ポール・ヴェルレーヌ と アルチュール・ランボー、
2人で共作した愛の詩。書かれたのは 1891年頃らしい。
厳しいカトリシズム下のヨーロッパ。
愛し合う2人の男性の愛の交歓詩。
「 Le sonnet du trou du cul 」
この詩は、
日本を代表する高名なフランス文学者の澁澤龍彦氏によると、
文学史的に珍重すべき作品だそうだ。
この文学史的に珍重すべき詩を澁澤氏の翻訳で紹介します。
Le sonnet du trou du cul
紫の撫子の花のように暗黒の襞のある
そいつはつつましく苔のあいだに隠れて息づいている。
白い尻のゆるやかな傾斜から谷間のあたりまで茂った、
苔は愛の露にまだしっとり濡れている。
乳色の涙に似た細い筋は、
これを押し出そうとする残酷な風に追いやられて、
点々たる赤茶けた泥土の塊りを横切り、
傾斜に沿って流れ落ちようとしている。
おれの口はその排水孔にしばしば接触した。
俺の魂は肉の交合をうらやんで、
これを褐色の涙の袋、すすり泣きの巣たらしめた。
そいつは失神したオリーブ、甘い声の笛、
天上の巴旦杏菓子の降りてくる管、
そして花咲く湿気のなかの女性的なカナンの地だ。
始まりの四行詩、2つは、ヴェルレーヌ
後の三行詩、2つは、ランボー
澁澤龍彦氏が訳した詩のタイトルは、
『 尻の穴のソネット 』
この詩が作られた頃、厳しいカトリシズム下の為、
当時のパリの隠語・符丁が用いられていたらしい。
澁澤龍彦氏でなければ、成し得ない翻訳だろう。
中学校の国語の教科書に出ていた2人の詩人。
ヴェルレーヌ と ランボー
学校の教科書が取り扱わなかった彼らの別の作品。
トルファンのコレクションの中の1冊。