カテゴリ:だから
「こわい顔してる」 寝室であなたはつぶやいた。 PCをみつめる僕は、素の表情をみられた。 僕はそういったこわいかおをして、仕事をしているのだろうか。 その台詞に聞き覚えがあった。遠い昔、言われた。
僕はそんなふうに生きている。 素の僕は、どんなふうに世の中にみえているのだろうか? 僕は自分にといかけてみる。
洗面の鏡の疲れた表情の、笑顔をむりにつくっても、ぎこちない。 心のなかの、仕事への意欲や、つぎの目標への、熱いものがどうしても拭えない。 こういった平和な日々にいると、僕が僕でなくなってしまうような。
「ぼくたち、もうだめなの?」 「そうね、あわないわ」
きみは明日の天気の話を語るように、別れ話を切り出す。
「あなたは、実力以上の仕事をするから、疲れるのよ」
僕の実力、そんなものきみが、ご存知なの? この女もだめなのに、落胆もなく淡々とあたらしい計画に思いを巡らす。
「なにを考えてるの?」 「べつに」
きみにそれを話しても、きみには実力以上の話なので、理解はできない。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|
|