カテゴリ:だから
見知らぬ都市の、ビルの中のサーバールームに、夕日は見えないが、夜は迫り来る、時間切れのTASKを抱えたままで、きみの予約したホテルには帰れそうもない。
緑のインジケータは、鼓舞するように、闇の中で、うごめいている。 愛はそこに、ない。 機械はなにもいわない。さきほどからリロードに失敗しているストレージは、西海岸にある。むろん夕暮れのロサンゼルスの、そのインジケーターは赤をともしている。 SEはサンセットビーチで、フィッシュフライをほうばって、モバイルの監視システムを見ている。 「WHAT CAN I DO FOR YOU」(なにか手伝えるかな) 「CHANGE SYRAGE TO TKO」 (ストレージシステムを東京に切り替えてくれ) 短いチャットが、サンタモニカからはいる。 数秒後、彼は、サンセットクルーズのヨットのデッキから、深夜の日本の地方都市の、冷たいサーバールームの接続先をTKOに変更した。 別なIDのLOGINが光る。 「もうかえっちゃうから」 「好きにしていいよ」 時計をみると午前3時をまわっている。始発の空港に向かうには、まだ早い時間で、彼は目薬をさして、サーバールームを後にした、地方都市の夜景は、まもなく朝を迎えようとしている。 いったいなにを犠牲にして、なにを得ようとしているのだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Nov 20, 2006 07:32:42 PM
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