カテゴリ:だから
彼女は持て余して、かからない電話番号に電話をしてみる。 彼のあたらしい電話番号は知らされていない。 彼は東京から消えた。 時折手短な要件のメールが着信するだけで、彼女がメールしても返信はない。 彼の人生に必要ない事実を受け止められなくて、夜明け前に泣いているBED。 もっと優しくしてあげればと悔やんでも、取り返しがつく訳ではなかった。 彼に新しい女がいるのなら、いっそましだが、彼はまだ一人で暮らしている。 二人行った赤坂で、紅茶と木苺のジャムを買った、いつか買ってもらったものと同じものを。 夜明け前にボーンチャイナに入れた紅茶に、ジャムを入れて、シルバーのスプーンでかき混ぜながら、髪を揺らしている彼女の横顔。 「残念だけどもうあなたのこと愛していないわ」 「顔も見たくないの、どこかに消えてほしいの」 あの夜のことを考えていた。 どうかしていた。 彼は優しかったし、すべてを受け入れていた、 その愛のために、 しかし彼女は理解しようとは考えなかった。 それは彼の問題であり、彼女のものではないから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Feb 27, 2007 10:59:45 PM
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