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2006年05月の記事

全30件 (30件中 1-30件目)

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日本庭園文化への疑問２１

　須彌山というえたいのしれない仮山が、日本文化の核であると先に述べた。また、これの理解が、日本庭園という卓越した文化の理解につながるとも述べたように思う。更に、箱庭という独特の形式や、形にのみこだわる日本庭園の基礎に、植物育成場といったガ－デンの意味での庭園概念は場違いであることも、薄々であるが、わかってきた。そもそも世界最高だった江戸期の園芸文化と、今日のガ－デニング流行文化に、接点はほんの僅かしかないこともである。　　実は一昨日、第１９節と２０節にあたる部分を書いた。日本庭園文化の根幹を成すと思える須彌山の正体にほぼ思い至って、これを短絡的に仮説として纏めてしまった。これは自分の疑問への直截で安易な自己回答である。そして公表する段となって、誤解が怖くなってきた。　自分ではそれでわかったつもりでも、一般的でないオリジナルな思惟を、人に伝達するのは難しい。　基礎知識が全くない人には。あまりにも壮大で何のことか理解に苦しむだろうし、その荒唐無稽さに、あんた病気だよと言われそうで、その誤解回避が難しい。専門家は、学んできた過去の知識とハナから違うのでハナから無視して、言葉先やこちらの意見の目的だけをうがって見るだろうから気にしない。だが、素人にまるっきり理解されないのでは公表するのも無意味と考えるようになった。　そこで結論は先延ばしにし、この問題を仮説披露として論じるにあたっての基礎知識として必要となる、いくつかの概念や常識をくどくどと批評し、検討整理しておきたい。　課題はいくつもある。ざっと列挙してみよう。　文化、庭、形、地図、暦、歴史、言語、種族　およそ庭園論とは関わりもなさそうな領域が出てくる。　庭園とは眼前の寺の庭とか、公園にある物質的形態以外の何者でもなく、言語や種族や哲学的な理屈っぽい諸々とは無縁だと考えている人には、どう説明すればいいのか戸惑う。ただ、真っ先に次のことは言えるだろう。　庭園、特に日本庭園は、日本文化の総代表のような存在であることは明言できる。これは過去の多くの先人も述べていることである。ただ、そこで言う「文化」という言葉に問題があるのだ。　これは「カルチャ－」ではありえない、というのが小生の主張である。そこいらへんから、じっくりと掘り起こしていってみたい。どことなくわが国のシランと洋種の色。これは属間交配？

2006年05月31日

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日本庭園文化への疑問1８

　池、泉、須彌山。　極論すると、日本庭園を構成する形の意匠はこの三つである。それ以外は添え物であって主人公ではない。植物の刈り込みや生け垣や、蹲踞や燈篭や飛び石は、借景と同様の付属品なのである。　特に新しい日本風の意匠においては、水や建物さえ付属品である。　仮山を据え、庭を新たに営むのだという自覚の前に、池や泉もまた、仮山の一部と化してしまったかのごとくである。　そもそも、なぜ山というのだろう。これは山の不動の形のことを言っているのか。　そうではない。日本人のこころの神話では、山も国土も動くものである。神話は海の向こうから、一つの島を、寄ってたかって手繰り寄せることさえやってのけるではないか。　そんな日本人のこころの形を意匠化するのに、現実の山の概念は必要ない。　山というのはむしろ国土のこと、こころの住家のこと、あるいは、はるばると幾世代も時を経て流れてきた旅程のことかもしれない。実際に、山は山車として旅をすることが運命付けられている代物なのである。祭りの山車は、必ず旅をする。　国土もまた仮もの、山は旅の輸送を司る未知の力。そんな神話的イメージをおぼろげに重ねてみたら、何か見えてきはしないだろうか。膠着語を持つ１００余部族の黒頭の民の、遠い過去の栄光と悲惨な旅の歴史が、である。芍薬が咲いた。最近出会い系業者サイトの書き込みが続いているが、あまりにも書き込みが少ないので、こんな広告でも・・・・山の賑わい？

2006年05月30日

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日本庭園文化への疑問1７

　方形池の文化が池泉として庭園に残らなかった理由の推測は簡単である。　百済王の祭祀を受け継ぎ、その血筋も王権をも受け継いでおりながら（これは陛下が自ら論評もされたのだが）、源平以降の天皇家はことごとく源氏系、つまり新羅系なのだ。百済系の権力者たちは、三種の神器とともに水没して消えてしまった。須彌山の奥義もまた、失われてしまった。　百済系の貴族たちが護り継いでいた庭園での沐浴の風習は、北方文化を色濃く受け継いだ新羅系の人々には馴染めなかったのだろう。そもそも沐浴の場としての庭園のあり方すら、伝承の中から完全に消えた。そう考えていいのではないだろうか。　但し形のいくばくかは残った。洲浜や池の底に敷き詰められた底石という意匠は、なぜ底石が必要なのか理由のないままに、かなり後々まで残ったのである。　それでは新羅系の庭園意匠である独特の池底の構造物は、どうして失われてしまったのか。そもそもあれは何なのか。　池は海とも呼ばれることがあるが、必ず池泉が基本であることを思い起こしてみたい。　新羅独特の池底の構造物は、この池が泉であることを思い起こさせるためのものではないだろうか。滝口を思わせるレンガ積みの構造物、それを受ける便器の形をした滝壷、その先にあるもっと丸い受け口。　これらは湧水噴出口を人工的に形成して、勢いのある湧水で池の底を掘ってしまわないように据えられたものであろうが、まだ何か忘れられた用途があったのかもしれない。あるいは用途や技巧とは別に、単に形を表現する代物だったのかもしれない。　あれが失われたのは、新羅系の貴族たちもやがて、新羅系であることを放棄したためだろう。多部族が群れる日本国の経営には、百済の王権や新羅の王権主張は障害となる。更に白村江の戦いの後の実質的支配者が、唐や新羅の将軍であったことも大きいかもしれない。但し権力者たちは唐や新羅へは帰らず、日本人となっていったのである。　彼らは国民統合の見本となる、卓越した文化の形を作り出す必要があった。　中国風の地割りで池泉が作られたが、それは庭園の核とはなりえなかった。核はやはり太古から受け継がれてきた須彌山であるべきだった。但しその奥義はすでに失われ、伝承もなかった。だからその核は、いつでも仮の築山、つまり仮山（かさん）なのである。　池の地割りや機能が中国風になってしまったので、併せて泉の噴出口も、隠れた池の底から出て、仮山のふもとに引っ越すこととなった。　この筋書きは安易に過ぎるのだろうか。もっと深い別の意味が、その言葉には隠されていると考えるべきなのだろうか。ベゴニア　コラリナ・ド・ルツェルナ

