カテゴリ:だから
東京都が五千万円の投資を決定すると、都市銀行の営業が行列した。彼らは預金の獲得とそのファンドによる融資を目的としていた。広尾オフィスの会議室で彼らは待たされた。その社長はそういった金融状況の変化を好ましく思っていた。彼はもはや銀行から融資を受ける立場になかった。銀行の投資対象になっていた。 銀行だけでなく、民間のキャピタルの調査部もファンド(ベンチャーキャピタリング)の設立に動き出していた。 数ヶ月後、上場系から一億円のファンドが決定し、あっけなく会社の口座には一億五千万円の残高になってしまった。 僕はそんなにお金があってもなにも投資するべきものがなかったので、あたらしいシンセでも購買するかなと考えていたが、副社長はキャデラックを会社用に買ってきたし、社長は僕に安物のロレックスをくれた。 相変わらずサーバールームの脇の僕のフロアはハーレムだった。MEDIA対応の課長は、この事業に興味なかったはずだが、僕が語るように、その事業の話を語っていた。それはまるで僕が乗り移っていたような印象を受けた。 僕の関心は技術上の問題解決だけで、クリスマスまじかの街を眼下に、あいかわらずの毎日を過ごしていた。 そんな日々に深夜に訪れたクラブで彼女に初めて会った。 (無論これはフィクションです) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Feb 16, 2006 10:37:27 AM
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