カテゴリ:小説「ある結婚」
家庭は二度こわれた。仕事で家人はつきあいきれない。システム部というかその会社では、べつにめずらしいことではなかった。 「わかれることにした」 佑介はベランダでつぶやくように言った、僕はおどろいたが、御似合いだったし、愚妻とキッチンでパーティの後始末をしている、まだ幼さののこるかおりちゃんの、今夜の様子には微塵も感じられなかった。 「ふたりでくるのは、今夜が最後なんだね」 彼はうなずいた。 「そっちはどうなんだ」 「わからないね」 「そうか」
僕はその数か月後、彼の再婚の話を聞いた。こんどの奥様はかおりちゃんより、すこしおねえさまで、その速さに驚いた、そういう業界なのだった。
僕はとくにあてもなく、二度目の妻とわかれた。あれから5年になる。むろんまだ一人でいるが、それは多忙のせいで、僕のせいじゃない。
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Last updated
Jul 5, 2007 07:43:03 PM
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