2006年05月29日

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日本庭園文化への疑問1６

　この疑問が持っている問題は、やはり伝統や文化の定義にも抵触してくる問題である。　もともとカルチャ－という意味での文化理解、文化の定義には異議があるのだが、こころの形としての文化、文化としての庭、を考えているうちに、わずかながら鮮明となってきた考え方がある。　それは思想の形や、形の思想といったものが、現実問題として現前するのではないかという思いつきである。文化的伝承という形で、つまり庭園として、耕される農業ノウハウの技術的伝承という文化理解とは没交渉に、あるのではないか。形の思想、思想の形が、ごく普遍的なものとして、太古の昔からあるのではないか、という疑問である。　これは言い換えると、代置される言葉や記号による技術伝達、情報伝達とは違う、まったく別の、しかももっと強力に人のこころに働きかける普遍的な伝達方法があるのではないか、それが文化なのではないのか、という考え方である。　日本の庭園文化で伝達される独特の形の思想は、言うまでもなく文化そのものである。これは耕作や、人間の技術ノウハウとは何ら接点を持たず、対象としての自然とも接点を持たない。　むしろ庭園というのは、人の身体外部に仮置きされた身体、別の言い方をすると、人のこころの形である。だから人のこころが取る形や思想も、表現されているはずであると考えるのは当然だろう。実際に西洋庭園文化を研究するさいには、必ず社会的背景や流行思想が反映されているとして検討される。特に作庭者や施主の思想が、文化の形の背景を成していると考える。　同じ研究方法は、文化そのものである日本庭園には、全く当てはまらないのではないだろうか。　というのも、日本庭園が持つ独特の形の思想、思想の形としての文化においては、文化の定義自体が「カルチャ－」ではありえないからだ。それはむしろ「庭園」なのである。　ここに西洋的な意味での技術的意図は皆無であるし、思想的にも、アナロジ－的な思想は、まるで皆無だと思われるからである。　日本では、伝統的に教わるのは技ではなくて形の方である。技術は親方から教わるものではなく盗むもの。つまり自らの意思で個々人が、自分で見出すものなのである。日本人は寄せ植えが好き。出会い系も好き？

2006年05月28日

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日本庭園文化への疑問1５

　自然を手なづけ、植物を育成する場といった性格を持った庭園であるガ－デンが形成するボックス空間と、日本庭園の持つ箱庭的性格は、全く基礎が違うものであるように感じる。　西洋の箱庭は、自然の力を人間の領域に呼び込み、自由に操るための魔術的な領域であろう。植物はそこでペット化され、人間の領域で仕立てなおされて隣人となる。　日本庭園の方では、自然の力や生き物を操つろうとするような、そんな意思は皆無である。　日本庭園において、植物の刈り込みや季節の効果的な演出などの操作によって、薄々見えかけている意図がある。庭園化への意図であるが、その意図は、自然とはなんらの接点も持っていないことを物語っている。時の流れさえ無視しようと計っているのだ。　そもそも日本庭園においては、刈り込みや整形された樹木を、生きた植物体として見ていない。　水がなくても滝や流れは形成できるし、あらゆる生命活動がなくても、海洋や仮山は実現できる。四季折々の豊かな自然が育んだ、伝統美の日本庭園。そういった、これまでの常套句があるのだが、この右へ習えのナレ－ション的評価には、全くの疑問を感じざるを得ないと思うのである。　今年はオンシジュ－ムをことごとく木付けにした。吉と出るか凶となるか・・・

2006年05月27日

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日本庭園文化への疑問1４

　詳しくは知らないが、夢窓疎石のかかわったとされる西芳寺には４０種類以上のコケ類が繁茂しているそうである。別名コケ寺。　渋い色のコケと日陰、水面の濁りが調和して、独特の幽玄な雰囲気を作り出している。いや、あらゆる鋭角的な俊敏さ、トゲトゲしさを覆い隠して、虚仮にしてしまった空しさすら感じさせる。　この庭園に流れる時間は独特であるが、同じ手の時間は、近在のどの寺社庭園でも感じられるものである。　それは人間臭い現世の欲望や興味とは程遠く、かといって浄土を願う切実な祈りも感じられない。そもそも、枯れた池泉や、流れを模した砂利の陰が引きずり出す感性というのはどういう性格のものなのだろう。　日常から遊離し、喜怒哀楽や経済活動からも遊離し、かといって過去の切実な物語の数々からも身を離した独特の感性の時間。それが日本庭園の意匠として形式化されている諸々の形の影となっている。人々はこれを幽玄という。　これを禅思想、あるいは浄土思想と、単純に言い切ってしまえば簡単かもしれないが、庭園の形が語っているのは、決してそんな抹香臭いものではないし、機知に溢れたものでもない。　庭園は、文学のように、厳密な概念や正確な理念、切実な感情など伝えはしない。そもそも、仮置きは代置ではないのだ。　庭園が伝えるものは、代置された思想ではなく、単に仮置きされたこころの形なのである。　明確で、鋭角的な形ではない。むしろうずくまり、丸く虚仮にされて空しささえ感じられるような独特の形である。　これはメタファ－の世界、変容物語の神話的世界とも、ちょっと違う。　もっと幽玄で捉えようがなく、かといって、全貌を箱庭としてさらけ出すことが出来るようなこころの世界。自然との関係や、人間同士の関係などが、そこでは全く無意味となって一期一会の出会いを再現するしかないような、そんな種族的な意味でのこころの世界なのである。　やっとデンドロの一部を外へ出した。

