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カテゴリ:今日読んだ本
エリック・クラプトン自伝 エリック・クラプトン著 エリック・クラプトンの半生というのは、今までにも断片的には知っていたのだが、本人によって描き出されたそれはまさに壮絶としか言いようの無いものだった。読み物として大変面白く、途中で退屈するかと思いきや、一気に読めてしまうので、ファンで無い人にも一読の価値が有ると思う。
さて幼少期から、初期のバンド時代は読んでいてとても楽しかった。いろいろな人と出会い、旅をしては演奏し、不和になって解散してはまた出会いという融合と反発の中でクラプトンの音楽性と、「クラプトンは神」という名声が確立していった時代だった。希望の光に満ちていた時代だ。 しかし、ヘロインが彼の人生に登場して、様相は一変する。 一心にのめりこむ、何に関してもとことんまで突き詰めなくては気が済まない。クラプトンはそういう人なのかもしれない。とにかく程々でやめることが出来ない。(ドラッグやアルコールは習慣性があるから殊更それに拍車をかけたのかもしれない)廃人寸前まで追い込まれていくあたりの描写は蟻地獄か底なし沼にはまり込んで行くようで、まるで出口の無い真っ暗闇の中を這いずり回るような気分になった。 しかし、そんな人間だからこそクラプトンはここまでギターを極めることが出来たのかもしれない。「程々にする」ことを知っている人間には真似のできないほど、彼はギターと音楽にも耽溺して行ったのだと思う。 「ギターと音楽的経歴を取り上げれば私は何ものでもなかった。」 しかし、よく死なずにここまで来れたものだ。ジミ・ヘンドリックスみたいに早折する可能性は何度と無くあったのだ。オーバードーズ、飲酒運転による事故、自殺願望。。。数限りなく死に直面しながらも九死に一生を得てきた、本当に運の強い人だと思う。 さて、ドロドロで陰鬱でまるで浮き草のようにあてどなくさまようクラプトンの人生に大きな衝撃を与えたのは彼の小さな息子、コナーだった。クラプトンの息子が高層マンションから転落死して名曲「ティアーズ・イン・ヘヴン」が生まれたのは記憶に新しいところだと思う。 クラプトンはその何にも代えがたい大きな代償と引き換えに人生を取り戻すことが出来たと言ってもいい。
彼の人生には今、最愛の妻と4人の娘がいる。 子どもを持つまで、彼は精神的には10歳の子どもと同じだった。 人の愛によって、人の人生はこんなにも生まれ変わることに、深く感動した。
このCDを聞きながら読むと、本の内容とシンクロして非常に良かったです。(笑)
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