2006年02月の記事一覧 | ちくでん村　mugibatake専用別館 - 楽天ブログ

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2006年02月の記事

全28件 (28件中 1-28件目)

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余裕が無い２

　今の子供たちに余裕を学ばせようと思ったら､まず､余裕が正しいことを､ズルでないことを立証しなければならない。そしてまず､子供たちのまわりに居る人や先生たちが､余裕を持たねばならない。ひところ､ゆとり教育がこえだかに叫ばれた時期があったと思うが､成果はあったのだろうか。　実際には､ゆとりに甘えようとする子供の成績を下げ､その親の社会的地位を下げただけで､先生も教育熱心な親たちも､そんなスロ－ガンに心を動かされることはなかった。かえって負担が増えて余裕を無くした人々が多く出ただけだろう。　ゆとりというのは､不足ということではない。あり､余っているということである。　余りものには福がある。余裕の裕は､裕福の裕である。余っているということは､社会の枠の中で嵌められたものではなくて､はまるところがないので排除されたものである。つまり､「ふり－｣なのだ。　今日､先生が余ってフリ－だろうか。裕福な資産家の主が､余裕のある生活をしているだろうか。　夏休みを休んだ先生は非難され､ゆとり教育のための時間配分で､しわ寄せはひどくなる一方だったのではないだろうか。また裕福な家庭の子は､親が忙しいので対話の時間もほとんどない､というのが真相だろう。学ぶべき余裕が全くどこにも見えてこないし､そもそも余裕やゆとりのどこが正しくいいことなのかも､わからない。理想が見えてこないのだ。　こんな余裕のない社会は､自転車操業の社会という。いずれ破綻する粉飾社会である。そのとき後悔しても遅いとは思うのだが。見直す余裕も無い。このふたりは・・・

2006年02月28日

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余裕が無い１

　余裕がないと､すべてがギスギスする。自分も含めて､ほとんどの日本人は余裕と言うものをまるで失っていて､ギスギスしたけんか腰の社会を形成しつつあるように思う。ジャ－ナリズムの姿勢が､これを率先して煽り立てているように感じるのは偏見だろうか。　目的を定めると､わき目もふらずに邁進しなければ､路線から弾き飛ばされるのは競争社会の掟である。　金があり､コネがあると､それで束の間の余裕を得られるのかもしれないが､それに頼り切って安心していると､すぐに足元をすくわれるというのも､この社会の特徴である。　しかしｊｒのダイヤ構成に､ほんの少しの余裕があれば､あの近畿での大事故は起こらなかっただろう。日本に埋蔵する資源に､十分の余裕があれば､あの悲惨な戦争も起こらなかっただろう。もちろん､余裕を尊重するこころがあれば､である。　　今の子供たちの行動を見ていると､余裕がなかった私たちの世代以上に､余裕が無い。　もともと､余裕を余裕として尊重しよう､持ちたいと思うこころが全く無いのではと疑ってしまう。　無駄なもの､役立たないものを積極的に排除し､常にギリギリのバランスでの綱渡りを美徳とする思想が幅を利かせている。環境資源に配慮し､自然に優しく､無駄を無くす､合理的な思想が､子供たちを教育しているのだ。　その最たるものが､ゲ－ムだろう。　余裕を造って自分勝手に遊んでいたら､すぐにハメ殺されるように､実に合理的に出来ているのだ。ギリギリのバランスの美学で行動しないと､ゲ－ム上での成功はありえない。　一般社会においても､もちろんゲ－ム以上にシビアなバランス感覚が求められる。余裕やゆとりを､その基礎から考え抜いた思想などは､決してメジャ－なものではありえない。メダルなど取れなくても､選手が余裕のあるプレ－が出来て､楽しんでこれたらそれでいいじゃんか､などと言える人は､社会的にはマイナ－な人だろう。　余裕は怠け者の特性､バランス感覚の無い落伍者やズルい心の特性だとみなされているのだ。　余裕を持ちたいと思いながら､それも当たっているのかなと思い始めた。今まで毎日ブログを書いていたが､これからは余裕を持って二三日分､書き溜めておこうと。　背景用gif

2006年02月27日

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日本庭園文化史のお勉強11－2

　二条城二の丸庭園　京都市中京区二条通堀川西入二条城町　家康の城で、聚楽第の一部を移して諸大名に作らせた。　庭園は池泉回遊式。中央に蓬莱島、その中央に蓬莱石。北側書院寄りには亀島、鶴島を配し、北西部の滝石組には落水が見られる。江戸初期の寛永三年に、小堀遠州により改造されている。現在は行幸御殿はない。水面が低いため、大胆な護岸石組みが見られるという。　光浄院庭園　滋賀県大津市園城寺町　天台寺門宗の総本山、長等山園城寺（俗称　三井寺）の支院の一つ。慶長六年（1601）に、山岡宮内卿法院道阿弥によって建てられた。　本庭は書院の前庭となる池泉鑑賞式だが、床下まで入り込んでいるので、作庭の方が古いだろうという。「山畔を利用して、下部に池泉を設け、枯滝を組む。」池の亀島には夜泊石（よどまりいし）風の岩島も据えるという。　　聖衆来迎寺庭園　滋賀県大津市比叡辻　延暦寺に属する中本山。最澄自刻の地蔵菩薩を本尊としたことから、はじめは地蔵教院と呼ばれていた。信長の弾圧からも難を逃れ、坂本城主となった明智光秀によって庇護された寺である。　立花の手法により作庭されたという庭園は、客殿の東側と庫裏の南側、本堂への渡り廊下で囲まれている。干菜寺宗心（ほしなじ　1544-1626）の作という。　「生垣を仕立てて背景とし、中央部に中島を、東南隅に枯滝を設け、流れは二つになり、それぞれに自然石橋を渡す。」枯池式枯山水庭園だが、中央奥の四角い立石が目立つ。コメント：丸く整形された小潅木の配置がこれを和らげ、モチ－フである心（しん）が活きているように思う。　がくあじさいの背景用gif

2006年02月26日

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こころ 6

　こころをば何にたとへん。こころはあぢさひの花。　詩人の表現は実に的確である。多面的に発露する､ウエットで､仮面的で､装飾的で､集合的な､こころの性格を､これほど具体的かつ端的に例えられる比喩が他にあるだろうか。　アヂサイは､花の本体は小さくてほとんど見えないほどだが､装飾的ながくの描く繰り返しは､実に豪華で見事だ。束の間の季節を咲き誇り､すぐに枯れた残骸となって残りの季節を過ごすのも､アヂサイの特徴である。　出来事に直面して､今の時間をまさぐるというのも､こころの働きではあろうが､実際には過去の残滓が､どこかに溜まっていくだけだ。そして未到来の時間は､こころを突き動かして､スイトピイのつるのように手探りさせる。しかし春の暖かさは、まだ何処にもない。　この現実の中で､こころというものは時間の中に居座る庭であり､その変容である。私たちは自分のこころを､その庭の季節のノ－ドとして数え上げ､対象化できるだけである。しかもそのノ－ド（結節点)を創り上げる原型は､私たち個人個人が持っている固有のものではない。　　それは時の意匠。文化の形の方なのだ。　コギト　エルゴ　スム（考える　それゆえ　ある)　という明晰判明な単一の照明を見出したデカルトは､結局のところ､薄暗いこころについて思索したのではないのだ。多面的に発露する､あぢさひの､おぼろげな輝きを見たわけでもない。　こころの暗闇の森に迷い込むのを避けて､この放蕩貴族の大先輩は､神の光が照らす道筋を頼りに､コギトという「証明の現場｣をこそ尋ねた。それはレス　エクステンサ「延長」とレス　コギタンス「主体」という､二つの有限な実体だったとされる。つまり､二つに分裂した､こころの乖離だったわけだ。　これを分裂や乖離や風穴としては捉えずに､神の手による統一を､その修復を､彼方の光である一者に委ね､この現象を対象化したのである。それを私たちはエゴの自覚あるいは自立という表現をする。私たちの科学技術という文化､いや文明は､この輝かしい近代の夜明けの業績の延長にある。つまりあらかじめ分裂して乖離し､風穴が開いているのである。そのことは､あらためて鮮烈に思い出されねばならない。西表不発行証紙　切手としては使われずに、ドル交換証紙に使われた未発行切手。

