『 Le Livre Blanc (白書) 』 Jean Cocteau ( ジャン・コクトー )
それは 彼がパリの本屋で探していた本。
彼が購入したのは ジャン・コクトーのデッサン画集。
とってもエグイやつ。
彼は、「 凄い本を見つけた!! 」と言って興奮していた。
ジャン・ジュネ『 ブレストの乱暴者 』の挿絵として描かれたデッサンらしい。
男の人のあの部分とか、男同士のSEXが、凄くグロテスクに描かれていて・・・。
そのデッサン画に目を輝かせた彼に、私はちょっぴり失望。
私の小さな失望感を、彼は嫌悪感と思ったみたい。
彼は、
「 僕はホモじゃないよ !! 」とか
「 この本は日本じゃ出版できる訳ないでしょう。だから貴重なんだ。」
( 確かに、1994年以前には日本では入手不可だった。 )
私の気を惹こうと、ああだ・こうだと彼は釈明を続けた。
私「 大丈夫よ、私、ホモの人に偏見もってないから・・・」
彼「 ち、違うよ、ホントに・・・。この本に価値があるんだ。」
私「 ホモの人にとっては、特別な価値があるんでしょ?! 」
彼「 違うよ。ジャン・コクトーのファンにとって価値があるんだよ。」
そんなやりとりをしながら、私達2人は
サンジェルマン・デ・プレまで歩いた後、
「ここでお茶しようよ。」と彼が指差したカフェに入った。
Aux Deux Magots : サルトルとボーボワールがよく行ったカフェらしい
2人で初めて一緒に入ったカフェ。
「 何にする? 僕はカプチーノ。」
「 私も同じの・・・。 ギャルソン! 」
「 待って、僕に言わせて! ドゥ・カプチーノ・シィルブプレ ・・・ 」
彼は、(思いっきり、カタカナで)オーダーを伝えた後、
私を見て、にっこり微笑んだ。
( 僕だって、このぐらい喋れるよ!! )
でも、ギャルソンが持って来たのは、
紅茶の入ったポットと2つのティーカップ。
( ドゥ・カップ・ティー )
落ち込んだ彼が、すごく可愛いと感じた。
そう感じたのは、この時すでに、彼に恋していたからだと思う。
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Last updated
2007年12月11日 11時41分06秒
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