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山崎貴之

山崎貴之

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Dec 21, 2006
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カテゴリ:だから

 現実の事象に対して、コンピュータシステムというものは、迎合せざるをえない。

 ビジネスフローの構築は、えもいえない優秀なシステムエンジニアであればあるほど、その脆弱性に気づくために、あるいは着眼の角度が異なってるために、概してそういった思考をおこないわない職種との乖離する整合性や、現実をはめ込もうとする習慣の、EBIZにおけるやるせなさにおいて、僕はときに、つらいたそがれになる。

 結果オーライな人生を過ごしている祐介は、その場しのぎのロジカルさで、彼にかかれば、詭弁寸前な理路整然さで、人生の、ビジネスのあらゆる問題を穿り出して、かたっぱしから解決する天才だった。

 しかし、このシステムの問題は、既知の解決方法のみつかった問題の提起を惹起的にくりひろげているに過ぎないことも、もうすでに気がつくべきなのかもしれない。

 彼のイデアに人生ということばはなく。彼の脳の瞬発力は、10秒フラットですべての答えを出す。そして彼の不幸はそういった、無茶な、迎合的な姿勢で、ただただ頭脳の優秀さを明確に周囲に撒き散らすことの、彼が幸せを感じる根拠だった。

 優秀であることは、あまり意味のない時代になった。

 高所得であることも、あまり意味のない時代になった。

 その彼のように、前向きに生きることの厳粛な喜劇性について、嘲笑めいた彼自身の自信の根拠さえ、曖昧にほほえむだけで、ぼくたちはたそがれの鴨川で、みたらし団子をたべながら、ぼんやりとこれからどうやって生きていこうかなと、考えているのだった。愛してるとか、きみがいなくてもとか、前向きでもなく、後ろ向くでもなく、ただただふたりは、いったいなにをしにこの世界にうまれてきたのか、ちょっと考えていた、みたらし団子をたべながら。


「じゃ、とりあえず、のみにいくか」

みたらしのしょうゆだれの唇で、彼はそういうと串をくわえたまま、祇園のほうへ歩き出した。








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Last updated  Dec 21, 2006 06:21:06 PM
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