照葉ん家

私の職業は剣士。

レベルとしては６０台。

まだまだ、発展途上な戦士のひとり。

現在３次職を目指して、張り切ってる所。

エルメスの冷たくも澄み切った空気にご機嫌になり、今日も元気にがんばるぞー！おー！

・・・なんて、ひとりガッツを決めてみる。

うん。

今日も元気だ、ご飯が旨い。

・・・いや、ご飯なんて、今、食べてないけどねー！

一人でごちて、一人で笑う。

自分で言うのも何だけど、私ってば、ノー天気。うんうん。

それは良いことなのだよ、ワトソン君。

って、ワトソンって誰よー。わはは。



今日も目指すは、冷気の平原。

いつもの狼さんにお相手してもらう所存。

キャーイーンの声に、最初、すっごく哀れで、倒しちゃっていのかと悩んだんだけど、そんなの、一発攻撃くらったら、遠いお山どころか、銀河の彼方へ飛んでちゃったわ。

だって、痛いのよ！！

ナニよ？このワン公はっ？！

乙女の柔肌に、何てことするのよ！

問答無用でぶちかましてやる！



エイヤッ！！と、必殺パワーストライク！！

テイヤァ！！と、纏めてスラッシュブライト！！

防御だってばっちり！のアイアンボディ！！

受けた分はお返しよっ！のパワーガード！！



何匹でもまとめてドンと来いってゆーのよ！

どうだ！とばかりにふんっと鼻息荒く、ふんぞり返って狼達を睨み付ける。



すると。

睨んでいるのは向こうも同じだった。




「・・・」

「・・・」




妙な沈黙。



私は一人。

向こうは・・・。



つっと額から落ちたのは、嫌ぁな汗だった。





「わーーーっ！ちょと待ったぁーーー！！」





焦ってストップをかけるものの、あちらさんは止まってくれやしない。

思いやりの欠片も無い、馬鹿犬なんんだからっ！！



いい気になってかけまくった技の連発は、いたずらに向こうを刺激したみたいだった。

特にパワーガード。

攻撃してるつもりなんてないのに、向こうから勝手に触れただけで問答無用にこっちから喧嘩吹っかけてくれる技なんだもん。

目の前の狼達を倒す前に、次の狼が私を標的にしてきて・・・。




「どうせぃっちゅーのよぉーーーーーっっ？！」





まさに全力疾走！

三六計逃げるにこしたこっちゃないってねっ、昔の何処かのお偉いさんも言ってるじゃない！

ドドドドドドッ！！と地響きが起こるくらいのもの凄い勢いでもってして集団で追いかけられちゃ、さすがの私も本気で怖いってばさ。もーっ。

かわいい女の子を虐めるのが趣味なんて、あんた達、畳の上で死ねやしないわよ？！



目の前にあったロープにひょいっと捕まって、狼たちには絶対に登ってこれない安全地帯に非難することにする。

そのまましばらく待てば、犬科のくせに鳥頭な狼たちは、私に猪突猛進してた事も忘れて、フンフンとご機嫌に散歩状態に戻るに決まってる。



が。



其処は、ほら、「私」だから。

え？

「私だから」なんて、理由になってない？

それがねぇ、理由になっちゃうのよー！我ながら言っててつらいけど。

肝心なときに、何かやっちゃうのよね。

もう、癖っていうか、もはや・・・・・・特技？

あはは。

ちくしょう。笑うしかないわ！



ロープをつかんだ筈の手は、そのまま空を切った。



つまり。

手にロープは無く、ロープに手はつかまってない。

繰り返さなくっても丸分かりな、この状態。

結果。

身体は空中を移動し、足はそのまま、ぼてっとジャンプした数歩前に着地。

足が見事に揃ってます。揺るぎもせず、見事なポーズ！

１０点！１０点！１０点！！

監督！みんな！私、やったわ！！（感動の滝涙・感動のフィナーレ）



ンナ、ワケガナイ。




「・・・・・・・（￣□￣；）」




・・・あのな。私よ・・・。



凹む。

凹むのよっ。

アホアホアホアホッ！！

こんなバカチンなミス、１０レベルの初心者でもしないってば！！il|li○|￣|＿

ロープぐらい、シッカリつかまれよっ！！



しかも。

悲劇のヒロインよろしく、スポットライトを浴びつつ、バックに花でも飛ばして準備万端、面白楽しく凹みたいのに、凹む時間も無い。



振り向けば、怒りに目を血走らせる狼さん。

反対に振り向けば、怖い顔してご機嫌に闊歩している狼さん。

前門にも狼。後門にも狼。

虎はいないけど、どっちも狼。逃げどころなんてないじゃないっ！

あーーー！！か弱き乙女の花の命も、今まさに散らんと絶対絶命ーーーーっっ！！！！！




・・・なんて。




叫ぶわけ無いじゃない。

こんにゃろう。



腹、据わったっちゅーの。

やるんでしょ？あんたら。

だったらやってやろうじゃにのさっ！

このネェさんを舐めんじゃないわよ！狼どもっ！！

伊達に長年生傷絶えない戦士をやってるわけじゃ無いっつーの！

てめぇら、まとめてぶった切る！

おりゃぁ！４つ足の畜生ども！来いってんだ、てやんでぇい！！




「せいやぁ！怒涛のパワーストライクッ！！

どりゃぁ！怒号のスラッシュブライトッ！！

たこ焼きだって食べちゃうぜ！

名手の薬もがぶ飲みだぁー！！







どんなもんだい。舐めんなちくしょう！！！！






続