2006年05月26日

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日本庭園文化への疑問1３

　個々人の怨念や趣味や思想が、この文化においては全く問題になっていない。確かにアニミズム的な思想は個々の人が持っているのだろうが、そんな個々人の自然への畏怖や帰依や賛美の感情などは、日本庭園という文化の前には一切が無視される。それどころか、日本庭園が持つその文化の形は、背景にどんな思想があるのか、と問うようなアプロ－チをも、一切拒絶する類いの「エネルゲイア」であるように感じる。形を持たないフォ－スの類いではない。日本庭園の持つ独特の文化は、「形としての力」なのだ。　　耽美的なものやロマンチ－クな思想、あるいは信仰の個人的緊張やその精神的な表明が、日本庭園という形式文化においては全く無意味であると考えている。　ここで大切なのはこころの形であり、内容とか真実の類いではないのだ。　仮山という仮置きされた形、盆に盛られた箱庭の形成。　身体外部に仮に配置されて形作られたこころの形が、この文化のテ－マなのだ。だから生きている植物以上に、枯れ木も石ころも重要なテ－マとなる。そのテ－マというのは、形を相手に仮置きされることで出現する、一種の呪術、真言、念仏の類いのものなのだ。思想や、信仰や、真実といったものではなく、むしろ単なる「仮置き形式」だと思いたい。　それとも、この思い込みもまた的外れだろうか。　しかし縄文の昔から、列島人だけに受け継がれてきた独特の形式的文化が確かにあるのだ。　環状列石、石棒、縄文風の石積み、そして巖倉。　これら石が奏でる装飾的リフレインは、その思想的背景を失ったまま、弥生人に、そして日本人に受け継がれてきた。　それがどんな思想であるのか、私ども日本人には表現できない。そんなものは失われて久しく、あるいは、もともとないからだ。しかし同時に、それらは私どもの心の奥底に刻み込まれた、明確極まりない力としての形なのだ。　その総代が、今日では日本庭園である。　最も日本的な形であり、文字通り日本文化そのものである。そしてあらゆる日本的な文化の基礎となっている代物なのである。　仮山（かさん）。オリジナルテ－マを追求するとアクセスは下がるが、当分、このテ－マは続きます。写真はカラマツ草、確か梅花カラマツ。

2006年05月25日

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日本庭園文化への疑問1２

最近目にした、伝統的庭園で使われている植物に、次のものを追加したい。　シャクナゲ、ツワブキ、ササ、モウソウチク、アジサイ、ガクアジサイ、チガヤ（正法寺）、枯れ木、シュウメイギク（善峰寺）　いずれの寺でも、植物たちはフラクタルな形に刈り込まれて、その庭の全体的な形態に調和しきっている。　この盆景としての寺社庭園に、どこか呪術的な息吹を感じてしまうことはないだろうか。そのほとんどが寺社仏閣と一体化しているためかも知れないが、伝統的な庭園のどこに身を置いても、どこかゾクッと来る精神性が感じられる。外国風に言うなら、スピリッチュアルな何かが感じられるのである。というより、これを意図して、全体が構成されているのだ。　庭という仮山を仕立てる文化には、私どものこころ、種族的な精神性といったものが、具体的な形として凝縮され、実現されているはずなのだ。　アニミズムという原始的とされている思想を手がかりに、この独特の精神性を解明しようとしてきたのが欧米の文化人類学者や思想研究家たちだ。あるいはもっと踏み込んで、神道や仏教の個々の教派に直接学び、その教えから、日本庭園の背景にある、日本文化、その精神世界というものを推し量ろうとしてきた。　伝統的な日本庭園を前にすると、そんな小ざかしい試みは全て無駄な努力のような気がする。ことごとく的がずれているのだと。　こころの形を、共通の話題あるいは体験としていじくっているとんでもない文化に対して、その文化が持つ精神的な背景を問うても、無駄な気がするのである。そんなものは、もともと何にもありはしない、空無だと明言し、それを表現している文化だからだ。　二人静がやっと出てきた。花穂がたった一人のもいるけど。

2006年05月24日

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日本庭園文化への疑問11

　個々の珍しい石が、山に見立てられて中心に配置される。そんな単純なものではないのだ。珍しい石、例えば太湖石の見事な景色や、それらが組み合わさって醸し出す、独特の神仙風景が目的というわけでもない。空しさを積み重ねたような、黄石の忍従の意志が紡がれた物語性が期待されているわけでもない。　中国庭園には、明らかに木石を使って性愛を表現しようとするような、仙界へのエモ－ショナル化された目的と、珍奇なものを集めて愛でるコレクターの心情が読み取れる。つまり極めて世俗的、かつ人間的なのである。　日本庭園には逆に、叙情的あるいは叙事詩的な意味での、情緒のかけらもない。　また世間ではよく言われるのだが、四季折々の風情を庭の空間に表現して･･･というのも、本当かなと、首を傾げたくなる。　四季折々の自然の風物を愛でたり、そのための余裕の空間が形成されていたりするわけではないからである。現代の庭園はそうかも知れないが、伝統的な日本庭園に、そんな表現の美術的意図や自然礼賛のテ－マは見て取れない。むしろ日本庭園は素朴な自然をとことん刈り込んで整形し、自然にあるまじき配置や植栽をして捻じ曲げ、広大な空間を、日当たりが悪く見通しの悪い、湿っぽい路地裏にしてしまうではないか。　散り敷かれたヤブツバキが作る緊張の美的シインがあっても、日本庭園の主題は、その「永遠の美」あるいは「瞬間の美」ではないのだ。むしろ時の移ろいのはかなさや、こころの置かれた緊張の状況を振り返る、求道の場でしかないように感じる。耽美的なものや個人的な意志表現、ロマンチ－クな思想などが忍び込む余裕の空間は、遊びの空間であるはずなのに、まるで皆無なのだと。箱庭の中の寄せ植え箱庭。

2006年05月23日

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日本庭園文化への疑問10

　万葉をはじめとする古来の歌や物語、随想、日記の多くに、あれほど草本への思い入れが出てくるのに、庭での扱いは素っ気無い。その時代の人のこころの形であるべき庭の方に植物たちへの深い思い入れが感じられないのはどうしてだろう。　この疑問への回答が、たぶん、日本庭園文化の真相を語り出すことになるような気がする。　短絡的に、かつ性急に回答を急ぐ前に、もっとほかの疑問も見ていこう。たとえば、築山が、なぜ仮山（かさん）なのか。　イギリスにおけるピクチャレスクの庭なんぞでは、実際のスケ－ルで風景を作ってしまう。丘も小川も、場合によっては山さえ作る。　それに対し、いかに広大な規模と意図を持った庭であっても、日本庭園で築かれる築山は、常に仮山である。また、広大な池泉や砂利の敷かれた低い平面が、海と称されることはあっても、仮海と呼ばれることはない。これも不思議なのだが、実際に日本庭園を設計するとき、まず池泉の地割りから始めるだろうから、池が庭園の中心概念かというと、これが違うのだ。　日本庭園において、池泉もまた脇役である。日本庭園文化とは、池を掘る文化や石を飾る文化ではなく、仮山を据え付ける文化である。そのための池泉なのである。そう言っても過言ではないのではないかと思い始めた。　現実には、石組みや築山によって仮山の文化理念は再現される。石だけでなく、そこに刈り込まれた植物の形が動員されることもあるのだろう。そしてこの仮山の文化とは、言うまでもなく須彌山を庭の領域の核に置こうという、すでに真相が失われた文化である。木の上に庭が仮置きされた、寄せ植え？

