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カテゴリ:今日読んだ漫画
天顕祭 白井弓子 著 2007年度の文化庁メディア芸術祭の漫画部門で奨励賞を取った初の同人作品。本書はその作品を一般コミックス化したもの。 舞台は日本のようなどこか。「汚い戦争」と称される核戦争と思しき戦争が過去にあり、そのためこの世界は汚染された土地に覆われている。数少ない「飛び地」と呼ばれる清浄な土地に、高層と地下に延びる都市を作って人々は生きている。 放射能のような汚染「フカシ/フカレ」に命を脅かされながら生きる人々。日本のようなそうでないような不思議な世界と、スサノオとヤマタノオロチ伝説という古風な伝承・祭の組み合わせ。そして、全編を通じて扱われる竹。(フカシを取り込んで、土壌を浄化していくというのは、ナウシカの腐海と似た扱われ方ではあるが、竹であるからなのか腐海よりはずいぶんさわやかな印象だ。)見たことのない世界なのに、何だか懐かしい、そんな既視感を随所で感じる物語だ。 さて、クシナダ姫と言えば、スサノオのお嫁さんの筈なのだが、咲の夢ではクシナダはオロチの君の元へ向かおうとしている。何だか腑に落ちないイメージだ。スサノオはどこへ行ったのか?オロチの君とはいったい誰なのか?咲はいったい何から逃げようとしているのか?そして、間中は咲を救えるのか。。。 いろんな立場のいろんな想念が錯綜し、やがて不自然なピースがふさわしい場所へかちりとはまっていくラストシーンは圧巻である。(ただ、最後は台詞ではなく想念で進んでいく上に憑依されたり戻ったりめまぐるしくて少し混乱した。再読して理解。) 作者は、 ところで、この唇をかみ締める咲が印象的な表紙だが、ぜひ一読してから中をめくってみて欲しい。どっきりするから。
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