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テーマ:DVD映画鑑賞(14135)
カテゴリ:今日見た映画
1994年4月から7月までのおよそ100日間の間に、実に100万人の人々が虐殺されたという事を、あなたは知っていましたか? ホテル・ルワンダという映画を見ました。
この映画は、1994年のルワンダ内戦を生き延び、ホテルの客、従業員、難民など結局1200人あまりを救った一人のホテルマンのお話です。 フツ族至上主義のナタやライフルを持った殺戮者から身を守るためのポール・ルセサバギナが持つ唯一の武器は、人脈。それを生かすための電話やファックス、そして命を買うためのお金やお酒、ただそれだけでした。そんな徒手空拳の彼を支えたのはただひとつ、愛する家族を助けたいという思い。それを実現させるための不屈の精神が、彼とその家族、そしてホテルに居た人々を救う結果に導いたのです。 映画の中で、いくつか印象に残った場面があります。 その中のひとつに(うろ覚えですが)西洋人のカメラマンが主人公に向かってこう言うシーンがあります。 とても恥ずかしいことですが、私もその一人です。ニュースで見るそんな映像に、憤ったり涙したりしても、自分で何か行動を起こそうと思ったことはありません。 このシーンを見ると何だか矢もたてもたまらず、ボランティアに行きたい気持ちになりますが、考えてみればそんな現場で役に立つとりえを何も持たず、また養うべき家族が居る身ではいかんともしがたく、結局自分に出来ることといえばワンクリック募金程度のことです。我ながら情けないですが、しないよりはマシと言い聞かせて、この日はポチポチしてました。 もうひとつのシーンは、国連平和維持軍が撤退するシーンです。欧米諸国が内戦に介入してくれることを一縷の望みにしていたのに、ただルワンダに居る外国人を退去させるためにやってきたベルギー国連軍。大勢の難民がホテルに押し寄せ、外国人の神父やシスター、ボランティアの人々がバスに押し込まれていきます。ボランティアに抱かれるルワンダ人の子供が引き離され、「どうか連れて行って」と泣き叫ぶ人をあとに欧米人は行ってしまうのです。ホテルの前に立ち尽くす人々の、捨てられた子犬のような表情が忘れられません。このシーンは今思い出しても胸がふさがれます。文字通り、ルワンダは欧米にとって価値が無いということを突きつけられ、見捨てられた瞬間だったのです。
さて、ルワンダ人はフツ族とツチ族という大きく二つの民族に分かれていました。元々遊牧民と農耕民という違いだけで種族的な差違は無いのだそうです。第一次大戦後、国際連盟は戦利品としてルワンダはベルギーに与えられます。ベルギーはルワンダを分裂させるためにこのフツ族とツチ族の容姿の違いを利用しました。黒い肌、平たい鼻厚い唇のフツ族に対して、肌の色が薄く細い鼻や薄い唇、背の高さなどよりヨーロッパ的な容姿を持つツチ族を経済的、教育的に優遇したのです。(公式ページを参考にしました。その後の詳しい歴史などは公式ページのHISTORYを参照してください。分かりやすくまとめてあります。) 映画の中でもフツ族とツチ族の違いについて語るシーンがあるのですが、単に二つの民族が統治をめぐって争っているというのではなく、人為的に作られた差別構造が生んだ憎みあいだということが分かってとても愕然としました。それも自分達が作ったものでは無く、外国人の都合で争うように仕向けられたとは、なんという悪意でしょうか。 この映画はとても感動的な映画ですが、その性質上、難解であることも否めません。どうして主人公がこういう行動を取るのかよく分からないこともあります。実はコメンタリーで、この作品のモデルとなったポール・ルセサバギナさんと監督が詳しい解説をされています。映画館でご覧になった方もこのコメンタリーは必見だと思います。もし機会があれば是非ご覧下さい。 最後に、映画のラストにちょっとした救われるシーンがあり、私はそこでも涙ぼろぼろだったのですが、そこにかぶってエンディング曲が流れます。その曲が素晴らしくてまた泣いてしまいました。
もしアメリカがアメリカ合衆国なら 訳詩の1節です。
この映画はアフリカ全体の話では無いのでアフリカ合衆国というのはちょっと違うのかもしれませんが、「どうして、同じ民族でいがみ合わなきゃいけないんだろう。もっと仲良くしようよ。」そんな気持ちが溢れてくる曲です。何と言ってもルワンダの子どもたちの「太陽はいつ私達の上に戻ってくるの?」という素朴な歌声が心にしみる美しい曲でもあります。良ければご試聴下さい。 3曲目のミリオン・ボイセズという曲です。
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