カテゴリ:だから
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貴之は詩人である。寝言もむろん詩である。 貴之の寝言メモ その1 約1ヶ月分である。 なにぶん実在する氏名もあるがもはや時効なので。 筆記は当時の恋人によるものである。 ------------------------------------------------------------- 約束をしていたために起きたこと、それだけの時間なのかい 君が見せる偽りの横顔に僕を重ねてしまうのはいけないことなの 恋に狂いながら死ねる男が羨ましいね 僕がそっとしてるつもりでも、君はすぐにわかってしまうね 君の前に足を投げ出して力なく腕を重ねても、君は何もしない。 真美、君の事を思っているのは、誰なんだろうね 僕の愛する人はここにいないよ 夜が過ぎていく。毎日見過ごされていく僕の姿。 綾、君は心の隅に落とした僕のことを、もう忘れてしまったのかい 水のなかに漂う海のように、名もない僕の漂う世界。 美奈、君の濡れた髪に口を寄せて流れる汗を、 背中からシーツが拭い取って、僕を濡らしていく。 髪を揺らしながら、体を少し屈めて夜を見ている瞳。 僕は寂しさだけを君に与えながら、見ているだけなのかい、君は。 僕のほうに近づいてこないの。 何もしないというのかい。 何も出来ないなんて、部屋の隅に座って待っているだけなの。 そんな毎日は意味さえもない。なんていえばいいんだろう、 君のように悲しい人は、僕以外いないよ。 秋、瞳ばかり逸らして、君の素直な心が感じられないよ。 僕の前に跪いて美しい髪が揺れていたのに。 肩越しに見える月が、二人を照らし続ける夜よ、君は、あらわれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 13, 2006 06:31:00 PM
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