2006年05月22日

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日本庭園文化への疑問９

コケ類は、小さな植物体としての形はあるにせよ、その集合としては固定した形を持たないものの代表である。これが庭において主張するのは、独自の形であるより、むしろ隙間を埋めるものである。主役たちの諸々の形をなぞり、覆うものとしてである。　こころの形を組み据えて、仮置きされた領域に忍び込み、そのとげとげしさを柔らかく包み隠して増殖するものたち。彼らはやはり侵入者であって、意図的に導入されたものではないのではあるまいか。わが国にコケ庭は多いが、それがもともとコケ庭であったのかどうか、極めて疑問である。　そもそも、苔はなんでコケというのだろう。当て字をすると、「虚仮」。　土台の上に草生して虚仮となす。厳密に言うと草本とは違うのだろうが、文字通り草本の代表として、コケが考えられる。　土台の石組みを覆い尽くして、それを「虚仮」にしてしまう。庭本来の人間的意図とは全く違った自然の力が、かいまみえている。日本庭園では全く顧慮されない類いの力である。　草本が、日本庭園で主役の座を占めることがなかった事情が薄々わかるだろう。植物というのは「虚仮」の類として考えられているのだ。諸々の文学にあれほど濃厚に出てくる植物たちではあるが、日本庭園の形を提示する文化において、草本の立場は儚い。洲浜にも堤にも、護岸にも、本来、草本の座は無いのである。ちょっと遅いけど。色使いがきれい。

2006年05月21日

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日本庭園文化への疑問8

　ところで、日本庭園に草本が使われにくいという理由は何だろう。　草本が使われにくいというのは、それが形として捉えにくいものであるという理由もあるだろう。　仮置きされた庭という領域の隙間に、四季の変異はなはだしい草本は馴染まない。永年性の錯覚を保つことができるコケ類や、もともと瞬間の時を表現する目的で導入されたのだろうキキョウやショウブの類が、その高貴な色で特に好まれ、かろうじて庭の片隅に座を占めたというのが真相ではないだろうか。　庭石を覆うコケ類については、もっと別の憶測も可能である。もともとは、敷き詰められる砂利石の代わりに、緑のじゅうたんとして意図的に導入されたのかもしれないし、湿気が多いので偶然に仕上がった景観なのかも知れない。スギゴケの利用が多いのは、それが作り出す景観が、やはり極小の森林を思わせるからだろうし、じゅうたんに作っても綺麗だからだろう。　まさに苔むすという表現で、私どもは膨大な時間の経過を表現する。このコケが、植物体としての趣味は全く顧慮されることはないにしても、そのような時の隙間を埋める、あるいは覆って朽ちさせるなにかとして意図され、導入されていると考えるべきだろうか。　峻厳で無骨な石組みの形を和らげ、風化の時間を担う時間的な何かとしてである。リビングストンデ－ジ－のじゅうたん。

2006年05月20日

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犯人見つけたらぶっ殺す

　ロボット相手の被害モウソウ、病気だと言われて、自分でもそんな気がして来た。人間様の病気で、おつきの機械が簡単に潰れるという、奇妙な時代が来たのだ。　断っておくが、小生のコンピュ－タ－いじりはメインラム８キロバイトの時代からで、数十年のキャリアがある。ザイログ社のｚ８０という８ビットの石が全盛の時代には、ちょこちょこ勉強もしていた。　しかし最近のシステムは難しいばっかりで、わからない部分が多すぎる。わからない病暦も、すでに長い　パソコンといのは、biosもosもsoftも、借りて使っているシステムだから、わからなくていいのだ、という意見もあるだろう。この「借りて」という部分が問題なのだ。自分の（パ－ソナルな）機能のほとんどを、借り物のロボットの集積で賄っている。　小生が常に騒ぎ立て、注意を喚起したいと考えているのはこの部分なのだ。　自己判断や、意思表示までが、借り物たちによって伺い決裁も無しに決められていく。疑問を感じたら即、精神病院行きというわけである。（閉鎖病棟というのは、それほど居心地が悪い場所ではないが）、昔のｓｆではよく出てきた。最近のアメリカ映画でも、よく見るパタ－ンである。　読めもしない横文字で書かれた長ったらしい契約書と、「目の不自由なハンコ」（差別用語回避!）に等しい左クリック。これと同様のお人よしたちが結んだ契約の積み重ねが、当のお人よしたちを奴隷にし、個々人の命だけでなく種族の将来すら奪ってきた。そのことを問題にしたいのである。　ロボットたちの手を借りる、コンピュ－タ－上の些細なクリックの積み重ねが、種族の命運すら奪いかねない、恐ろしい問題ですぞ、ということが言いたいわけではない。　人々のノ－テンキに付け込んで、無料サ－ビスだと言い張りながら、陰でどんな策略がめぐらされているかわかりませんぞ、という、些細で無責任な不安の概念こそが、伝えたい当の問題である。構造計算のチェック機構さえ、この世界には未だ無い。　小生の機械は、昨夜再び、今度はｃｄ－ｒがガチャガチャと音たてて暴走し、ネスケが再び、ワ－ムウイルスの危険があるからアップデ－トせいやと警告した。こうなると、不安を通り越して、アドレナリンが分泌され、むしろ楽しい。　どいつやねん、犯人は。見つけたらぶっ殺したるで!　最近遠ざかっているが、土佐弁で言うなら、おんしゃらあ殺されたいがかや!

