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カテゴリ:今日読んだ本
獣の奏者 上橋菜穂子 著 大公の所有する闘蛇を飼育する村に獣ノ医術師の母とともに暮らすエリン。ある日母の飼育する闘蛇が全て死んでしまい母は責任を取って処刑されてしまう。 天涯孤独の身になったエリンは蜂飼いのジョウンに命を救われるのだった。ジョウンと蜂とともに深い山に暮らすうち、ある日エリンは野生の王獣と出会う。王獣に魅せられるエリン。王獣に心惹かれることがどういうことかもわからぬままに。。。
人間以外の生物と意思を疎通させるということは、人間にとっては一つの大きな夢であり、憧れだと思うのです。犬や猫や鳥といった知能の高い動物は 随分それに近づいてきたと言えるかもしれないですね。でもやはり、もっと高いレベルでの意思を通い合わせられる知的生命体との出会いは果たせていない。そういう意味で、人間という種は孤独だなあと思わざるを得ません。 この獣の奏者という物語は、エリンという少女が力強く美しい獣「王獣」と心を通わせる物語です。 しかし、この獣の奏者はそれらとは一線を画する物語でした。それは王獣の思考形態が人間のそれとは大きく違っていたからです。 物語の前半は、悲しいこともあるけれど、ジョウンにやさしく育まれ、親友にも恵まれてエリンは王獣と心を通じ合う喜びに震える日々をすごします。それは陽だまりのように甘く穏やかな夢物語でした。 しかし、そこが甘くあればあるほど、後半に待ち受ける運命が重くのしかかってくるのです。 後半のエリンのあまりの孤独の深さに、何度も読むのが辛くなってしまいました。 そんな悲しみの果てに彼女の胸に去来するものは何だったのでしょう。
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