2006年02月25日

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こころ 5

　世界内存在という言い方と､現存在という言い方を使い分けて､人間というものが持つ､この実存論的な時間の森（こころ､といっていいだろう)と､真っ向から取り組むことを教えてくれたのはハイデガ－先生である。　だが､表象と言語の世界で､時間と存在の関係を取り上げる限り､生起する存在の歴史が幕を閉じるまで､この時間論は完結しえないのである。先生は森の杣道を抜けて見出せるだろう､発露として見出せるようなこころの到来を本当に真剣に待ちわびていたがゆえに､時間から存在論を語る真摯な努力を､結局は放棄せざるをえなかった。　こころは､その（まち)「わび｣の方なのである。存在へ安易にと語れる､リアリティではないのだ。　ヘ－ベルやヘルダ－リンといった民族的詩人を語ることが多かったのも､先生の思索がほとんど詩作の現場のような領域に､深く踏み込んでいたためだろう。　先生の邦訳本で飛び交い､多用される禅言葉（たとえばＧelassenhait 放下)を､若い頃は､なぜか､いかがわしく感じていた。だが､最近やっと違和感を少し感じなくなってきた。　日本庭園という､身体の外部に仮置きされる庭の文化意匠の中には､禅思想が詰まっていることを､薄々であるが感じてきたためだ。ここ（庭)には間違いなく､人間のこころとしての時間の問題が露に据えられて見えている。　ドイツ人である先生は「家｣という建築物の方にこだわったが､思慮の浅い日本人からみると､「庭｣の方が､もっともっと生の人間のこころに近いように思える。今年唯一咲いた、大輪シンビジュ－ム

2006年02月24日

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こころ４

こころは､感覚として受容される主意識と､延長された身体である副次意識の乖離がもたらす時間的な意匠である。それは庭として､身体外部に仮置きされることができる。　庭の様々な形や様相としてモノ化されることに始まり､記号や言葉となって代置されるに至って､継承可能なものとなる。もともとは時間図式にすぎないので､変容（メタモルフォ－ゼ)がその常なる本来の姿である。　普通は､この変容は､ただ神話的なものとしてしか伝承できないと思われているが､モノ化した文化の形に代置されることでも継承できるわけである。　私たちがこころをこころとして感じる時､それは感覚受容の系列と操作できる身体の副次意識との乖離として確認できるはずである。その時間図式を､こころの表象という表現で代置し、モノ化して伝えているようだ。　表象というのは､しかし瞬間的なイメ－ジであり､時間手順を含んでいない。したがって､どうしてもうすっぺらくなる。記号論理だけでこころの世界を考えると､全てが薄っぺらく感じてしまうのは､それが時間的な諸々を､ただ前後関係や繰り返しの数に変えてしまって､変容である本分の実質を､その衝撃を排除してしまうからである。　私たちが時間そのものを難問としてしか捉えられないように感じるのは､それが「こころそのもの｣､つまりバ－チャルな実質であり､仮置きされていった身体そのものだからであるように思う。時間は､代置された数や記号ではなく､それが代置されるときに排除された隙間の方なのであるから。屋外のプリムラ、今年はまだ咲きそうにない。

2006年02月23日

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時の意匠４

　石組みの意匠が提示している問題も､池泉以上にやっかいである。　まず､いかなる目的で､それらは組まれたり置かれたりしているのか考えてみよう。こころのどんな側面に､あるいは正面にインパクトを与えて打ち負かそうとしているかを。事は美的デザインの問題ではない。　古代のドルメンや環状列石､いわくら､の文化的な意味が途絶えてしまっている以上､我々の持っている様式は空蝉である。しかしこの空蝉は､今なお鮮烈な力を放っているのも確かだ。　南米コスタリカのジャングルの中に､巨大かつ見事な石球が多数見つかっている。完全な球で､何なのかもわからない。ただ､それらは孤立しているように見えて､実は離れていても､お互いに組まれた石組みであった可能性がある。また同じ南米に､半球を割った状態で造形された､世界図らしき巨石もある。　石舞台古墳などの石も､あれは巨大な墓石だと言われて､初めてわかる巨大さの石組みである。ピラミッド（正しくはメル)もまた､超がつく巨大さだが､石組みなのである。夏の銀河にも例えられるナイルの流れに沿って､点点とあるメルの位置は､天の川の巨星に相当するという､実に途方も無い説もある。　琉球沖の巨大なテラス､ポナペ島の細長い巨石による石積みなども､えたいの知れない石組であり､時の意匠だ。　一つ､おぼろげにわかることは､これらの遺跡群の巨石の組まれた目的と､庭の小さな石組みの目的は､たぶん同じ物だということである。人のこころを操作する目的で組まれているのだ。　石に人がこころを託し､求めるものは何だろう。　時を越えて居座りつづける堅固さだけだろうか。それなら穴だらけの太湖石など､庭の意匠にはならない。岩もまた､丸石が多用されたり､卵型石が並べられたり､整然と護岸が組まれたりする。変化に富んだ石ばかりが重宝されていたわけではないのだ。　石組みを､ただ一つの目的でくくるのではなくて､単に人心操作の材料としてくくる必要があるだろう。石が組まれている目的も､無数にありそうに思うからである。　造形しやすく､耐久性があることで､朽ち木よりは石の方が好んで使われた。それはまた水とは違う意味で､形をつくる材料となった。　石は組まれることで､自らの仮の形を保つ。時の意匠としては､使いやすい素材だったのだろう。そして庭では､この仮の形が､そこで表現されている目的の形、つまり文化の形式と､実に容易に成り代わるのである。仮置きとしてではなく､代置としてである。ユズ　そろそろとりきらにゃあ。木の上で腐ってしまう。

2006年02月22日

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日本庭園文化史のお勉強11－１

　茶庭の出現と武将の庭。西桂氏の著書は､豊臣氏滅亡までの時代の庭園文化を､そういったテ－マで括る。桃山時代というのは､伏見城跡地に桃が植えられたので､あとからそう呼ばれたのだと言う。世俗性、雄大豪華､民衆化の進んだ文化であったというが､要は中産階級（金持ち成り金階層)の文化の時代であったということか。　安土城､大阪城､聚楽第､伏見城など､覇者の庭園はことごとく失われたが､その特徴をもったいくつかの庭園が生き残っているという。豪華な石垣､選りすぐった材料が特徴だそうである。　そんな豪奢な趣味に対して､茶庭に付随する露地(茶庭)が完成した時代でもあったと著者は述べる。室町中期の村田珠光（１４２３～１５０２)から､村田宗珠､鳥居引拙､武野紹鴎(１５０２～１５５５)､千利休（１５２２～１５９１)にいたる､茶庭とわび､さび､の完成時期でもあると。　飛び石､敷石､延べ段､蹲踞､手水鉢､石灯籠､などが庭の意匠に取り入れられる。　江戸時代の書によると､利休は､実用６分､美観４分で作庭したという。また茶道の流行とあわせ､花道も庭園に影響を与える。中心枝を真っ直ぐに立てる､立花の手法を取り入れた庭園を生んだという。蘇鉄の多用は､この時代の流行らしい。　醍醐寺三宝院庭園　京都市伏見区醍醐東大路　もともとは､笠取山全体が寺域という。今は宇治の笠取から山科方面へ抜けるまともな道もないが､残っている山宝院は､その山科側の麓にあたる。秀吉自ら縄張りを行った池泉庭園で､主人石として聚楽第から藤戸石が運び込まれたという。据えたのは仙という庭者。他に河原者与四郎や賢庭の名が見えるという。（同一人説もあるらしい。)小堀遠州の配下として､天下一の作庭名人であった賢庭の名は､後陽成天皇から勅令によって下されたものという。　中央に大きな中島､右手に二つの、亀島と鶴島､そその間からは築山に作られた豊国稲荷を望むことができる。池の東方がかなり高く､この高低さを活かして三段の滝がある。橋が多く､複雑な様相を見せる庭である。　ドリテノプシス　キョ－ト　は、ファレノプシスとドリテスの混血。

