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2009.03.10
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カテゴリ:今日読んだ本

       

獣の奏者 上橋菜穂子 著

大公の所有する闘蛇を飼育する村に獣ノ医術師の母とともに暮らすエリン。ある日母の飼育する闘蛇が全て死んでしまい母は責任を取って処刑されてしまう。 天涯孤独の身になったエリンは蜂飼いのジョウンに命を救われるのだった。ジョウンと蜂とともに深い山に暮らすうち、ある日エリンは野生の王獣と出会う。王獣に魅せられるエリン。王獣に心惹かれることがどういうことかもわからぬままに。。。

 

人間以外の生物と意思を疎通させるということは、人間にとっては一つの大きな夢であり、憧れだと思うのです。犬や猫や鳥といった知能の高い動物は 随分それに近づいてきたと言えるかもしれないですね。でもやはり、もっと高いレベルでの意思を通い合わせられる知的生命体との出会いは果たせていない。そういう意味で、人間という種は孤独だなあと思わざるを得ません。

この獣の奏者という物語は、エリンという少女が力強く美しい獣「王獣」と心を通わせる物語です。
今までにも、異種間交流をテーマにした話は数多く作られてきました。私がこの作品を読んで即座に思い出したのが「パーンの竜騎士」という古いSF小説です。(その中に出てくる役職の名が「城砦ノ太守」であったり「大巌洞ノ洞母」というような風変わりな呼び方だったのも思い出した要因です。)
他にも、ナウシカの王蟲であったり、河童のクゥだったり、しゃばけだったり、E.T.だったり、ちょっと思いつきませんが、きっと実在、架空取り混ぜ数限りなくあると思います。ごく単純な思考から人知を越えたような思慮深さを湛えたものまで知的レベルの差はあっても、それらの多くは人間の思考形態から大きく外れるものではなかったように思います。だからこそすぐにお友達になれるわけですから。。。

しかし、この獣の奏者はそれらとは一線を画する物語でした。それは王獣の思考形態が人間のそれとは大きく違っていたからです。

物語の前半は、悲しいこともあるけれど、ジョウンにやさしく育まれ、親友にも恵まれてエリンは王獣と心を通じ合う喜びに震える日々をすごします。それは陽だまりのように甘く穏やかな夢物語でした。

しかし、そこが甘くあればあるほど、後半に待ち受ける運命が重くのしかかってくるのです。
全ての事情を知ってもなお自らの道を曲げられなかった傲慢さが招いたとは言え、それをひとりで背負うことになる運命はあまりにも過酷なものでした。

後半のエリンのあまりの孤独の深さに、何度も読むのが辛くなってしまいました。
特に、(これから読む人は反転部分は読まないで下さいね)突然リランとの信頼関係を失ってしまうところと、アゥオー・ロウのエリンの母の一族から「いっしょに行こう」と呼びかけられて、憎しみも露に拒否する場面は本当に悲しかった。エリンはその時最後に残された血のつながりを自ら断ち切り、またリランという心の拠り所も失ってしまったのですから。それでもリランと共にありながら、魂は虚空をさまよっているようなエリンが痛ましくてなりませんでした。

そんな悲しみの果てに彼女の胸に去来するものは何だったのでしょう。
ラストシーンの一つの救い。それはきっと新しい局面が開けると信じられる、確かなつながりを感じさせるシーンでした。

 

 






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最終更新日  2009.09.17 21:54:11
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