018537 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

店主@手染メ屋ぶろぎんぐ

店主@手染メ屋ぶろぎんぐ

PR

フリーページ

オリジナルのオーガニックTシャツ素材を中心に
天然染料で染める京都の工房をやってます。

フクザツでやさしいモワァっとした色目を
楽しんで頂ける様日々奮闘中。

http://www.tezomeya.com/
2010年03月02日
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類

先週の土曜日は今年第一回の公開実験教室を催しました。


題して「染料は沸騰させない方が濃く染まる!?」

 

染める液を作るときにグツグツ沸騰させない方が
良い色が出るんじゃない?っていう実験です。

 

今回使った染料は

・インド茜

・ザクロ

の二種類。どちらもミョウバンで媒染したので
それぞれ、赤系の色と黄色系の色になりました。

 

まず、染料をそれぞれミルサーで粉々に砕きます。

これが結構大変なんですよね。
ボクがもってるのは普通の家庭用のミルサーなので、
それなりの染料の分量を粉にするには何回にも分けないと
できません。

皆さんに手分けしてもらって茜とザクロを粉々に砕いて
もらいました。


こんなかんじ。

右がミルサーで砕いた染料、左が普通の状態の
染料です。


で、これに水を入れて火にかけるのですが、
普通の状態の染料は沸騰するまで
ガンガン熱くします。
で、沸騰したら弱火でボコボコ煮立て続けます。

かたや、粉状のものは、80度以上にならないように
火加減をアレンジ。
75度~80度の間でキープできるよう火加減を
常に調節し続けます。

この、75度~80度に常に保ち続けるのが
結構難しいんですよね。


そうやって、1時間煮て、染液を作ります。

 

その染液に先媒染した染めアイテムを入れて染めます。


で、また媒染。


最後にもう一回染液に浸けて、終了。
後は洗濯。


で、出来上がりがこれ。

 

うーん、画像ではあんまり色の差がわからないですけど、
低温で焚きだした染液と、普通に沸騰させた染液とでは
色の濃さだけでなく、色目が違いました。
ザクロは、低温で焚きだした方が少し赤味がありました。

染液なんかは、低温で焚きだした方と沸騰させた方では
香りが全然違う。低音で焚きだした方が芳醇な香り。
染色とは関係ないかもなんだけど、
低温で焚きだした方がいろんなものが出てる感じが
プンプンでした。

濃度も、アカネもザクロもどちらとも低温で焚きだした
色目のほうが濃い色に仕上がりました。

めでたしめでたし♪

 

 

何故低温焚きだしだと濃く違う色に染まるのか?

これは、植物に含まれている色素が、通常は
配糖体っていう形で入ってまして、この
配糖体が壊れちゃうと水に溶けないものになる
ヤツがいるんですね。

水に溶けないと染色できない。
だから、配糖体のままで植物から取り出したい。

でも、この配糖体って、温度によわいヤツが普通の
植物にも結構入ってて、沸騰でずっと沸かしてると
どんどん壊れちゃうらしいんです。

だから、配糖体が壊れにくい80度までのところで
植物を煮出す。

でも、温度が低いとそもそも成分が出にくいので
できるだけたくさん出てもらうために、細かく細かく
砕く。


・・・とても簡単に申し上げましたが、ざっくり
そんな理由だそうです。
これは、木村光雄さんという大学の先生に
教えていただいたメカニズムなんです。


ほんとにこの方法で染液焚きだすと、植物によっては
グツグツ煮込んだときと違う色になったりもするんですよ!


いやぁ、ホント素晴しい発見だなぁ、なんて思ってたんだけど、
でもいろんな本を読んでると、これと同じことを
昔の人はやってるらしいんです。

前田雨城先生の「日本古代の色彩と染」によると、

-----
染液は、水に入れて待つ。一体となれば火を入れ、
境がとれれば保つ、治まれば分ける。
大方これなり。
-----

という、代々高倉家(皇族・貴族の装束を
担当していた家系)に伝わる染めの口伝
がありまして、
この、
&ldquo境がとれれば保つ&rdquo
ってのが、どうも沸騰よりも低い温度で
植物を煮出すことみたいなんです。
前田先生のお話しでは。


で、この&ldquo境&rdquo(すなわち温度?)というのは
植物によって違うんだそうです。

木村先生も、配糖体はいろんな種類があるから
植物によって壊れ易くなる温度は違うって
おっしゃっておられたし、まだまだ
わからないことだらけです。

 

でも、代々皇族の染めに携わっている人が
昔から沸騰させずに色だししたほうが
良い色が染まる、って知ってたのって、
なんか、やっぱすごいな、と。

この仕事してるとホント思うことが多いんだけど、
昔の人って、すごいな、と。

ボクも見習わなきゃな、と。

 


植物ごとに最適温度が違うみたいだし、
染料を粉砕するにはその小ささが一定でないと
色のブレが起きるみたいだし、
まだまだいくつかハードルがあるのです。

地道にトライアンドエラーをやっていかなきゃな、
と改めて思うのでした。


がんばろっと。

 

 

さて、今月は「伝統色のワークショップ」です。
3月27日(土)に猩々緋(しょうじょうひ)色を
染めます。
また詳細はサイトで紹介します。
お楽しみに!

 

 


店主@手染メ屋
http://www.tezomeya.com/






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2010年03月02日 20時02分33秒
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

手染メ屋店主

手染メ屋店主

お気に入りブログ

デイリー日記 セイマニンTシャツさん
オリジナルTシャツ… しん.mさん

コメント新着

海のくまさん@ チン型取られちゃったw http://onaona.mogmog55.net/-cojjbv/ 俺…
たっちゃん@ これマジだった! 生マOコ気持ち良過ぎだぁぁぁぁぁぁぁぁ…

© Rakuten Group, Inc.
X