2006年02月21日

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時の意匠３

　ところで､日本人は風呂好きである。温泉場に行くと､大なり小なりの旅館があり､必ずと言っていいほど無数の露天風呂がある。しかもその風呂の形は､風呂に入るという機能中心で出来ているのではなくて､ほとんど豪華な池泉庭園の様相を呈している。　こういった露天風呂文化を知らない者が､文化の断絶した時代のそれを掘り起こしたらどうなるだろう。　温泉を利用した､見事な池泉観賞式庭園と勘違いしてしまうのではないだろうか。　真の用途がわからぬまま､独特の意匠が見出されている庭園は不気味である。　イスラムやインドの庭園の多くには､ほとんど不気味な用途不明の方形プ－ルが並んでいる。　ガンジスのほとりで日夜取り行われている沐浴の儀式を知っていても､染色や洗濯の場の独特の雰囲気を知っていても､である。それらの庭園の意匠は､用途立てられた諸々の文化の装飾的なリフレインであることがわかっていてもである。　全ての装飾の意図が見出されているわけではないからだ。見知らぬものは不気味なのである。　特にインドの庭などの場合､瞑想の場の前面によこたう静寂な開けた水面のプ－ルにも､深い意味がありそうである。列石がもたらす光と影もまた､美的センスやデザインだけで導入されたものではないのだろう。　　変容の緻密さと空間的な位相関係の複雑さ､物語性の導入で際立っているのが､やはり古代インドの伝統を受け継ぐ､インドシナやインドネシアのヒンズ－あるいは仏教文化庭園の数々である。クメ－ル文化の諸都市など､全体が石作りの庭園そのものである。建築は庭の領域に取り込まれ､一体化していて､庭はもはや中庭スペ－スといったようなものではありえない。都市全体が庭園なのである。　そしてそれらの意匠となる装飾を構成しているのが､物語のレリ－フそのものである。この饒舌な世界の装飾の意味がわからなければ､この庭園の文化を理解できたことにはならない。集団のこころ､言わば民族のこころを念頭に置かないかぎり､庭園の意匠が装飾している時間について知ることが出来ないのである。手がかりさえつかめない。　文化というものは個人のこころではなくて､種族のこころのものである。庭園の意匠もまた例外ではない。その装飾的リフレインは､個人のこころをではなく種族のこころを表現する。この種族のこころが､どうやって個人個人のこころに独特の形を刻むのか､いずれその点にも注目してみたいものである。　蛇足かも知れないが､底の敷かれた百済式方形プ－ルは､沐浴場的な性格を持った庭園意匠ではないかという憶見を述べておきたい。古代インド文化を色濃く受け継いだ倭人のグル－プが､そういった文化を持っていた可能性がある。　そして沐浴の文化を一切持たない騎馬民族のグル－プは､流れる水の造形である池泉より､水場としてのオアシスをこそ好んだだろう。露天風呂文化より五右衛門風呂文化といった具合か。それは手水鉢となり､そして融合した文化が創り上げた瞑想の対象としての水面に､もはや水さえ要らなくなったのである。イセ＊パピヨンの黄色が濃くなってきた。咲き始めは白くて、だんだんと濃い色になる。

2006年02月20日

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日本庭園文化史のお勉強10－３

　一乗谷朝倉氏庭園　福井市城戸ノ内町　戦国大名朝倉氏五代､約１００年間の城下町庭園群の遺構である。滅亡後の城下町が開発されていないので､保存が良いそうだ。一乗谷文化遺構といって良いのではないだろうか。常御所や会所に囲まれた場所では､長方形の花壇も見つかっているそうである。　朝倉氏館跡庭園は館の東南隅に､会所や茶座敷に面して築造されている。　山裾の地形を生かし､山水を山腹に沿って引き込み､滝石組､鶴石風の岩島がある。小さな池泉庭園である。コメント：護岸の岩の雰囲気は実に素晴らしい。写真では水は失われているように見える。　湯殿跡庭園は山腹の古式池泉鑑賞庭園だそうである。コメント：石組みだけが覇を競っていて､やや荒れて見えるが､草木が失われているせいだろうか。　　諏訪館跡庭園は池泉に向かって右手奥の滝石組に５メ－トルもの巨石を立てる､規模意匠とも最大の庭園だとされている。コメント：池面に映る護岸の石の配置が見事である。　南陽寺庭園は「書院の南庭として作庭された枯山水式庭園である。｣背後は山､枯滝三段､バランスの良い庭園だと著者は述べている。コメント：背後の並木は頂けない。　普賢寺庭園　山口県光市大字室積村　峨嵋山北麓､臨済宗建仁寺派の寺の方丈の南にある枯山水庭園である。伝雪舟作らしいが､作者は不明だとのこと。　方丈から張り出した飛び石風の石組みやいくつかの島風の石組を配した海景が広がり､左奥に三尊石組の枯滝と築山がある。準平庭式枯山水庭園という様式だという。枯滝の左には巨石の横石があり､遠近感を強調する。コメント：ここは、背後の立ち木群も見事である。 yayoihuji*malones 親程度の優れた株は一株も出なかった。失敗作の名残。

2006年02月19日

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日本庭園文化史のお勉強10－２

　大仙書院庭園　京都市北区紫野大徳寺町　大徳寺の塔中である。「方丈の北及び東を占める３０坪ほどの狭い空間に造られた､枯流式枯山水庭園である。｣禅余珍樹怪石を配した､水墨山水画の写しである。古岳宗旦（こがくそうこう)作という。方丈の北東部には巨石が二つ､その奥に二段の枯滝石組がある。白砂の渓谷は石橋をくぐって中流に出､大河となる。大河には船石が据えられ､彼方には蓬莱山がある､という具合である。方丈正面の南庭は儀式の場としての白砂の海。庭園中央には渡り廊下がある。コメント：狭い空間に巨大な空間が表現されているわけで､箱庭式庭園と言うべきではとも思う。　旧秀隣寺庭園　滋賀県高島市朽木　興聖寺境内にある。１２代足利義晴ゆかりの庭園。「東に安曇川､比良の山並みを臨む高台に立地。｣建築物は北側にあったらしい。流水式の米字池に近い地割は､池の中央に青石の橋、二つの島､東北部に滝石組を持つ。島の一つ､鶴島には､現在立ち木が茂っているようだ。　北畠氏館跡庭園　三重県一志郡美杉村　伊勢国司北畠氏の庭園で､細川高国の作庭と言われる。米字池を中心にした池泉鑑賞式庭園とされている。どことなく､先の朽木庭園と雰囲気が似ていて､石組みの多くは護岸に集中しており､中島が一つある。中央くびれ部分には橋がかかり､東部は古式枯山水となっていて､そこに面白い石組がある。十数個の立石や伏石で組まれていて､渦巻式（須彌山)石組と呼ばれているそうである。　コメント：この須彌山は渦巻き式に配置されていて､これが須彌山の一つの特徴でもあるのかもしれない。まさにウルのジッグラトの極小版といった感じである。環状列石などとの類似点もあるような気がして興味深い。この庭は､特に先の朽木のそれと比べて島や池の岸に立ち木が巧みに配置されているように感じる。それらも景観構成の重要な要素だったのではないだろうか。著者は地割が見事と述べているが､朽木の庭園がどことなく殺風景に見える部分があるのは､この立ち木が失われてしまっているためではないのだろうか。いつか現地を訪ねて確認してみたい。イセ＊パピヨン