2006年05月19日

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日本庭園文化史のお勉強１５

西洋文明と伝統文化　明治以降の日本庭園をひっくるめて、著者はそう総括する。特に植治こと小川治兵衛の仕事を高く評価している。彼の手がけた作品として、無隣庵、平安神宮、丸山公園、碧雲荘など多くを上げる。　昭和になっても、作庭家重森三玲という人がいるようである。代表作として、東福寺、瑞峰院などがあがっている。　靖国神社庭園　東京都千代田区九段　本殿奥の池泉庭園で、明治１１年に作られたそうであるが、作者不明。整備されなおしたのは平成になってからのようである。巨大な神池を囲むように、園路と中島、築山、滝、二棟の建物がある。樹林に囲まれ、名石を多数用いた本格的な庭園である。　対龍山荘庭園　京都市左京区南禅寺福地町　植治の代表的作品。東山山麓の風光明媚な地に囲まれて、明治３８年に完成した。市田弥一郎氏別邸として造営されたという。横に細長い別邸の正面に茶室が張り出し、前面が露地となって蹲踞が据えられている。しかしそこからは庭の三方を遠くまでことごとく見渡せるようになっているようである。左右の広間からもそれぞれ前面の庭が変化を見せる。左方には池泉と中島、対岸には水車小屋もある。右手には池泉に連なる流れが遠く伸びて園路が続き、彼方には十三の塔が聳える。　流れ蹲踞というのは、植治独特の手法らしい。本当は、こんなカラフルなのが好み。

2006年05月18日

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日本庭園文化史のお勉強14－3

弥勒寺庭園　兵庫県姫路市夢前町　ここは性空上人、花山上皇ゆかりの谷間の奥の台地にある。西桂氏は作庭については、六角形石灯篭や蹲踞の年号から、江戸時代末期としている。書院からの座観が中心の池泉鑑賞式である。中心となるのは書院から見て左手に位置する大滝。現在枯れてしまっているようであるが、ゴロタ石敷き、池泉、そして石橋と来て、最後に手前の蹲踞に至る。その奥の方にある二箇所の遠山石、春日燈篭も、中心石として景観に奥行きを添えているようである。そしていたるところにうずくまるような丸い刈り込み。　石垣氏庭園　沖縄県石垣市新川　戦火を逃れ、生き残った数少ない庭園であるとされる。石垣家には、首里の作庭家から大浜間切頭職の地位にあった大浜親雲上（オオハマベ－クミ－と読むらしい）にあてた作庭不審書というのが残っているそうである。庭石の記述、手水鉢の寸法、石灯籠の設置場所、守護石、枯山水、庭樹の選別などがある。石垣氏宅には、ほかにも「巣雲園記」「雲渕堂借假山序･假山記」といった庭園書も残っているらしい。　表門から入ると正面にはヒンプンという壁。その壁の裏側には長方形の石造りの水盤に小さな島と植栽を施した「盆山」が飾られる。これは琉球と薩摩にのみ見られる意匠のようだ。　石組みは太古石を組み合わせたような景観の琉球石灰岩で、築山が組まれ、左方に枯れ滝、反石橋（そり）、出島、洞窟石組み、築山へは石段が設けられ、右手には砂岩の蹲踞と、和中折衷である。築地塀、雪隠のコ－ナ－もある。　背後には、防風林を兼ねて、フクギ、ソテツなどが配置されている。　コメント：仮山が再び出てきた。ここに日本庭園文化へのカギがあるのではないだろうか。

2006年05月17日

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ウイルスバスタ－が化けた。

　トレンドマイクロのウイルスバスタ－が化けた。それとも正体を見せたのか?　前回、こいつの扱いで、ウインドウズmeを、fdiskからやり直す必要に迫られた。今回も注意していたのだが、インスト－ルして１週間、さっそく怪しげな動きを見せた。どうやら無料試用期間を過ぎると、こいつは化けるのかも知れない。　最初は、メネスケのメーラーを開いたとき、やはり不審なポ－トが開かれているという報告。前回はこれで、ネスケのメール機能を、二度とウインドウズ上で使えないように自分でうっかり潰してしまったのだった。　今度は前回の轍を踏むわけにはいかないので、指示には反応せず、じっくりと当のポ－トを開いた犯人を探した。そしたら、報告はさっと撤回され、敵は証拠隠滅にかかっているようだった。しかし、犯人はやはりエクスプローラーの機能を使っていることがわかった。そしてさらにログで追求していったら、なんと、当のトレンドマイクロ製のexeファイルが、windowsを手なづけて、内部から許可もされていない特殊なポ－トをこじ開けていたのだ。ファイア－ウオ－ルは、別室のちゃちなｄｈｃｐサ－バ－にも設定してあるが、クライアント内部からこじあけられたのではどうしようもない。　ウイルスバスタ－にはウイルス検査は命じてあったが、アップデ－トはおろか一切の自動起動、通信などは許していない。しかし使用期間が過ぎたことで、こいつは自社に通信する必要を感じたに違いない。ウイルスではないにせよ、似たようなものである。こいつは自社の権益を護るために忍び込んだスパイ野郎なのだ。　早速、ウイルスバスターを全てアンインストールし、他社のスパイ撲滅ソフトで徹底的に調べた。すると当のファイルはアンインスト－ルされていないばかりか、それが使っているｄｌｌの類いも、見事に残っていることがわかった。以前見つけたレジストリ書き換えの部位とも一致するが、今回はそこまではいっていなかったようだ。　まっとうな終了動作をやると、レジストリに書き込まれるのは必定だったので、ここで強制的に電源をぶちきった。　次回の立ち上げではwindowsが文句を言ったが、殴って黙らせ、まず居座ったトレンドマイクロ社のホルダ－内のファイルを強制的に一掃し、テンポラリファイルも、ブックマ－クも全て手動で掃除した。そしたら終了動作も、ふだんの動作も快適になった。アンインスト－ルというのは嘘で、こっそり居残って自動起動していたやつが、過去にもやっぱり居たのだろう。　この会社のウイルス撲滅ソフトは要注意である。安全なのは使用契約期間中だけで、それを過ぎて金を払わないと、使い方では機械を破壊されかねないというわけである。それも無知なユ－ザ－の誤操作を誘導するようなあくどい遣り方で。　

