「 あなたの奥さんは妊娠していますね・・・ 」
突然、家に来た男の要求は、堕胎だった。
この話は、事実。
そう書くと、他の話はウソかと思われるかも・・・、
他の話も本当の事ですよ、念のため・・・。
中国の「ひとりっ子政策」に関する話。
上海に住む私の友人。中国人ビジネスマンL氏が体験した実話。
彼は、中国で暮す56の民族の中で1番多い漢民族。
中国の「ひとりっ子政策」は、少数民族は対象外だけど、
圧倒的大多数の漢民族は、対象とされている。
ある日突然、L氏の家に役所関係の役人(男)がやってきた。
病院と通じていて、
彼の妻が妊娠している事を把握していたのだ。
そして、妻に堕胎させる事を勧めてきた。応じなければ罰金が科される。
でも、その情報は正確ではなかった。
( このへんが、とても中国らしい・・・ )
L氏夫婦にとって、第二子目ではなく、初めての子供だった。
L氏は、激怒して追い返した。7年前の出来事。
今、その時の子供(娘)は、オーストラリアで暮している。
彼の娘は、呼吸器系が悪く、空気の悪い上海から離れ、
去年からシドニーで彼の妻と暮している。
家族離れ離れ・・・、苦渋の決断だった・・・。
国際電話で娘が 「 早くパパに会いたい ! 」 と言うんだよ。
そう話すL氏の顔は、上海で奮起するビジネスマンの顔ではなく、
やさしいパパの顔になっている。
明日、L氏はシドニーに向かって出発する。
休暇を利用して、愛する家族に逢いに行く。
鋭いビジネスマンの顔は、もうどこかへ行ってしまった・・・。
彼の妻が、第二子目を妊娠したらしい。
嬉しそうなL氏。
私の大切な友人の1人。