2006年02月18日

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時の意匠２

　庭園における実際の意匠に沿って､デザインの目的を考えてみよう。　すでに須彌山の持つ意味については思い悩んで先へ進めないでいる。これは難しすぎるテ－マのようなので､先に池泉の方から考えてみよう。　様々な形の池泉。その造形の目的は､豊かな水源の確保であるとともに､回遊の場､水遊びの場､形を映し､形を作る､仲介者のごとき性質を持った水の「意匠化｣であるように思う。　時を表現することや､その時が形作った身体を表現するのに､水というのは実に都合がよいのだ。水自体が形をなし､形を映し､生命を輝かせ､潤して､あたかも仲介者の中の仲介者であるかのごとく変容するからである。ギリシャ的な考え方の中では､水は流れ去っていくものであっても､不思議に水の変幻自在な性質についての言及がないように感じる。しかしこれをプ－ルに溜め､風景を映すことで､水はメタモルフォ－ゼそのものを具現するのではないだろうか。　それを容れる入れ物を､方形にするのか､曲線にするのか､あるいは心字や米字にするのか。そういった事柄も､単純なデザイン上の問題では片付かないだろう。そもそも人工的であることが強調したいのか､自然の造形の有り様をこそ強調したいのか。　実は､どちらでもないのではあるまいか。　表現したいのは水のメタモルフォ－ゼの方であって､あえて言うなら人工と自然の乖離の方なのだと考えられる。この「違和感」が大きく表現されていればいるほど､その装飾的リフレインは心にインパクトを与える。それが時の意匠というものである。伝統の美意識や､心理学的なデザイン問題の背後には､もっと深い時の意匠と言う問題が隠れているのだと考えるべきだろう。　池泉の形というのは､文化史的に考えるだけでも面白いものを含んでいる。　たとえば同じ一神教の思想下であっても､近代ヨ－ロッパやイギリスには曲線が多く､アラブやインドでは､そのほとんどが方形である。日本の古代庭園でも､古い百済様式は方形､統一新羅以降の様式は曲線である。　そして日本文化というものが表に出てくる爛熟期以降の庭園においては､その水の流れや､水の溜まりは表現されても､肝心の水が消えてしまう。この枯山水の意匠というのは､実は深刻きわまりない問題と目的を秘めている。つまり､仲介者が姿を隠し､こころのメタモルフォ－ゼも見えなくなってしまうのだ。それは単なる形となって仮置きされるにすぎなくなる。　これがどういう事態なのかということについては､いずれ､更なる検討が必要だろう。遅咲きの高温性デンドロビュ－ム　パピヨン　”アンゲリカ”

2006年02月17日

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時の意匠１

　庭が表現しようとしている意匠と言うのは､単なるデザインのことではない。　文化として継承される形であり､人々のこころを（その身体を)操作できる力を持った意匠なのである。単なる空間の形ではないのである。　それは空間というよりむしろ時間の意匠だと､時が纏う意匠だと思える。言い換えると､身体操作の目的を持った時間のデザインである。　およそ掴みがたい時の後ろ髪を掴んで､むりやり似輪の領域に据え､およそ動かしがたい他人のこころを遠隔操作しようとする。それが時の意匠である。　詩や詞が試みているのもそれだし､歌や舞踏が試みているのもそれである。いずれも装飾的な形のリフレインを奏でる､時間のテンポラルな仕組みへの意匠なのである。　時を相手にしようとする､この方向は構想力の問題を引きずり出す。ちょっと考えてもたいそうなことで､すぐ胃に来る。一筋縄ではつかめそうにないのだが､実は手がかりがある。これは目的を持った時間の実現を目論んだ､時の意匠だからである。　目的なしに庭が創造されることはありえないし､時間的な意匠なしに庭のデザインが決められることもありえない。権力の誇示なのか､人心のこころの仲介なのか､自己の安らぎを狙うのか､家系の繁栄を願うのか､あるいは単なる墓石なのか･･･。　庭の装飾的デザインには､必ず心を操る目的があってのデザインだということである。　そしてこの合目的的指向は､科学技術と同様の対象化指向なのである。時の意匠は､対象化しての批判が可能なのだ。エピデンドラムは、めっちゃ強健。増えすぎ。

2006年02月16日

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庭園の意匠

庭園の意匠というものは､本来幽玄なものではない。必ず具体的な物とその形である。　それは人工の形であるし､あるいは自然が造形した人工のごとくに見える形である場合もある。中国庭園でよく使われる大湖石などは､湖の底で出来た自然の穿った穴だらけの石の造形である。これが､人為的に設置されることで､なんとも言えない神仙風景の息吹を醸し出す。日本庭園における松の植え込みなども､自然林にはめったにありえない松の枝振りを人工的に保存して利用される。自然風庭園ですら､意匠として提示しているものは自然ではなくて人工の形なのである。　こういった人工の形である庭園の意匠が目論んでいるものは､バ－チャルリアリティ技術が目論んでいるものと全く同じ､臨場感や､遠隔操作や､没入感なのである。それはいずれも､人のこころを対象化し､操作しようとして作られているのであるようだ。どういう風に､その対象化は行われ､またどういう風に､操作されるのだろう。　　操作したい人のこころというのは､当然､他人のこころである。個人個人違うもので､相手がこころを投企してこない限り､相手に出来るものではない。　だから､人工の形が､しかも人々のこころに共通の形が､使われるのである。それが仲介者である文化の形だ。持っている文化の違う者がそれを見ても､エキゾチックに感じたり斬新に感じたりするかもしれないが､真意は伝わらないし､本来の効果は達成されない。　実は､我々普通の庶民的日本人は､もはや日本古来の庭園の意匠につて､理解できる文化を持ち合わせていない。いや､昔からそうだったのだろう。日本の庭園はえらい人たちのものであって､庶民文化ではなかったのである。権力者たちは庭園を築造することで､自らのこころを天下に示し､それをもって民衆のこころをも操作しようとしたのである。　それに使われたのが池泉､石組､そして須彌山である。水利を押さえ､治水を行い､そして祖先からの祭祀を受け継いだということを主張したのである。それらはやがて時代が変わり､ことごとく寺社の管理となっていく。　そうなってくると､残っている権力者の庭園というのは､ことごとくに墓石記念碑となっていったと考えるべきであろうか。わが国の庭園の意匠は､いまや墓石のコンテストなのであると。それは荘厳な浄土の厳粛さや華厳のきらびやかさを､民衆に形でもって伝えるとともに､一時の権力の空しさをも伝えている。仮面のごとき石砂の海で覆われた石庭などは､まさにその代表である。そこから､やがてあるものが生まれてくるように思う。　能舞台や茶の湯、華道の世界などに共通する､わび､さびの世界がである。この意匠は仮想の幽玄なもの､という､世界に類を見ない意匠である。昨年いただいたファレノプシスが、やっと咲いた。シレリアナの血が濃いようだ。

2006年02月15日

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言葉の源の幻想

　いつから､その言葉が出てきたか､それが示すものは現実にあるのか。それが明確であれば､その言葉がいい表そうとしていたものは､かなりの割合で明るく出来る。　しかし､物はあっても言葉がなかったり､言葉はあっても物がなければ､全ては憶測の世界に沈む。　さらに､言葉も物も､その眼前の現実を言い表すのではなくて､単に仮置きされている場合はどうだろう。　日本庭園における､仮山とか仮山水とかは､まさにその手のやっかいな代物なのである。それは単にこころを写し､観想すべきとして用意されている世界のものである。現前にある物や､出典の明確な言葉ではないのだ。須彌山もまた､そんな言葉や物である。　人々は（ここでは黒頭たちを指す。都市外にいる茶髪や金髪の連中のことではない)小高い基礎の上に構築された､堅固な人工世界に住んでいた。それは大概が海や大河に面した入り江の近くにあって､周辺には麦畑や森林が広がっていた。港には巨大な貿易船がひしめき､有り余る物資が取り引きされて､人々の暮らし向きは豊かであった。　　都市の中央にはジッグラトが聳え立ち､その先端には光り輝く目が据えられて､都市を照らし出すだけでなく､遠く水平線の彼方の船からも見つけられるようになっていた。この手の世界は､これらの都市の主人たちにとって神殿そのものでもあり､神々の家､e-din（家-光輝く神々)と呼ばれた。またe-kurと呼ばれることもあった。クルとは国のことでもある。　時代はぐっと後になるが､ハッティの象形文字だと､このクルは､仮置きされた山の形として表現される。クルグンマのムタリ王などという表現が出てくる。　　この仮置きされた山の形が､やがて人々を仲介する神々の力であり､宇宙観であり､そして魂の郷里を表現する山として､観想され､言い表されるものになっていったのではあるまいか。これらは全て､根拠の無い憶測である。山と､国と､そしてそれらを運ぶ､未だ見ぬ何かが繋がれば､この憶測は成り立つように思うのだが。　山は､ご神体を言う。しかも鎮座する自然のものではなくて､すさまじい力で移動する人工の何かを指して仮に言うのである。大海を越え、場合によっては星と星の距離をも越えて。背が高くて大輪のサオトメ

