新しくなった鉄道博物館へ
19日、3年ぶりに鉄道博物館を訪れた。僕が鉄道博物館を訪れるのは今回が3回目、2018(平成30)年の南館開館後は初めてである。まずは新しい南館へ。2階のシミュレータホールでE5系新幹線電車のシミュレーターの整理券をもらってから、同館のシンボルとも言えるのが1階に展示されている400系新幹線電車とE5系新幹線電車(実物大模型)である。営業運転では出会うことがなかった両車を間近に鑑賞した。400系新幹線電車とE5系新幹線電車(実物大模型) 400 Series Shinkansen and a mock-up of E5 Shinkansen exhibited400系新幹線電車411-3号車 411-3 of 400 Series Shinkansen400系は1992(平成4)年から2010(平成22)年にかけて活躍した山形新幹線「つばさ」用車両。日本で初めて、フル規格の新幹線と在来線を新幹線と同じ標準軌(1435mm)に改軌した区間を直通運転する新在直通車両、いわゆる「ミニ新幹線」車両として登場した。在来線(奥羽本線福島駅~山形駅間、1999(平成11)年より新庄駅へ延伸)へと直通運転するため、在来線の規格(車両限界)に合わせた小ぶりな車体(車長23075mm(先頭車両)、車幅2947mm、車高3870mm)、車外ドア下の東北新幹線区間での車体とホームの隙間を埋めるステップ、銀色・グレー色・緑色の塗装が特徴的な車両である。展示されている411-3号車は2010(平成22)年のさよなら運転列車として運行されたL3編成の東京方先頭車両だった。先頭部先端には200系電車やE4系電車との連結に対応した連結器が備わっている。400系は僕にとって、リニューアル後に展示され始めた車両の中で最も見たかったものである。デビュー間もないころ、東京駅の13番線(現在の23番線)へとその姿を見に行った。それまで新幹線といえば、東海道新幹線は白色(クリーム10号もしく白3号)と青色(青20号)、東北・上越新幹線は白色(クリーム10号)と緑色(緑14号)の組み合わせであったが、これらとは全く違う銀色・グレー色・緑色の鮮烈なイメージの車体色を幼心に焼き付けていた。しかし僕は400系に乗れないまま引退を迎えてしまった。車体色は1999(平成11)年の山形新幹線山形駅~新庄駅間延伸の後で2代目となる塗装に塗り替えられたが、南館での展示に合わせて登場当時の塗装が復原された。400系新幹線電車411-3号車の車内 Interior of 411-3411-3号車はグリーン車である。ここにも在来線規格の特徴が現れており、2+2配列が一般的だった新幹線のグリーン車で初めて1+2の配列である(のちにミニ新幹線車両として登場するE3系やE6系は2+2配列で製造されたため、400系は新幹線車両で唯一の1+2配列のグリーン車を採用した車両である)。続いては本館4階のパノラマデッキへ。東北新幹線・上越新幹線・北陸新幹線・川越線・高崎線・埼玉新都市交通ニューシャトル伊奈線の列車が走る姿を見下ろすことができる。埼玉新都市交通2020系電車 ブライトアンバー色の22編成 Saitama New Urban Transit 2020 Series 22 set (bright-amber-coloured)埼玉新都市交通2020系電車 ピュアルビー色の23編成 Saitama New Urban Transit 2020 Series 23 set (pure-ruby-coloured)東北新幹線を走るJR北海道H5系新幹線電車 JR Hokkaido H5 Series Shinkansen この日初めてJR北海道H5系新幹線電車による「はやぶさ」を撮影することに成功した。H5系は10両編成4本しか在籍していない、新幹線の営業用車両としては最も希少な存在である。ただし、H5系で運行される列車は限定されているため、ダイヤが解っていれば容易に撮影することが可能である。H5系による東京駅発着の列車は3往復(上り(東京行き)は「はやぶさ10号」・「はやぶさ24号」・「はやぶさ36号」、下り(仙台・新青森・新函館北斗行き)は「はやぶさ19号」・「はやぶさ33号」・「やまびこ223号」)あるが、このうち鉄道博物館開館時間に通過するものは、上りが「はやぶさ10号」・「はやぶさ24号」、下りが「はやぶさ19号」・「はやぶさ33号」の合計4本である。この1日4回しかないチャンスを確実にカメラに収めようと、僕はその時間を狙ってパノラマデッキへ上がった。僕が撮影したH5系は10:38に大宮駅に到着する「はやぶさ10号」である。H5系撮影後は、2017(平成29)年にリニューアルされた本館2階の鉄道ジオラマへ。11:00からの解説プログラムを見ることにした。鉄道ジオラマ全体像 image of the dioramaリニューアルで新しく作られた情景である新国立競技場風のスタジアム 奥の線路を走る車両はE7系新幹線電車 a stadium looking like reconstructed National Olympic Stadium and E7 Series Shinkansen in the dioramaJR西日本285系電車と国鉄583系電車の新旧寝台特急電車が並ぶ JR West 285 Series and Japan National Railway 583 Series in the dioramaE231系電車・209系電車・E259系電車が並走 E231 Series, 209 Series and E259 Series running in parallel近鉄50000系電車 Kintetsu 50000 Seriesジオラマでは山手線のE231系電車やE5系新幹線電車・E6系新幹線電車・E7系新幹線電車といったJR東日本の車両をはじめ、JR西日本285系電車や近鉄50000系電車といった他社の車両の模型も見られた。車両だけでなく、トンネルや鉄橋といった鉄道構造物や沿線の建造物も緻密に作られており、新国立競技場に似たスタジアムや信濃川発電所に似た水力発電所が建っていた。解説プログラムでは、始発列車から最終列車までの列車たちの1日を、照明の変化を伴いながら再現された。途中、実車では盛岡駅で行われるE5系「はやぶさ」とE6系「こまち」の切り離しも再現された。ジオラマを見た次は、同じく本館2階にあるトレインレストラン日本食堂でランチタイム。トレインレストラン日本食堂 image of a restaurant in the main buildingトレインレストラン日本食堂の座席 image of a restaurant in the main building店内の一部は特急列車の食堂車を想像させる造りになっている。食器も1988(昭和63)年から2015(平成27)年にかけて上野駅~札幌駅間を走った寝台特急「北斗星」の食堂車(スシ24形「グランシャリオ」)で使われていたものと同じものであるという。食堂車のビーフカレー curry and rice served at the restaurant食堂車のビーフカレー curry and rice served at the restaurant僕が注文したのは、食堂車のビーフカレー。国鉄時代の特急列車の食堂車で乗客に提供されていたカレーを基にしたメニューであり、現代風にアレンジを加えたものだそうである。カレーは辛すぎない優しさのある味で、牛肉は柔らかく煮込まれているものの、歯応えが残る絶妙な加減であった。