2006年05月16日

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記憶についての幻想

　薄暗い平原から、突然色鮮やかに甦る記憶。再ロ－ドしたその記憶は、鮮明な再体験である。つまり過去が繰り返されるのだ。　記憶が意味深いのは、それが反復だからである。反復されない記憶は色あせた写真のようなものだ。やがて風化して朽ち果てる運命にある。　記憶が風化して朽ち果てないのは、それが何度でも反復して再体験されるからである。　年を重ねて、記憶が曖昧になってきた。それは多分、再ロ－ドして記憶を再体験する機会が減ってきたためだろう。どんな記憶も、いずれ朽ち果てる。テ－プの磁気は３０年と持たないし、ｃｄ－ｒの焼きこみも何十年単位でたぶん、駄目になる。いくら保存年限を長くしても、再ロ－ドして反復しない記憶は、いずれ朽ち果てる運命にある。永遠のものなど、どこにもない。　しかし脳の機能が解明され、記憶がセ－ヴやロ－ドできるようになってきたら、いずれ記憶というのは売り物になるだろう。記憶の商品化である。　多くの貴重な体験はそれ自体が商品化され、人々の記憶の追体験の中で陳腐化し、ありふれた日常のものとなっていくのだろう。　そのとき、個々人の人生というのは、どんな意味を持つのだろうか。やはり、エンタ－テイメントであるにすぎないのだろうか。　相場全般連れ落ちが怖くなって、内需なのにセキスイハウス売却した。早買いの売り急ぎで後悔するは小生の過去の常。きっとこれから暴騰するに違いない。　写真は重たそうなコンテストのバスケット。

2006年05月15日

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日本庭園文化への疑問７

　古典園芸における諸々の珍奇な縮小植物についても、そのように考えたら理解できる部分がありはしないか。　セッコクの変異のコレクションは、あれはペットのコレクションではなくて、むしろオ－ナ－のこころの、いわば趣味的な変異のコレクション、つまり装飾的リフレインの形成なのであると。　生き物をアクセサリ－的な愛玩品として集め育てる、西洋風の趣味ではないのだ。　むしろ趣味家は、じぶんのこころという形の変容と向き合って、コレクションを磨くのである。かっこよく言うなら求道である。　古典園芸もまた、日本庭園の持つ趣味の形と同じ、求道の伝統に立脚しての趣味だったのだと。　形に対するこだわりは、実際に古典園芸の随所で、くどいほど見られる。　その一方で、当の植物をよりカラフルで立派に、見栄えを良くし、豪華に見せようというこだわりは皆無と思える。それは植物体デスプレイに使う鉢や展示法や、配置等については旺盛であるように感じるのだが、園芸の気配りの対象が当の植物の生命が輝かせる変容の方ではなく、それを扱う扱い方の方に向いてしまっているのだ。　わび、さび、いき、という日本的趣味の真髄は、「こころの形」というものを追求する上でのエッセンス練磨であり、いわゆる「美的感性の」エッセンスを取り出すことでもある。　その特殊なエッセンスは、現代の私どもが失って久しいものなのだ

2006年05月14日

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日本庭園文化への疑問６

　その古典園芸に共通する形というのは、素人目にも、存在する。　それは盆景である。マツバランだけでなく、イワヒバも、セッコクも、うちょうらんも岩チドリも、更にカンランなども、実は、盆景である。寄席植えの山野草などは、もっと顕著に盆景である。　とりどりの環境にある植物にあわせて、群生の美や季節の美を表現する時でさえ、実際に気にしているのは植物の生命が持つ変容ではなく、単に盆景的興味である。無数の品種群が育成されてきた里サクラやぼたん桜などでさえ、そうなのである。　盆景的興味とはどういうことか。　盆の上に景色を作ってしまうということ。箱庭も同じ概念である。これは模型とか、地図とかいった、いわばエッセンスを取り出した形での対象再現、再構成と考えていいのだろうか?。　小生は違うと感じている。　盆景的興味というのは、こころのエッセンスの抽出などとは相容れないものだと思う。むしろ常に、こころの全体の形に執着した興味なのではないだろうか。あえていうなら、こころの形の抽出なのである。こころというものが、もともと身体外部に仮置きされた諸々の身体類似的な形なので、その形の全貌を凝縮して取り出し、提示しようとしたのであると考える。　したがって日本庭園が、そこで使われている個々の植物やその生命的営みに何の興味も示していないのは当然なのである。日本庭園は作庭者やオ－ナ－のこころなのであるから、庭の住人の方に自己主張してもらったら困るのである。日本庭園において、庭の植物たちはペットではないのだ。寄せ植えはペットか？

2006年05月13日

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日本庭園文化への疑問５

　つまりこれらの植物たちは、ある共通の目的をもって植えられているように思われる。しかもその目的は、植物体そのものへの興味や、生命の営みに目を向けるものではなく、単に植物体を盆景として眺め、利用するような、未知の目的である。　江戸時代に栄えた趣味として、盆栽や盆景は有名である。それらは大名や大富豪だけでなく、市井の貧しい庶民までが関わって夢中になる大掛かりなものだった。　但しその趣味の多くは今日ではすっかり下火になり、あるいは伝統が失われて、園芸好きの人々でさえ、ちょっと首をかしげるものが多くなってきている。日本庭園における植物の取り扱いについては、そのことを思い出させるものがあるのだ。　たとえばマツバランの収集や、奇形化したマンリョウ、オモトの園芸。　それらは細々と特殊な人々が関わっていたのではなくて、裾野には大勢の人々がいたのである。閉鎖的な団体が、自分たちの利権を主張して取り仕切っていたとしてもである。　今、珍奇なこれらのコレクションをもらったとしても、たぶん扱いに困るだけである。文化の断絶があるのだ。うつむいて寂しげに咲く日本サクラソウのひ弱な姿ばかりを集めて何が楽しいだろう。豪華に咲き誇るプリムラマラコイデスや九輪草の群落、デンチキュラタの踊るような姿やオーリキュラの目立つ色彩感覚が、ずっといいに決まっている。　同じように、奇形化を追求したマンリョウやアサガオの世界も、庶民的文化としては失われつつある。　薄々感じるのは、このような失われつつある園芸文化が見据えていた主題と、日本庭園における植物の扱いは、たぶん接点があるだろうということである。私ども、物好きなだけで自己省察のないヘボ園芸家に、すでに見えなくなっているに違いない接点である。寄せ植えコンテストで気に入ったもの　これは鳥さんがいた。