2006年02月14日

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日本庭園文化史のお勉強10－１

室町末期は､細川氏が権勢を振るう１４９３年から１５７３年までとしている。いわゆる下克上と戦国の世である。世間は乱れているのに､禅寺で枯山水が不動の地位を得る文化的には豊かな時代だ。　枯山水というのは平安時代の作庭記にすでに出てくるようだが､池泉庭の中の一部の意匠であった。それが池泉を持たない庭園の主役として登場してきたのである。著者西桂氏は､経済的な問題と新規庭園用の水源確保の困難さをあげている。そして三つ目の理由として禅精神や水墨画の影響､四つ目に書院建築の発達と関係が深いとする吉村功氏の説も紹介している。室町頃から､方丈に対して別に玄関が付随するようになった。そのため砂や砂利が敷かれて儀式の場であった方丈前の庭が､禅の精神と対峙する空間に変わった､というのである。　　龍源院庭園　京都市北区紫野大徳寺町　大徳寺の塔中である。室町様式の方丈に対し､その北庭として平庭式枯山水がある。背後に大徳寺三門の「金毛閣｣を望むので､それと対照させて「龍吟庭｣と命名された。もとは白砂だったらしいが､今は見事なスギゴケの庭である。主景の石組みは塀際にあり､いくつかの石組みで空間を引き締め、また広がりを表現している。坪庭の方は､最近の作らしい。　龍安寺方丈庭園　京都市右京区龍安寺御陵ノ下町　臨済宗妙心寺派､朱山の南麓にある。細川勝元の創建である。境内にある鏡容池を含め､文化財名勝に指定され､方丈庭園の方は国の史跡､特別名勝に指定されているそうである。名高い方丈庭園は､方丈の南側にあり､白砂に１５の石が５群に分かれて配置される。　神仙の島々､雲海に聳える山嶺､虎の児渡し､心字といった､様々の解釈が可能であるそうだ。　実は秀吉が方丈前の枝垂桜を歌に詠んでいるので､この石庭に言及が無いのは不審で､現在の姿になったのは江戸時代初期ではないか､という説もあるようである。石の裏に､小次郎、清次郎といった山水河原者の名があるらしい。　コメント：この二つの庭園を見る限り､間延びした殺風景な空間に見える。石の配置には確かに緊張があるが､豊かな趣味の空間には見えない。小生には西芳寺の変化に富んだ石組みの方がずっといい。 casiope self 親より貧弱かつ遅咲きになった。

2006年02月13日

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日本庭園文化史のお勉強9

　室町中期を南北朝統一の１３９２から戦国時代に入る１４９２までとしている。足利義満の北山文化､義政の東山文化に集約される室町文化の隆盛期と見る。　北山文化の生んだ舎利殿（金閣)､禅僧により中国からもたらされた水墨画の影響が出始め､東山殿を中心とする文化が生んだ観音堂（銀閣)､詫び茶の発展､生け花や絵画の興隆。文化人の多くが､直接庭に関わりを持つ時代だったことが紹介されている。鹿苑寺（金閣寺)庭園　京都市北区金閣寺町　義満が､西園寺氏から譲り受け、西芳寺を手本に改装したものという。　「池泉は鏡湖池と称し､（当時存在した)様々の楼閣の姿を鏡のように写していた。｣蓬莱島の中央護岸の三尊式石組､鶴島､亀島､畠山石､赤松石など､石組みが高く評価されている。金閣北方にある滝門瀑という水落石を傾斜させた形式も名作と言われているらしい。その北側には､ちょっと離れてもう一つの池､安民沢というのがある。鏡湖池は現在より南側にもっと広かったらしい。「寝殿造り庭園の様相を色濃く残した､日本庭園屈指の名園と言える｣と､著者は述べている。慈照寺（銀閣寺)庭園　京都市左京区銀閣寺町　義政の山荘､東山殿を､その没後に寺としたものである。現在の寺は慶長２０年頃の修築だという。金閣は寝殿造りだが､観音堂は書院造りで､簡素､銀箔の跡などはないらしい。　「庭園は､観音堂を中心に､東に月待山を背景にした池泉回遊式庭園である。｣当時､泉石の名手と言われた､山水河原者（せんずいかわらもの)の善阿弥の子の小四郎､孫の又四郎等が､作庭にかかわったという。上部に枯れ山水庭園､下部に池泉庭園のある二重構造である。池泉の中島は白鶴島､滝の名は洗月泉､枯れ山水の井泉石組は相君泉（そくんせん)､別名お茶の井とも呼ばれるらしい。そして､「庭園意匠として本歌と言える､銀閣寺形手水鉢や､銀閣寺垣｣がある。常栄寺庭園　山口市宮野　大内氏ゆかりの寺で､本堂の北側に庭園がある。作庭は雪舟等揚。明から帰国して後の作だという。文献として､闢雲志､陰徳太平記､風土注進案､などがあげられている。本堂の目の前に枯山水､その先に複雑な護岸と入り江を持つ大きい池泉と小さな島､右手奥の谷に滝石組。ここには昔は落水していたらしい。著者は雪舟の水墨画に見られる山水画風の池泉回遊式庭園だという。保国寺庭園　愛媛県西条市中野　臨済宗東福寺派の寺である。作庭時期には諸説あるらしいが､著者は室町中期と見る。本堂の西南部に本庭のある､池泉鑑賞式庭園だと言う。　多数の伊予青石を配置し､大き目の亀島､「滝石組は枯滝の二段落とし､中国の山水風景を思わせる｣という。　打ち捨てられていた苗を100円で購入してきたパフィオ。たった1年で咲いたが、畸形だった。初花にはよくあること。ウイルスではないだろう。来年に期待。

2006年02月12日

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すばる

　夜空に三つ星とすばるを探したが､片鱗すら見つけられなかった。そしてもう何十年も見ていないことを思い出した。　すばるというのは太古の黒頭たちの祭祀にある神々の１柱である。この神の名がメジャ－となったことで､ヨ－ロッパのシュメ－ル学者たちは､黒頭たちの残存文化の所在を確認できたのだった。　今日の私たちにとって､すばると言ったら､まず”レガシイ”とか”れお－ね”とかいった４ｗｄの車種が具体化して浮かんでくるのではないだろうか。　小生の場合はまず星座､次に小さなてんとう虫､そして最後にFF1Gスポ－ツである。　てんとう虫は､宇宙物理学者だった兄貴の友人である歴史の先生が乗っていた。地面にひっつくような車高と、渋滞中の隙間を縫って動き回れる機動性のある車であった。フォルクスワ－ゲンのビ－トルというより､古いルノ－を一回りも二回りも小さくしたような､愛嬌のある車だった。いくらでもそこらに走り回っていたが､今残っている動けるやつは､きっと目がとびでるほど高いだろう。　FF1Gスポ－ツの方は､過去にも書いたが､今でも時々夢に出てくる。但し､あんなのに乗って通勤などお断りである。エンジンをかけるのに一苦労だし､ギヤチェンジもややこしい。そういえば､昔の車はどれもチョ－クをひっぱってアクセル操作をしないとかからなかった。今乗っているやつなんぞ､スタ－タ－キ－だけで､あっさりかかる。　ギアを落とす時だけではない。２速から３速や４速に入れるのに､間でいちいち空ふかしを入れないと入らないのだった。ゴキン、ブオン､ゴキン､といった按配である。　これに乗って､濁流の流れる谷川のような山道を走っている夢を時々見る。湖を渡っている夢さえ見る。エンコした車列に波しぶきをかけ､スバルFF1Gモ－タ－ボ－トだとはしゃぎながら､ロ－ギアに入れたまま､水に浸かった甲府の郊外を駆け抜けた記憶がある。　遠い記憶は変容し､失われていく。そしてシンボルだけが継承される。　我々の持つ神々は偶像だが､シンボルではない。スバルもまた神ではなく､言葉として伝承され､夢の変容を構成するメタファ－となったのである。　鳳凰堂は、浄土庭園の世界を継承する。