ランチを終えて、レストランの前から車両ステーションを見下ろす。車両ステーション全景ちょうど転車台の回転実演が始まろうとしている時だった。この日から車両ステーションの転車台上に展示される車両がC57形蒸気機関車からEF55形電気機関車に変更された。転車台回転の様子 Turntable while performingこの日(6月19日)から転車台へ移設されたEF55形電気機関車 Class EF55 electric locomotive on the turntable located at the centre of the Rolling Stock Station on the grand/first floor of the main buildingC57形蒸気機関車 Class C57 steam locomotive in the Rolling Stock Station on the grand/first floor of the main building回る転車台を見た後は再び南館へ。南館の目玉の1つであるシミュレータホールへ。整理券をもらっておいたE5系新幹線電車のシミュレーターを体験する時間が来た。E5系シミュレーターは500円の追加料金が必要である。今回僕は初体験だったこともあり、初級コースの新白河駅~郡山駅間を運転することにした。スタッフさんからのガイダンスを受けながら、DS-ATCの指示に従って列車を走らせた。シミュレータホールにはE5系以外にも、追加料金なしで楽しめるシミュレーターも3車種設置されている。山手線の205系電車、高崎線の211系電車、京浜東北線のE233系電車である。僕はこの中から、京浜東北線のE233系電車を体験した。北行き列車の品川駅~赤羽駅間が収録されており、1人2~3駅ごとの交代で、僕が体験したのは最終盤の王子駅~赤羽駅間だった。ここから南館をじっくりと見ていく。最上階の4階へ上がり、トレインテラスから高崎線・川越線の列車を見下ろす。高崎線を走るE233系電車+E231系電車 E233 Series and E231 Series on Takasaki Line地下トンネルから顔を出した川越線を走るE233系電車 E233 Series on Kawagoe Line続いて1階から2階にかけて広がる仕事ステーション、2階の未来ステーション、3階の歴史ステーションを見る。南館1階 仕事ステーション Job Station on grand/first floor of south building南館1階 仕事ステーション Job Station on grand/first floor of south building仕事ステーションは鉄道の保守・運行に関わる様々な現場の仕事を学習・体験できるエリア。鉄道が安全に走るための仕組みを解説した模型の展示や、車輪のすり減り具合の計測と打音検査、架線のすり減り具合の計測、ゲージ(レールの幅)の計測などが体験できる。南館2階 未来ステーション Future Station on first/second floor of south building未来ステーションは、鉄道博物館が思い描く未来の鉄道の姿と、その実現に向けて進行中の研究を、アニメーション映像を見ながら知ることができるエリア。僕も映像を見ながら未来の鉄道の姿を想像した。南館3階 歴史ステーション 新橋停車場の模型 model of old Shimbashi Station in History Station on the second/third floor of the south building南館3階 歴史ステーション 昭和30年代の券売窓口 mock-up of an ordinary station ticket counter in History Station on the second/third floor of the south building歴史ステーションでは、1872(明治5)年6月12日(旧暦5月7日)の品川停車場~横浜停車場(現在の桜木町駅)間開業(同年10月14日(旧暦9月12日)の新橋停車場(後の汐留貨物駅)~品川停車場間延伸と合わせて、この日を新橋停車場~横浜停車場間の本営業開始としている。「鉄道の日」が10月14日と定められているのもこのため。)からの日本の鉄道が歩んできた歴史を紹介している。明治・大正・昭和初期・昭和30年代・昭和50年代・平成の6つの年代の駅のセットを中心に構成され、鉄道の安全面・技術面での進歩を語り継ぐ当時のポスターや機材、資料、模型を展示している。てっぱく広場に展示されているE1系新幹線電車 E1 Series Shinkansen exhibited at Teppaku Playground南館の完成によって広さが縮小されたてっぱく広場だが、南館と本館の間、駅弁屋183ランチトレイン前店の近くには新しくE1系新幹線電車のE153-104号車が展示されている。E1系新幹線電車は1994(平成6)年から2012(平成24)年にかけて東北新幹線・上越新幹線で活躍した、日本初の全車両2階建ての新幹線車両。JR東日本の新幹線車両で初めて「E○系」という形式名を与えられた車両でもある。東北新幹線の「Maxやまびこ」や上越新幹線の「Maxとき」として運行された車両であり、特に1999(平成11)年以降は上越新幹線の「Maxとき」(2002(平成14)年までは「Maxあさひ」)「Maxたにがわ」専用車両であった。最後に本館の鉄道文化ギャラリーを見学。主に鉄道をテーマにした小説・漫画・音楽が紹介されている部屋であり、これらに加えて鉄道と共に発展した食文化駅と言える駅弁の容器も展示されている。なお鉄道文化ギャラリー内は撮影禁止のため写真が撮れなかった。今回は南館を中心に、前回2016(平成28)年に行った時から変わった箇所を見て回った。南館で面白かった箇所は、シミュレータホールと歴史ステーション、トレインテラスであった。シミュレータホールのE5系のシミュレーターはマスコンハンドルを調節しながらE5系の最高速度である320km/hを維持することが意外に難しかった。歴史ステーションでは各年代の駅の様子や技術の進歩などを間近に見たり、ものによっては直に触ったりすることができたことが印象的だった。トレインテラスは、大宮の街を背景に走る高崎線の列車や地下トンネルから地上に顔を出した川越線の列車といった、本館のパノラマデッキとはまた違った景色を見ることができた。新しくなった鉄道博物館は、実体験したことがないからこそ知りたい鉄道のことがたくさん詰まっていた。