『 Lunes de fiel ( 苦い月 ) 』 Pascal Bruckner
ロマン・ポランスキーで映画化されて、『 苦い月 』は、
日本では『 赤い航路 』なんてタイトルになっちゃった。
パリコレが迫ってくると、
デザイナーは、とてもナーバスになるらしい。
●衣装のボタンをすべて違う釦に変更
●モデル変更→フィッティングのやり直し
●その他いろいろ
彼は釦付けが苦手だった。遅くて、なんか穢い。
彼が1着分を終える時間で、私は3着仕上げた。(笑)
その事で彼は、みんなからからかわれていた。
夜遅くまで、衣装(ショーサンプル)の修正・補正作業が続いた。
その結果、ショーに関係するスタッフと少しずつ団結し合い、
ファミリー感覚も強くなった。
私達は、毎晩、ショーのスタッフの中の同じメンバーで食事した。
(毎晩ご馳走して頂いた。)
メンバーは、フランス2人と、アメリカ人1人、日本人4人
(勿論、日本人の中に私と彼が・・・)
ある夜の食事中、彼がフランス人スタッフ(A)に、
「パスカル・ブルックナーという作家は、どういう人?」
フランス人スタッフ(A)が
「流行の事象・キーワードを上手く加味するエンターテイメント作家だと思う。」
彼は、「・・・。」
(A) 「なぜ? パスカル・ブルックナーの本、何か読んだ?」
彼 「『Lunes de fiel』。1冊だけ・・・。」
(A) 「質問した理由がわかったよ。(笑) 彼は変態ではないよ。」
彼 「だとしたら、すごい力量を持った作家なんだね・・・。
読んでて、吐きそうになった。
少なくとも3回以上、完読を放棄しそうになったよ。」
(A) 「(笑) わかるよ。特に、排泄物のくだりだろう ! 」
彼 「うん・・・。あっ、ゴメン。今はマズイよね、食事中だった!! 」
私 「えっ、なに ?? 」
私以外 「(苦笑)」
私は、彼やスタッフの人の会話に全くついていけない事が度々あった。
私が一番若いから知識が浅く足りない事は仕方なかったけど、
ジャンルの幅が無い事を痛感する事が度々あった。
釦付けがメチャクチャ下手で、
みんなの足を引っ張ってる彼だけど、
やっぱりパリコレまでするブランドの人達は、
どこかちょっと違うんだなぁって、乙女心は感心した。
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