2006年02月11日

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こころの正体についての憶見

　こころの正体とは､virtualiter（仮想現実)ではないのか。　対象を規定し､可逆的にインタラクテイヴにその対象を操作しながら認識するとき､感官で受容する自己認識と､その対象を身体の延長として認識する意識の分裂というものが必ず起こる。言わば主意識と副次意識のようなものが生じる。　一般には､こういった出来事が問題にされることは少ないのだが､遠隔操作や､臨場感などを人工的に操作するバ－チャルリアリティ技術においては､この現象が注目される。この技術が､意識分裂の違和感を助長するので､この違和感をもってバ－チャル体験と呼ばれることも多いようである。　自己が属する本来の世界と違う､仮想の世界における自己のリアルな体験としてである。　これは､普段私たちが自分のこころとして感じている､そのものとは違うのだろうか。普段の私たちのこころというものも､実は､この主感覚と副次感覚の乖離が引き起こす何かの反省的意識を､その違和感のことを言うのではないのだろうか。　こころという代物が､身体と全く没交渉の何かであると言い切れるなら､この疑問的な仮説は間違っているだろう。　しかし､こころは身体があってのこころである。こころを有する者には必ず身体があるし､身体のない者にはこころはない。延長されたものであろうが､生身の肉体を持った身体ではなくて､機械仕掛けのデスプレイの背後の空間に仮置きされた身体であろうが､そのとき､それは私の身体であり､私のこころそのものである。ゲ－ム上のス－パ－マリオは､単にゲ－ム上の配管工というキャラクタ－であるだけでなく､同時に私の身体である。　これを考えると､リアリティとして捉えたこころの正体は､virtualiterそのものであるように感じてしまう。仮置きされた本質として捉えられ､多様な実質の衝撃を伴い､主意識､副次意識に分裂したバ－チャル体験､つまり仮想現実そのものなのではあるまいかと。＃４　龍文500文　いちばん安いタイプの500文　但し確かこれもコレイヴォセ－ル品。

2006年02月10日

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こころは､仮物である

　対象化し､あるいは仮置きして認識できるものは､常に､「物｣である。およそ経験可能な全ての出来事は形ある「もの｣であって､空想や理念ではない。不意にひらめくアイデアではないのである。　　空想や理念、あるいは倫理やシステムといったソフト的なものは､記述され体系化されて仮にモノ化し､継承される。しかし､それ自体は決して形のある「物｣ではない。あえて言うなら､バ－チャルな形を持った「仮物」なのである。　それは形を得て､人に「物｣として認識されるのではなく､形造りの仲介者として､「物｣の形を形成するクラスとして､形化することに携わる何か（仮物)なのである。　なぜ､このようなつまらない､くだくだしい区別をしたのかというと､「こころ｣の置かれた特殊な立場を説明したかったのである。こころは延長された身体であるがゆえに､形のない､かつ物でない､単なるソフト的な有り様のものではない､ということが言いたかったのである。「こころ｣は､バ－チャルな形を持った「仮物｣なのである。心の作用は､表象といった言い方で捉えられることが多いようだが､余りに現象の上っ面を表現しているようで､必ずしも同意できない。延長された身体という「仮物」とみなすことで､私たちはこころを､より具体的に対象化して観察できるように思う。　庭は､私の身体外に存在する延長された身体としてのこころである。独特の波長や波形という形を持つ春のウグイスの鳴き声も､私の延長された身体が「仮物｣化するこころである。サ－バ－上に置かれた出来の悪い私のｈｔｍｌ文書も､やはり私のこころである。　しかし具体的な物としての形を持たない諸々､抽象的な経営理念や､哲学思想といったものは､決して人のこころではない。物化されて本となった「Sein und Zeit｣は､ハイデガ－先生のこころである。しかし「実存思想」はこころではない。思想や、哲学や､倫理道徳といったソフト的な諸々は､理屈であり､アルゴリズムであり､方程式である。それらは継承可能だが､身体化される形を持たないから､姿かたちを持つ「こころ｣ではないのである。　ここで述べているのは､プログラムとその実行結果の関係を言っているように見えるかもしれない。そうではない。代置されたアルゴリズムの読み取れる形と､仲介者としてふるまうアルゴリズムの「見えない形｣のことを言っている。　プログラムのアルゴリズムが持つ仲介の力は､人智の成し遂げた輝かしい技術であるが､それはこころを持たないのである。身体としての形を持たないからだ。記号論理そのもので成り立ったノウハウの集積であり､自らは決して本来の（仲介者としての)姿かたちを見せることはない。デスプレイ上のビジョンとして､具体的な物や形を仲介はするが､それらはいつも仮の姿形である。あたかも､こころの振る舞いのように､である。

2006年02月09日

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対象認識について

　「われわれは対象についてこういってよい。それは一つの単なる超越論的なイデ－であると。｣これは人類の持つ哲学山脈の最高峰の一つ､カント書の一節である。超越論的という部分は先験的と訳されることも多い。　高みに目がくらんで攀じ登れないのはこの年になっても相変わらずだが､少しずつ自分勝手な解釈で､長ったらしいその山を目指しているのも確かだろう。（長ったらしいというのは､自分でカント書の原文を開いていただいたら､誰でもわかること。)　勝手な解釈をすると､対象というのは､私のこころという枠だ､と言っているのである。私と没交渉にそこにある何かではなくて､またその全てが現実論ではなくて､何か空虚な超越理念だと言っている。ア･プリオリに持ち出された（あるいは投げ企てられた)理念なのである。　そこには当然､この対象が把握されるべき目的や､実質の衝撃や､媒介､契機といったものが隠れているはずである。しかしそれらのリアルあるいはバ－チャルな有象無象の中で､純粋理性が関わる対象認識という事柄だけを､仮置きされた延長身体として客観視し批判するなら､こうなる､ということなのである。　対象は､「超越論的なイデ－｣であるがゆえに､「拡張された（場合によっては代置された)身体｣だと考えてよい。選び出された対象は､すでにそれが選び出された目的の外にあるが､身体として､心的な何かの影響下にある。あんよひも付きなのである。その影響を外そうと思うなら､数値化するか記号化することで､つまり代置することで達成される。かくして対象は､こころという枠を外れて定義され､一人歩きできるのである。　但し､この定義済み対象には､もはや人のこころは宿っていない。それが定義された、つまり対象として把握された当初の目的や､実質の衝撃や､媒介､契機は､代置の過程で打ち捨てられてしまったのである。私たちが言葉を選んだときに､何か多くのものが捨てられてしまうようにである。　それでは対象を定義し､把握しようとするさいに､それらを捨ててしまわないようにするにはどうすればよいのか。　対象を選び出し､定義するとき､それを記号や数値に代置化せず､単に仮置きすればよいのではあるまいか。自然の流れのエネルギ－に抗して人造の堤を造るのではなく､自然の力を包摂する媒介としての堤を考える。それが古来の日本文化であった。科学技術の行う文明的な（評価の加わる)対象の定義に対し､全く異なったアプロ－チが検討できそうに思うのである。但し（役に立つ)かどうかは別物であるが。　言葉が生まれたとき､同時に詞や詩も生まれた。それは対象化し､代置する作業で失われる事々の修復に使われたのであると考えるべきではないのだろうか。（より複雑な伝達や効果的な主張のために文学は生まれた､という説が主流でありつづけるのだろうが)

