カテゴリ:だから
彼女は美雪といった。褐色の肌と大人びた雰囲気でクラスに現れた。 彼女は美幸といった。白い肌とよく笑う明るさで、クラスに現れた。 美幸は名前負けだと言われた。むかついたが、すぐ笑った。 美雪はしゃれにならないほど綺麗だったので、洒落にならなかった。 みゆきと呼ばれた場合不細工なほうで、(あくまで美雪にくらべて) そういえば美雪はクラスにその名前で呼ばれたことはない。 僕が中学2年生の引っ越していくとき、たくさんの女の子たちが、 文通してといってきた。 僕は見境なくすべてのガールフレンドと文通した。 僕が学校から帰ると、だれかしらから、手紙がきていた、それは、二階にあがる階段の中ほどに母が置いてくれていた。 それは時には束になっていた。 もちろんふたりのみゆきちゃんと文通していた。 彼女たちは澄江ちゃんと僕が けっこういい線の中学一年生だった のをしっていたので、 あおる手紙でなく、たんたんと日常を編んだものだった。 結局ぼくは18歳になったある夜、短大に進学して 一人暮らし を始めた澄江ちゃんのマンションに泊まった。 しかし純愛系のふたりにはなにもおこらなかった。 ふたりがあったのは小学2年くらいだったから、 スカートめくり などで、おがんでいたそれが、 そこにあるのは不思議な感じがした。 やがて僕は東京の女の人に手篭めにされて、彼女達のことを忘れた。 一生の不覚だった。 。。。 「なにかんがえてるの?」 「え?」 「深刻なかおしてる」 「、、」 そういえば、真理絵ちゃんは、美雪に似た美人だなあと初めて思った。 「いや、真理絵ちゃんににたモデルさんの名前がおもいだせなくて」 「顔あかいよ?」 「うん」 「知ってる?」 「なに」 「てるちゃんってさ、うそつくとき、顔すこしあかくなるよ」 「、、」 僕はうつむいていたが、 本当のことを話すって、 どこまで話せばいいんだろう。 「ごめんね、おさななじみの君ににたひとのこと」 「ねえ、まだ赤いよ」 「おさななじみの女の子たちのこと」 「わたしになにか不満でもあるの」 「ちがうよ」 そばできいていた裕子が言った。 「あなたたち、仲良しねえ」 僕と真理絵ちゃんは目線を合わせて、 「そんなんじゃない」 とハモッて、三人で笑った。 笑いながら僕は赤くなる顔を真理絵ちゃんにみられないように祈った。 結局 美雪も美幸も、僕を選ぶことはなかった、 澄江ちゃんも、あの夜以来、なんとなく疎遠になってしまった。 僕は真理絵ちゃんがほしいと思っていたが、 うばったりうばわれたりするのは愛じゃないという (ひらはらちゃん)のうたのように、 この恋も この雪のように 明日になれば消えてしまうのかなと感じて、 すこし悲しくなった。 でも 僕のなかの彼女たちはいつまでも中学一年生のままで 僕に時折微笑んでくれる、そんな雪の夜だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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