テーマ:☆詩を書きましょう☆(8459)
カテゴリ:だから
赤子のようにあなたは泣く、はらはらとおともなくそのつぶらな瞳から、大粒の涙がぽろぽろ。 「わたしだって泣きたいときもあるのに、あなたに泣かれたら泣けないよ」 部屋の壁にもたれて、窓の外をみてる。短い休暇が終わって、今日でおわかれ、今度はいつ会えるのかしら。 遠くはなれてくらしていると、わたしがあなたの現実のなかに、いない感じがする。 きみがいなくなった京都は、見知らぬ街のようで、夕暮れの四条で、似た人を見ると、振り返ってしまう。 「結婚してしまおうか」 その言葉を飲み込んで、ふたりは同じ壁を見てる。 最終便の時間を気にしながら、互いの体の記憶をとどめるように、つかのま愛し合う。 「あなたは女をつくらないで、おりこうさんしてるのね」 あなたは戸惑う顔をして、さみしそうな横顔に、また大粒のなみだが落ちる。 「わたしが、なかしてるみたい」 「詩人は泣くのが仕事だからね、ばけついっぱいの涙で、詩がひとつ書けるのさ」 「わたしがあなたを詩人にしたのね」 「そうだよ」 やさしく強く激しく、ものぐるおしいいとおしさで、抱きしめた。 すこしやせてしまったあなたの体をだきしめた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Apr 29, 2006 10:41:53 AM
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