テーマ:☆詩を書きましょう☆(8533)
カテゴリ:だから
「お母様は、お父様以外に好きな方いたの」 「いたわよ、反対されて、お別れしたの」 「どんな」 「聡明で、美しい目をしていたわ」 「なぜあきらめたの?」 「そういう時代だったの、だからね、優子にはそんな思いしてほしくないの」 「そう」 優子は母の人生をすこし寂しいものに、思った。その方が、もしかしたら自分の父親になっていたかもしれないと、思うと。 「優子は、好きな人いるの」 「うん」 「あきらめないでね」 午後の西日になりかけた光が、庭先の葉鶏頭(はげいとう)の赤い色に溶けていた。優子は母の顔をみただけで、答えなかった。 「そうよ、なにもかも、捨てたい恋もあったのよ」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 5, 2006 09:06:45 AM
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