2006年05月12日

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日本庭園文化への疑問４

　木本類で、まず目立つのは、なぜそうなのかはわからないが松の木である。それも鬱蒼と生い茂る木本来の使い方ではなくて、それ自体がひとつの盆景としてまとまった形に仕上げられているかのような松が目立つ。重厚なカラマツなど皆無である。宇宙儀の縮図として、整形管理のしやすい植物として、明るい木肌を持つ松が選ばれているように感じる。　整形が難しいのであきらめたというか、その枝の秩序ある乱れ方を強調して使われているように感じるのが、紅葉するモミジやカエデの仲間である。秋を彩る主役となるモミジ類は、閑散と開けた庭を、夏は涼しげな緑で覆い、秋は落ち葉となって季節を告げる。そして冬は、鋭い枝先を天に伸ばして、形あるものの姿を見せつける。　しかし、これらの木々は、生命の営みを表現したり、あるいは植物の営みや変容自体に目を向けるために植えられたのでないことは明白である。これらが導入された庭の主題は、季節の移ろいを埋める形であって、生命の営みではない。　マツの次に目立つことの多い、ツツジやサツキ類の小潅木にしても、同様である。　これらの潅木はいずれも丸く刈り込まれ、管理され尽くして配置されています、ということを自主申告している。思いがけずに、思いもよらぬところに根を張ってけなげに生きています、というわけではないのである。特にこの小潅木の扱いで、中国庭園と日本庭園の根本的な違いが出ているように感じる。中国庭園の草木は、同じ神仙界に生立つ生命。日本庭園のそれは管理され尽くした形であって、実は生命の片鱗も見せていない。　使われ方はずっと少ないが、比較的使われているナツツバキやヤブツバキなども、もみじ類と同様の意図をもって導入されたものだろう。開花時期の見事な色彩バランスだけでなく、それらが散り敷かれた時の絵姿まで含めて植え込まれているのだが、この美術的な意図も、実は本当の主題ではないように思う。それは単に、ある目的への技術的配慮にすぎないのだと。　数の多さで忘れさせない、わすれな草？

2006年05月11日

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日本庭園文化への疑問3

　有名な庭園を撮った写真集を頼りに、目立った知っている植物を列挙してみた。　有名な庭園でも、使われている植物の種類は僅かである。　サツキ、ツツジ、ショウブ、花ショウブ、すいれん、ハス、ツゲ、もみじ、カエデ、チガヤ、フジ、ヤブツバキ、マツ、あじさい、キキョウ、スギゴケ、サクラ、シャクナゲ、ツワブキ、ぼたん、夏ツバキ、芙蓉、ヤブコウジ、マンリョウ、タチバナ、マキ、クサソテツ、ソテツ、ハギ、ウメ、ギボウシ　実際にはもっともっとあるのだろうが、ざっと見てこんな程度のものしか見当たらないのだ。これらは季節の隙間を埋めて束の間を輝き散っていく生命の装飾である。もっと多くの変容が野山には見られる。だが、日本庭園の隙間を埋めるものとしてはほとんどの多用な生命の輝きは使われることがなかったのだ。　また、現在の有名な庭園に立ちふさがる巨木は、かっては小さな潅木だったはずである。植物たちも、必ずしも作庭当時のままとは考えにくいのである。後代に付加されたものや、植え替えられたものも多いだろう。更に刈り込み一つにしても、流行というものがある。過去にも同じ形で刈り込まれたとは限らない。それらを割り引いて考えていかねばならない。　木本類は複数本の背景か、単独で隙間を埋めるように使われること多く、潅木類は刈り込みや生け垣として最も多用されている。草本の利用は極めて珍しく、ショウブやシャガやアヤメ、カキツバタ、花ショウブの類いが昔から使われていたかどうかは疑わしく思える。そもそも庭に草本の花を植えることがあったのかどうか極めて疑問である。実際に花は植わっていたとしても、その多くは勝手に入り込んだものではないだろうか。　色鮮やかに、あるいは豪華に咲く花を観賞するための庭園など、日本庭園では想像できない。朝倉氏遺構などでは花壇らしきものも見つかっているようだが、それらは庭園とはまた違った用途をもっていたのだと思われる。鑑賞花、実成り物は、日本庭園とは無縁であると考えるべきではないのだろうか。　たまたま　クサソテツ

2006年05月10日

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日本庭園文化への疑問２

　宇宙儀あるいは世界儀を核心に据え付けた仮想の領域の設定、それが日本庭園の根幹を成している。個人的なデザインや個人的な領域の、装飾的かつリフレイン的な繰り返しがテ－マではない。文化的に共有できる世界観の方が、庭の中心に居座っているのである。　そのくせ、肝心の文化の核心部分が、途切れている。　追求してみたい最大のテ－マは、やはり須彌山。それが理解されないことには、日本庭園は理解されたことにはならないのだろうと思う。おおまかな概要も、基礎理念も理解できないだろう。　しかし、このテ－マは難しそうだ。　実は他にも手がかりはある。先に述べた様々な疑問点である。とっかかれるものから考えていこう。最もとっつき安そうなのが植物の問題。　古来より、日本庭園は多くの植物を取り込み、使っている。但しそれはガ－デンとして植物育成をやっているのではなくて、また植物が作り出す独特の景観が、日本庭園の中心テ－マを担っているというわけでもないようだ。　日本庭園において、明らかに植物は脇役である。しかも、その生命的変容が織り成す存在観を一切振り返らない形で脇役化されているのである。　季節を彩る木々や草花は、確かに多用されている。しかしその用途で主題となっているのは季節の移ろいの方であり、植物が自らを示す生命の謳歌ではない。　これは日本庭園に遊ぶ、人間の方にも当てはまるのではないだろうか。　遊ぶ人々は生命としての人間を謳歌するのではなく、広大な異世界に我を忘れて浄土を夢見、あるいは露地の隙間にささやかな一期一会を集うのである。兼ねてより見知った親しい人々が親交を暖めあう場ではなく、常に生涯で一度きりの出会いだというのである。　植物たちは、もともと仮置きされた存在にすぎないこの庭という領域に隙間を見出して巣くう。その巣くっている領域もまた、時間という隙間にほかならぬことを思い起こさせるために存在しているのではあるまいか。　あれこれ思いを巡らす前に、この植物たちの具体的な使われ方や種類を、まず列挙していってみたい。これは現代の公共施設庭園。意匠も思想もごった煮。

