カテゴリ:だから
17歳のぼくの誕生日に、きみは短い手紙にそう書いた。ちいさな、木製のかわいらしい女の子の人形が、白い箱に入っていた。 いま思えは17歳の小娘の、愛の告白は、おもはゆくも、愛らしいものにすぎないが、やはり純真な少年には、刺激がつよすぎたことも事実だった。 それはなにかしらの永遠を手にいれてしまったような、人生の大半の幸福の保障のように感じた。 その幼い愛に、愛された、短い季節のことは、いたずらな気まぐれの季節にすぎないかと思えば、さにあらず、その後の愛ということばに、怖じい影響を及ぼすことになろうとは、そして、いまもその便箋の、ちいさな文字を、脳裏からはなれることはなく、愛に思うとき、その風景はまざまざと、浮かんでくる一部なのだった。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jun 24, 2007 03:28:42 PM
コメント(0) | コメントを書く |
|