄された人だったことがわかる。 「愛でなく」以降、少しエキセントリックさが目立つようになってきたのが少し嫌なのだが、それでもやっぱり最後には感動する。最新作「午前の光」もぴりりとした不安も残しながら、楽しさや切なさを感じる終幕だった。次回作はカーターの少年時代へ移るということで、絶対辛い話になることは分かっているのだが、今からとても期待している。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[漫画旧作館] カテゴリの最新記事
|