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カテゴリ:今日読んだ漫画
なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪に行って来ようと思う。 内田百間の随筆、「阿房列車」を一條裕子さんがコミカライズした作品。 そのまんまである。 普通原作物をコミカライズする時、やはりどうしても多少の誇張、漫画家の解釈、あるいはよりダイナミックなオリジナル表現が入るものだし、むしろそういった漫画的表現を加えることによって、原作の新たな魅力を引き出すのがコミカライズの意義といっていいと思う。 しかし、この作品に限ってはそれがあてはまらないのだ。
しかししかしである。 何も足さず、何も引かない一條さんのストイックな線が描き出す世界は、とても静謐で、一切の自己主張が無い。かの様に見える。 時折はっとするほど美しい、在りし日の日本の情景が現れる。夜の闇に黒々と横たわる列車であったり、驟雨にけぶる田舎の線路であったり。しばしページをめくるのを忘れるくらい見入ってしまった。 軽妙な百間先生の語りと、一條さんの詩情溢れる情景描写のコラボレーション。。。 内田百間を忠実に写したものでありながら、同時にこれは一條裕子の作品なのである。
ところで、この作品でIKKIのテツ漫画三部作の完成なんだそうである。 コンプリートしないように気をつけよう。。。(笑)
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