カテゴリ:だから
源氏の年上の彼女である野宮の君は、御所からかなりはなれた嵐山に住んでいた。
かなり綺麗で、知性のある、気品と、矜持の高さは、いいかんじだったが、やがてうざく感じられるようになったのは、タカピーな女だったからだった。 愛し合うまでは、そのタカピーさは、魅力だった、が、そのこまやかな情感は、いとしさからうとましさへ変化して、しだいに、嵐山へ牛車にのって、はるばる出かけるのに、うんざりしてきた。 一方そういった悲恋のヒロインである野宮の君は、情念に取り付かれて、やがて生霊となり、その後の源氏の恋愛のいろいろな場面に、生霊として登場し、最悪の結末を、その色恋沙汰に、起こすことになる。 彼女はほんとうは源氏が好きで好きでたまらなかったが、そういう感じをあまりださなかったので、源氏もいまひとつ盛り上がれないでいた。 「あのさ、源氏ちゃん、最近なんで夜這いにきてくんないの?」 「うぬ、ちょっといそがしいのさ(うぜえいいかただなあ)」 「今夜はとまってくでしょ」 「ちょっと明日会議だから、かえらなくちゃ」 「そうなんだ、わかったわ」 「なにがわかったの?」 「ま、いいか」 「じゃ、かえるね」 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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