On 19th, I went seeing The Railway Museum in Saitama City, Saitama Prefecture. It was first time for me to visit there after the open of its south building in 2018.Booking the driving simulator of E5 Series Shinkansen, I saw a 400 Series Shinkansen and a mock-up of E5 Shinkansen exhibited on the grand/first floor.400 Series Shinkansen is the newly-exhibited carriage which I wanted to see the best in the south building. It used to be in service as "Tsubasa" on Yamagata Shinkansen between 1992 and 2010, which is designed to adapt the converted section on an existing railway, Ouu Main Line, into the 1,435mm/4.708-foot gauge (standard gauge) between Fukushima Station and Yamagata Station (extended to Shinjo Station in 1999); shorter (23.075-metre/75.705-foot) length, narrow (2.947-metre/9.669-foot) width, lower (3.870-metre/12.697-foot) height, and steps beneath the doors to bridge the gap at stations on Tohoku Shinkansen. Its body was painted in silver and grey with a green line below the side windows. The body livery changed into the second one after the extension to Shinjo Station, but the first one was revived for the exhibition. The exhibited carriage, 411-3, was the first carriage facing Tokyo-bound of L3 set equipping Green Car (second-class) seatings. The coupler for coupling 200 Series or E4 Series Shinkansen between Tokyo Station and Fukushima Station. Though the full-size Shinkansen Green Car carriages usually equip 2+2 seatings, 2+1 abreast seatings were accommodated in 400 Series interior because of the size of the existing railway. However, the smaller-sized Shinkansen carriages after E3 Series do 2+2 Green Car seatings.In my childhood, I saw the body colour of 400 Series looked new and impressive because my image of the body colour of Shinkansen used to be white and blue (Tokaido Shinkansen) or white and green (Tohoku Shinkansen and Joetsu Shinkansen) before that. However, I couldn't travel with that.I went roof terrace of the main building to photograph the trains on Saitama New Urban Transit New Shuttle Ina Line, which runs in parallel with Shinkansen tracks, and JR Hokkaido H5 Series Shinkansen running on Tohoku Shinkansen. H5 Series Shinkansen exists only 4 sets, the rare carriage, but the timetable of the trains H5 Series in service is in the fixed pattern. H5 Series came toward Tokyo three times per day, but during the museum opening, you can see the two of the three. In the seventh photograph, the train was "Hayabusa 10" coming there around 10:38.After photographing, I went to the model train diorama on the first/second floor. On the diorama, many model trains, not only JR East's, such as E231 Series on Yamanote Line and Shinkansen, E5 Series, E6 Series, and E7 Series, but also the other railway companies', such as JR West 285 Series and Kintetsu 50000 Series, are running or exhibited. The model structures look also fine and the new structures, such as a sports stadium looking like a newly-designed National Olympic Stadium and a hydroelectric power plant looking like Shinanogawa plant, are newly-created after refurbishment.From 11:00, the special programme with the staff's guidance featuring a day of railways and trains started. During the programme, the uncoupling of E6 Series Shinkansen "Komachi" from E5 Series Shinkansen "Hayabusa" is also performed.As the programme ended, it was around noon. In the museum, there are a couple of restaurants, but I chose "Train Restaurant NIPPON SHOKUDO" on the first/second floor, whose atmosphere is inspired by the dining carriages in the old time. I ate curry and rice set with a dish of salad and a cup of tea. The curry is based on that