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ある朝、母が新聞のチラシを見ていた。 「おとうさん、これがほしい」 薬局のチラシにブルガリのコロンが安売りをしている、1980円税込み 翌朝、僕は食堂で、亜子とおなじ匂いのする、母親と目玉焼きを食べた。 父を見た。 なぜか彼もブルガリをつけている。2980円 こいつらブルガリのブの字ももっていないくせに、と僕は思った。 父はダンス教室の先生にほれているらしい、 なぜか彼女の電話番号を知っている。 「紹介してよ」 「ほれるぞ」 「兄弟になるのかよ」 「馬鹿」 へんな一族だなあと思った。DNAというのは怖い。 「こないださ、ヨットに来てた女はダンスの先生なんだ」 「ご想像にお任せします」 「やるじゃん。( ´_ゝ`) プッ」 「・・・・・・・・・」 「個人レッスンやってんだ、れっつダンスって映画みた?」 「みてないな」 「あのさ、あの安物の赤いベンツの女でしょ」 「ノーコメント」 「けばいよねえ」 「うるさいなあ」 「こんどつれてってよ、ダンス教室」 「ああ、年金が出たらな」 「でさ、彼女から借りたんだろビデオ、なに借りたのさ」 「なんでしってんだ」 「こないだ、電話で話してたじゃん、”ビデオまだみてないです、ビデオが故障してて” あほか! あなたの部屋でビデオみていいですか?っていみじゃん」 「聞いてたのか」 「で、どうなのさ」 「・・・・・・」 母は、黙って目玉焼きをたべている。ブルガリはつけすぎだった。 いまこの家はブルガリの香りが、あちこちでしている。 亜子は元気なのかなあ、と思った。 顔をみてあけおめしたいっていってたし、成人式は出たのかなあ。 僕は広尾の部屋に差し込む日差しを思った。机の上で亜子が僕にキスをしているポラロイドのなかで、彼女が笑っている。 「あの写真NETで公開していい?」 「ギャラは?」 「つーらんどっと2回」 「いいよ」 「公開したらお嫁にいけなくなるよ」 「いいよ、たかちゃんもお婿にいけなくなるよ」 「そか」 電話をしない彼女の、信濃町の部屋を思い浮かべた。 「かってに退学したら、めちゃおこられた」 彼女は記念受験で受かってしまった、青山の国文を半年で辞めていた。 「なんで英文志望の人が、国文うけるのよ」 「記念だからね」 「そか、国文中退なんてかっこいいねえ」 「やめてよ」 亜子はすこし怒った。 「こめん」 「いつつーらんいくのよ」 「うん、PROJECT始まる前にね」 「はやく東京かえってきてよ、地元で彼女でもできたんじゃないの。( ´_ゝ`) プッ」 電話が切れた。 たしかに地元の短大生に英語の宿題てつだっているが、彼女ではないな、、汗。 ** 「LAのあとさ、フロリダいってくる」 「ふろ?」 語学で短期のスクーリングにいく彼女。 彼女が日本からいなくなる。 僕が仕事以外でUSに言ったことないのしってるくせに 「ひとりでフロリダになにしにいくの」 「あったまってっくる」 「そか、こんど僕を案内してね」 「たかちゃん忙しいじゃん」 「う」 何がいそがしいのか。 「あいしてるよ」 「ありがとう」 「あいしてるといって」 「ハズカシイ↑」 電話が切れる。 ありふれた部屋に 彼女の面影を探す。 *** 「とうさん、彼女の母親が自分より年下だとわかって、 その娘にチュウできるか?」 「チュウはできるだろう」 彼は躊躇いも、何事もなく、そういった。 「そうか」 僕はこの人の息子に違いないと思った。 貴之の母はブスである 彼女も恋愛したらしい しかし 女優や私のGFの綺麗な人を見ると 「美人は得だねええ」 とひとりごとのようにつぶやく !!ぜったいそんなことはない!! 容姿がいいと腹黒い場合がある 美人は性格がキツイ 美人のわがままはゆるされる男社会である ま 彼女のブスとしてのキツイ恋愛経験に興味はないが ”勝ちブス”という概念を提示したい 人もうらやむような美男子6歳年下の男を2番目の夫にした その女は愛子という名前のブスで、私の母である。 ”勝ちブス”である。 幸い私は彼女ににていない。 ** 或る夜父がVIDEOをみていた。 「レッツダンスじゃん」 「うむ、だれかがかしてくれたが、だれだったかわすれた」 「そういえば、明日ダンス教室だね」 「おお、忘れていた」 「シャツあるのか?俺のかしてやるぞ」 「ある」 「じゃ先生によろしくな」 「ばか」 ** お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Dec 26, 2006 06:02:35 PM
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