テーマ:☆小説をかきましょう☆(102)
カテゴリ:だから
「そう、あなたは当事者能力がないのよ」
「はあ?」 由香は、睨む、顎を引いて、上目使いで。この目線は、危険な兆候だった、彼女はおなかがすくとこの印象の、そう、青山を自転車で、駆け下りていく麻布方面。 二台の自転車は、疾走する、由香は逃げて、僕は追いかける、それは儀礼的な時間。雨の匂いのする東京はすがすがしい。中国大使館を抜けて、かなり急な、まがりくねった道を、麻布十番にむけて、ふたり転げ落ちるように、滑り降りていく。 そういった東京の表情を僕におしえてくれたのも、彼女だったが、愛というものの、無防備で貪欲な果てしないわがままの女こころを、教え込まれて、僕はすこしは忍耐というものを覚えたような気分のまま、西麻布の焼肉やにむかって、首都高速の下を緩やかなカーブを曲がりながら、前を走りぬける由香のHIPにHOPな感じで、そういった夕暮れには、幸せを感じたものだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 10, 2006 07:18:02 PM
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