cooked in the dining carriages in the Japan National Railway period.As I finished eating and going out of the restaurant, it was time to start the performance of the turntable at the centre Rolling Stock Station on the grand/first floor of the main building. I watched it from the first/second floor. From that day, the carriage on the turntable changed to Class EF55 electric locomotive from Class C57 steam locomotive.As the performance ended, the time to play the simulator of E5 Series Shinkansen came. Paying an additional fee of 500 yen for the simulator, I chose the course between Shin-shirakawa Station and Koriyama Station for beginners among the three courses. Getting guidance from staff and following programme instructions of DS-ATC, I could come to the goal.In the Simulator Hall, there are three more simulators without an additional fee, 205 Series on Yamanote Line, 211 Series on Takasaki Line, and E233 Series on Keihin-tohoku Line. Among them, I tried E233 Series. The simulator installs a programme between Shinagawa Station and Akabane Station, but a driver has to take turns to the others driving a couple of sections. I did between the last two sections between Oji Station and Akabane Station.Next, I walked around the attractions in the south building, such as the roof terrace, where you can see the four lines as that of the main building's, Job Station, featuring railway staffs' jobs, such as maintenance of railway, electric wire, and carriage wheels, and management of train operation, Future Station, featuring the railway in the future and the research for realisation, and History Station, exhibiting the mock-up of the station ticket counters in six periods, Meiji (1880s), Taisho (1920s), early Showa (1930s), middle of Showa (1950s or 1960s), end of Showa (1970s or 1980s), and Heisei (1990s) and the historical materials, such as posters, goods, tickets, and, machinery, etc., models, and videos telling the evolution of railway history in Japan.On Teppaku Playground between the main building and the south building, the first carriage of E1 Series Shinkansen, which used to be in service between 1994 and 2012 on Tohoku Shinkansen as "Max Yamabiko" and Joetsu Shinkansen as "Max Toki" and "Max Tanigawa", is exhibited.Finally, I saw Railway Cultural Gallery, featuring the novels, comics, songs, and ekiben boxed meals, on the first/second floor of the main building. In the pavilion, photographing is prohibited.This time, I walked around the museum, mainly the south building and main building where the exhibition changed from last time in 2016. What I was attracted in the south building was Simulator Hall, History Station, and roof terrace. While playing E5 Series Shinkansen simulator, it was difficult to keep the speed at 320-kilometre/198.839-mile per hour. In History Station, it was impressive that I could feel the atmosphere of the station in the six periods and watch or touch the exhibitions directly. At the roof terrace, I could see different scenery from that of the main building, such as Takasaki Line train against buildings in Omiya and Kawagoe Line train coming up from the underground.The renewed Museum has lots of what I know because of not knowing or having experienced.