2006年02月08日

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こころ３

　それでは､このこころをクラス化するもの。つまりこころの形を媒介するものは何だろう。　それは､これまで現象学の主要なテ－マだった想像力なのだろうか､それとも､より初源的な物として対象化され､カントによって仮に提示されてきた構想力なのだろうか。　意外に感じてしまうのだが､ここで身体をクラス化する力というのは身体内部の力ではなくて外的な力であるような気がする。つまり想像力とか構想力とかいったものではなくて､むしろ個人個人の身体の外にある、文化であるように思うのである。身体内部の時間的なものや質料的なものではなくて､身体の時間を越えてより初源的な時間のなかに置かれる人工の形（仮置きされた外部身体の見本型枠)であるように感じるのだ。　私たちのシステム化された社会組織やシステムそのものを動かしているのは確かに文明の力だが､このシステムもまた仮置きされた幻想であるにすぎない。それで私たちのこころが媒介されているわけではない。　私たちのこころを突き動かしているのは物質のシステムの夢ではなくて､単に文化の力である。家庭での日々も､学校での日々も､会社での日々も､この文化の学習で成り立ち､文化の受容と継承で成り立っている。　システムはノウハウ、あるいは設計図という技術知識でしか継承されないが､文化は､文化の形という､より初源的かつ強力に､直接身体に影響を及ぼす媒介として継承されるのであるように思う。日本切手の　#1 過去の日本の数学では、48文＋48文＝100文？

2006年02月07日

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こころ２

（そこに私のこころは､かように明晰判明である。一点の曇りもないし､分裂も無い。)などと言う人がいたら､彼は嘘つきか超人である。つまり避けて通るべき､警戒すべき危険人物だということである。放蕩貴族のデカルトでさえ､明晰判明なエゴの存在を疑い得ないと主張するのに､どれだけ控えめな表現をしていることか。　こころといのは､さきにこころ１で述べたような見方で考えると､延長された身体という､様様な文化の形を形成することが出来るクラスであり､そのクラスを形成する、より基礎的なクラス（媒介)でもある。（と仮に考えることが出来る)　つまり､やろうと思えば合目的なものとして対象化可能だということである。言葉を変えるなら､科学技術で操作可能なものでありうるということになる。身体であれば､それがたとえ仮想の身体であっても､対象化できるのは必然なのであるからだ。　但し、間違ってはいけないのは､「かようなものでありうる｣ということである。それが全てかどうかは不明だし､そんなことをやっていいのかどうかというのも別の問題である。そもそも､それで副産物として何がほかに起こるのかもわからない。想定外の逮捕劇も起こってくる。　現に､システム化して人のこころを操作するのは簡単だ。これまでに行われてきた様様な人心操作も､かならず身体を道具にして行われてきた。臨床心理学における箱庭療法なども､外的身体である箱庭を使って自らのこころの分裂を把握させ､整理させて､いわば自らのこころの修復を訓練する一種のシュミレ－ション､こころの操作技術なのであろう。写真はペニ－ブラック、切手の世界の＃１　

2006年02月06日

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こころ１

　こころは永遠不滅の魂の存在ではない。それどころか､単なる存在者でもない。それはバ－チャルなものとして､身体に宿る。およそ身体を持つ全ての生き物は心を持つと考えたほうがよい。　直接的な身体の感覚とズレを持ちながら､拡張された身体をも生き物は心として感じる。（幽霊などは､この拡張された方の身体しかない?)　身体というのは､経験的な事柄によって容易に拡張されるのである。こころは､拡張されたその身体の主観的認識だと､感受性の方とズレた認識だと言っていいのかもしれない。　身に付けている衣服も､乗っている車も､場合によっては住んでいる家さえも､身体である。そして更にその拡張された領域に､庭という不可解な身体（心)も形成される。　およそあらゆる文化様式として認めうるものを形として秘めている代物は､人間が自分の生身の身体の外部に造り出した仮置きの身体､つまり､こころだと言って良いような気がする。こころの表象､つまり本体のこころが造り出した経験的表象の方をばかり考えていたら､こころの本体は見えてこない。表象など考えなくても､こころはそこにあるではないか。こころは表象されたのではない。拡張され､仮置きされた身体なのである。それを表象というリアリティとして対象化して考えているだけなのである。むしろ仮置きしてみれば､そのことが見えてくるはずだ。　現前化と遠隔物とに分裂した外的身体としてのこころ､それがバ－チャルというものの正体であるように思えることは何度も確かめてきた。バ－チャルに直面している者は､言わば､この分裂した自己を直接覗き込んでいるわけだ。バ－チャルが､現前化における現実というものに開けられたどでかい風穴であるように思うのは当然の事情だろう。　赤毛のアンの島、プリンスエドワ－ド島

2006年02月05日

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未だ知らない物語

　最近リニュ－アルされた３ＤＣＧきのこの部屋は､あこがれのＣＧサイトである。こんな世界を自分でも作ってみたいと、何度も挑戦してみたが､素人には無駄な努力だということがわかった。３ＤＣＧソフトの操作技術だけでなく､デッサン力や遠近法の視点の使い方､テクスチャ－の選び方などに､隠されたプロ級の技術が必要である。　その技術を基礎で支えているのが､実はＣＧ世界の物語性だ。明らかに､この世界にはテ－マがある。それを読み解くつもりで､気が付いたことをスケッチしてみた。それは未だ知らない物語の構想である。　　まず、この世界の名前が知りたい。　ここは殖民星なのだろうか､それとも登場人物もまた､異世界土着の住人なのだろうか。　登場する女王らしき人物は､どうやら二人いる。しかし常に孤独である。都市や､その住人たちとは隔絶されている。あるいは都市の人々は自分たちのバ－チャル世界にトリップしていて､すでに都市生活を営むものたちではないのかもしれない。　女王だけが二人。神像化された過去の女王も二人。この神像が出てくる水と光を使った室内庭園の装飾の数々は、すばらしいの一語に尽きる。　男性は居ないのでは？と思える。　アマゾンのような､いつまでも若い女王が交代で目覚めて見守る世界。　複数の王の伝承は､たとえば有名な尚武国家スパルタのように､歴史上でも存在した。戦乱の時には､国内を治め､戦争に出る､二人の王が必要となる。　この世界の女王は､未知の技術で再生された完全体で､なおかつエスパ－能力も持つのだろうか。剣と聖杯を操るものは､容易に龍も乗りこなす。但し､技術の進歩で､今はすべて機械だ。　岩だらけの景観とは裏腹に､水は多い。　この世界の湿度と気温は高くて､菌糸類の繁茂する世界のようだ。キノコを中心に､大気に浮遊する巨大な電気クラゲにも似た生物や､蛇頸龍にも似た水生生物に親しんだ独特の文化。それは城砦のデザインの基調となって､フラクタルに､この世界を構成している。　光合成を行う植物相は寂しげである。鉢植えの並んだ部屋は見たように思うが、植物の咲き乱れる庭園は見たことが無い。太陽は、いくつあるのだろうか。月はいくつあるのだろうか。　大気の組成と電気エネルギ－を交換しながら巨大化する浮遊生物は､都市そのもののデザインの原型となった。天敵と言えば､海中から跳躍するシ－サ－ベントしか居ないのではないだろうか。そういえば、へんてこなドラゴンも居たか。　都市の巨大さと人工度の高さに比較して､大地の天然の度合いが高すぎる。　つまり､これらの都市において､いわゆる都市生活は営まれていないのだろう。かなりの人口を有すると思われるが､かれらの肉体はどこへいったのか。　この都市にあるのは、かれらの眠る肉体のみで､かれらの精神は星の彼方にあるのではないだろうか。仮想の肉体を得て､銀河中の他の星々で、あるいは他の世界で活動しているのではあるまいか。この古い星は､言わば過去の肉体のベッドタウン、あるいはすでにモニュメントにすぎないのだろうか。　しかし､そんな秩序ある墓所のような世界にも､時折外部から犯罪者や未知の生物が訪れる。調和は､墓守にも似た女王の活躍で護られる。どことなくセ－ラ－ム－ンのような女王であるが。　この世界の屋外庭園を見てみたいものである。いずれ作者にお願いしてみよう。

