『 テレビの海をクルージング 』(加藤和彦・安井かずみ)
( アルバムタイトル 「あの頃、マリー・ローランサン」 )
シャイヨ宮で行われたパリコレは、無事に終了した。
ショーの後の打ち上げパーティーは、とても楽しかった。
でも、パリコレが終われば、彼は日本に帰国する。
彼がパリに来るのは、半年後。
その夜、打ち上げパーティーを終えて・・・、
私はホテルの彼の部屋にいた。
今でも、はっきりと覚えている。
ホテルのテレビは、カリブ海クルーズを放送していた。
私は、ソファーに座ってテレビを眺めながら、彼のリードを待っていた。
彼は、部屋の照明を落として・・・、ふいに歌い出した。
灯り消して、テレビつければ、
船の旅は、もう始まっていた。
僕は白いタキシードで・・・、
キミはフィルハーモニーの指揮者の恋人で・・・、気取っている。
いい男が近づいて来たら、君は気をつけて、奴はジゴロ。
デッキチェアーでまどろむ真珠のネックレスは、
暇を持て余している未亡人。
テレビの海を見つめてる都会の片隅で、
今、君は目を潤ませて、
「 いつか、 きっとよ、 行きましょう 」 と
体すり寄せて、見慣れたソファで愛を囁く。
「何、それっ ?! 」って思った。
でも、彼が歌い終えて私の隣に腰掛けるのを
笑いを堪えて待っていた。
テレビの海を見つめてる都会の片隅で、
今、君は目を潤ませて、
「 いつか、 きっとよ、 行きましょう 」 と
体すり寄せて、見慣れたソファで愛を囁く・・・。
今もこのフレーズが大好き