2006年02月04日

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日本庭園文化史のお勉強８

　室町時代初期を､著者である西桂先生は夢窓疎石と禅の庭と題する。室町時代は庭園文化史の黄金時代で､これを三つに分けるべき事情がおありのようである。禅の日本化をすすめて国師と崇められるとともに､煙霞（庭園)の癖ありと言われたという夢窓疎石（１２７５～１３５１)の影が、ここでも主人であるかのごとく出てくる。特に西芳寺は､以後の庭園作りの規範となった､と述べておられる。大飢饉のさいの貧民救済に､庭園造りの労役が名目として使われたようである。　また晩年､臨川家訓の中で､「三会院に假山水を構ず｣､という一節が出てくるらしい。仮山というのは先に出てきた須彌山を表象する築山のことだが､ここで枯山水のごとき表現も出てくるわけである。それまでの儀式的空間意匠から､水墨画的・象徴的意匠としての庭園が造られるようになった､と見ているようである。　西芳寺庭園（京都市京区松尾神ケ谷町)　俗に苔寺と呼ばれる､再興に関わった夢窓疎石以降は､臨済系となった寺である。　「庭園は､平地部の池泉庭園と､山裾の斜面を利用した枯山水庭園の二段構成になっている。｣国師が入った頃には､原型は出来上がっていただろうという。　庭園は池泉回遊式で、黄金池と称される。枯山水の方は洪隠山の石組みと称され､ここは穢土寺として､屋外禅道場でもあったようである。　天龍寺庭園（京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町)　桂川北の天龍寺は､足利尊氏建立、後醍醐天皇の菩提を弔う寺だったようだ。寺院建立を説いたのは､やはり夢窓国師。元との貿易による収益のつぎ込まれた大寺院であったという。現在の亀山･嵐山渡月橋などの一帯も含まれていたらしい。　遠く湧泉から低湿地を経て､龍門瀑形式の滝石組､滝口､手前の石橋､それから曹源池と称する園池へと至る。池中立石も､その線上にある。池の右手には小さな中島。著者は北宋山水画風という表現をしている。喜望峰　cape of good hope 訪問少ない切手の館、いずれ閉鎖予定なので。

2006年02月03日

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システム

日本人は機械仕掛けのからくりにはめっぽう強いが､システムにはからっきし弱い。　小生も例外ではない。普通以上のシステム音痴（差別用語として使っているわけではありません)である。（機械の方も駄目だが。)これは日本人が合目的思考､つまり科学技術的な思考に弱いのと関係がありそうである。　機械仕掛けが、すでにシステムだと思っている人があるようだ。だが､システムというのはハ－ドなからくりではなくてソフトなのである。実体のある物ではなくて､空想上の系統図にすぎない。それも､目的が見据えられた包摂組織体系なのである。　システムに強い種族の典型がユナイテッドステ－ツの連中であろう。異なる価値観を持つ人々をシステムで絡めとり､共通の目的を与えて歯車化する。システムというのは､そのための設計図､つまり文明の形なのである。これを変えられる主人公は歯車ではない。設計者の方である。　日本には､この文明の形に該当する言葉が無い。つまりくだくだしく説明する以外には､システムを短く正しく訳せる言葉がないのだ。アイデンチチイのようにである。　これをあえて短い言葉で表現するなら､「体系｣とか「組織｣よりはむしろ「科学技術｣であるような気がする。つまり､よりよく発展すべきものとして組みなおされ､日夜内容が変化していくのがシステムなのである。だのに､日本人の多くは､それを変化しない､組みあがった文化的な形で､お上より授かった系統図として､役割と義務と責任を担う構成員として捉えてしまっているのである。システムに取り込まれている組織内部の者が､システムを改良しようという無謀なことを始めるし､外部からこれを見守っているシステム管理者が常に不在だ。　ウインドウズのシステムは､実は欠陥だらけで､日夜改良に継ぐ改良が重ねられている。システムというのは､もともとそういうものなのである。社会環境が変われば､体系も変化しなければならないし､目指す目的さえ微妙にずれてくる。完璧なシステムなどありえないし､あったらむしろおかしいのである。　ところが日本人は､いつでも完璧なシステムを要求する。だから嘘つき国民だと言われるのである。同質の文化を共有して､根回しと人脈で物事に対処してきた国民性は､異質の文化､異質の環境と出会った時に､システムの不備という欠陥を露呈する。自らがもともとシステム化されていないのに､システムをまとめられるはずがないのである。（これは自分に言い聞かせているのである)　明治初期の指導者たちには､システム思考の出来る人が多かったに違いない。　ねこの額温室昨年の同時期の状況。ほとんど一緒。

2006年02月02日

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日本庭園文化史のお勉強７

　武者の世と禅僧の活躍で捉えられた時代を､１１９２～１３３８としている。　貴族や一部権力者の作る寝殿造り風の浄土庭園に対し､より実用的で小規模な武士の住宅､そして禅僧の活躍が目立つ時代のようである。臨在の中国僧蘭渓道隆､同じ臨在の夢窓疎石などが紹介される。　永保寺庭園（岐阜県多治見市虎渓山町)　１３１３夢窓疎石が創建。庭は､もともとあった可能性もあるらしい。　臥龍池の東に出島､対岸から反橋、無際橋を設け､観音堂が建つ。堂の裏手は断崖で､梵音厳（ぼんのんがん)と呼ばれる。滝が落ちている。風向明媚な中に､浄土的な雰囲気が漂う。　称名寺庭園（神奈川県横浜市金沢区)　東西北を丘陵に囲まれた地を選んで造営されたという。称名寺絵図並結界記というのが残っていて､当時の姿がわかる。敷地の南半分を覆うかのような園池､中島と北南を横断する橋､東南の護岸の複雑そうな構造物などが見える。北側の橋が平橋で､南側の橋は反橋のようである。洲浜は白砂と青石が敷かれていたようである。建物は三方を囲んで配置されていたようだ。　恵林寺（えりんじ)庭園（山梨県塩山市小屋敷)　武田信玄の菩提寺である。　やはり夢窓疎石ゆかりの寺で､庭園にも関わっているようである。　本堂から北に園池を眺める形のようだが､著者は「下部に池泉を穿ち､西部が池泉､東部に流れを持つ､地割の複雑な池泉回遊式庭園である｣と紹介している。中央に中島､その左向こうに沢飛び石が見え、その先には滝石組みと洞窟石組み。この築山上部に組まれた五石の石組みは､須弥山式石組みと言われているそうである。スケッチ部分を見る限り６０ｍ程度の幅で規模は小さいようだが､印象的な庭である。眺める庭、というのが顔を覗かせているような気がするのだが。　南禅院庭園（京都市左京区南禅寺福地町)　変遷を重ねた苑地のようだが､１７０３年に現在の形となったもののようである。地割や雰囲気は､西芳寺や天龍寺と類似しているという。曹源池と呼ばれる園池は山裾の立地と湧水を利用し､南側から鑑賞する形式だという。ここにも夢窓疎石の影が出てくる。　ひょうたん池のくびれを橋が渡り､どちらの池にも複数の島がある。いちばん大きな島は蓬莱島と呼ばれ､石組みがあり､滝口の石組みも持つ。その彼方は東山の景観が控えている。コメント：禅僧が庭造りをしたことで、浄土庭園は新たな境域へと形を変えたのだろう。小乗的なこころの形が、権力誇示や、意思疎通の仲介、大衆の教化救済といった事柄とは全く異なる、新地平を開いたのだ。それは観想の地平である。人間の営みが作り出す身体外部のこころは、主張表現されるものから観想されるものとなったのであるように思う。　なぜかしんどくて本日ダウン。考えはまとまらず、本も読めず、１日中部屋でカメムシと格闘していた。

2006年02月01日

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