2006年05月09日

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過ぎ去った連休のことなど

　連休が終わって突然に夏日が来た。金がないので遠方へはどこにも遊びにいけず、外へ出たのは近場の美術館と水生植物園めぐりの半日だけだった。あとは近所の知り合いの花農園を尋ねた程度。　美術館では初めて朝鮮白磁の焼き物を体系的に見たが、残念ながら感動がない。ほんとに一級品が揃ってたの?。薄々わかったのは、やはり初っ端の時期のものが最高で、後期になると意匠は凝ってくるがやはり迫力がなくなってくるということ。文化を継承するということは、必ずしも初期のこころを継承するということではないようだ。　植物園では肝心の水生植物はほっぽって、寄せ植えのコンテスト作品を熱心に見て回ってきた。凝った作品やデザイン感覚に優れた作品が多くて、へえ－こういうのも出来るのか、こんなのもあるのか、と、感心するばかり。デザイン感覚ノ－テンキの小生としては、この分野は、まだあこがれるばかりで天上の世界。　知り合いの花苗園からすでに咲いた（推奨できない）苗をたくさん買ってきて、みようみまねで花タワ－を作ったが、さっそく移動させようとして、無様にこかしてしまった。　せっかく花穂を豪華に上げていた花壇の大型カンパニュラをぐちゃぐちゃに潰してしまう。あれこれ手を出してどれもこれも駄目にしてしまう性格丸出しの、連休最終日だった。　それにしてもまだ機械は全復旧に程遠いし、すでにムシ熱い部屋からカメムシたちは去ってくれないし･･･月曜からは慣れない仕事の再開で五月病になりそうだし･･･。株でも暴騰すれば気分が晴れると思うんだが。･･･今のところ快調なのはボロボロの車だけ。ショックアブゾ－バ－を直したら、新車みたいに快調。

2006年05月08日

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日本庭園文化への疑問

日本庭園文化史のお勉強をやってきて、どうしても理由がわからない疑問がいくつか出てきた。代表的なものを列挙してみる。　一つは、例えば天皇家の血筋として百済文化を濃厚に受け継いできたはずの日本に、どうして方形の池が、文化の形として残らなかったかということ。　新羅様式のけったいな（奇異な）構造物を持つ池もまた飛鳥、奈良時代にはあったらしいのだが、その構造物の意味も用途もわからないまま失われてしまった。これもどうしてなのか。　更に日本庭園の築山や石組みの根幹的意匠をなしているらしい須彌山についての知識が、人々の間からのみならず、特殊な学問としても、まるまる失われてしまっていること。　最後に、湿気の多い日本で、庭をその生命力で覆い尽くす植物についての認識が、日本庭園の意匠としてはものの見事に、すっぽりと抜け落ちていること。大小の刈り込みや、垣根、背景としての道具的用途はあるが、生命としての植物を日本庭園は見ていないのである。　最近、昔の鎮守の森が、実は閑散とした雑木の散在する開けた領域であったことを知った。鬱蒼とした巨木に護られた鎮守の森という発想は、実は近代のものなのだと。　江戸の文化を担った武士階級の人々は森に木を植え、豊かな森で豊かな国土を覆い尽くそうとしたのだが、それがもともと日本古来の発想であったのかどうかは疑わしい。庭園の意匠を見る限り、そこには生命としての植物への認識が、ものの片鱗さえも見られないからである。日本庭園は文字通り、構築されたあの世の世界なのであり、極言すれば墓なのだ。　　これらの疑問点を追求していけば、日本文化という、外の世界から逆立ちしたこころの構造が掴めるのだろうか。じっくりと取り組んでいきたいテ－マではある。　某施設ではポピ－が綺麗に咲いていた。これはアイスランドポピ－かな？

2006年05月07日

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windows未だ復旧せず

延々と丸二昼夜近くwindowsシステムをいじってきて、いやになってしまった。何とか動くようにはなったが、以前の快適さとは程遠い。おまけにアプリケ－ション類が次々と自分勝手にアップデ－トを始めてしまうので、何度も何度も立ち上げを繰り返す。ツ－ル類のインスト－ルがほぼ終わった時点で過去に使ったことのあるスパイチェックソフトを見つけたのでこれをインスト－ルし、チェックしたら、なんと、すでに居る!。　ｖｂスクリプトで書かれたちゃちなウイルスと、正体のわからないトロイの木馬が、そろって鎮座しているではないか。ウイルスの方は、あっさり無料ソフトが退治してくれたが、トロイの方が取れない。レジストリに喰らいついているようである。　レジストリはwindows本体の、地域を特定する部分のようで、どうやらツ－ル類のどれか、もしくはブラウザやメ－ラ－のどれかが呼び込んだようである。オマケソフト集のツ－ル類を多数使っているので、そいつかもしれない。これは手作業で該当のレジストリを潰すしかなかった。何か動かないソフトが出てくれば、そいつが仲間である。今怪しいのはエクスプロ－ラ－、もしくはinternat.exe。マイクロソフト社だ。　その後、こいつの仕業かどうかわからないが、デ－タ共有のプロトコ－ルが競合を起こしていることに気がついた。me特有の共有プロトコ－ルに、マイクロソフト特有の共有プロトコ－ル、更にもう一つわけのわかんないやつがある。これも勝手に削除したので、これが原因で再度機械を潰すはめになるかもしれない。　自動起動や常駐のソフト群を一掃し、クラスタの末端までデスクをチェックしてエラ－を撲滅し、ダブルスペ－スの類や電源管理のわけのわかんないデ－モン類を排除し、デスクの掃除を終えて、最後にウイルスチェッカ－をアンインスト－ル。これで二昼夜である。　さっそくｃｄ－ｒを焼いてみたが、６５０メガをデスクアトワンスで焼く間に、大事には至らなかったが、速度エラ－がなんと、１８０回。何が動いているのかわからないが、元の環境には戻っていない。cpuが８００近くあるので致命傷にはならなかったが、最初に始めた頃のcb2の６６では確実に１８０枚のｃｄ－ｒをオシャカにしていただろう。　可能性はいくつもある。　＊まだ検出されていない何かが動いて、外部と通信したがっている。　＊先のレジストリ破壊が、エクスプロ－ラ－の機能の一部を阻害した。　＊チェックに使ったウイルス検出ソフトのどれかが、まだ残ってしまっている。　＊削除したデ－モン類のどれかが、レジストリ上で使うように設定されたままなので、システムが混乱している。　あちこちに、無数に出来ているログを読み解いて、原因を追求できる人は神様に見える。これは今見つけたmoチェックのログだが、こんな具合に、ことごとく英語なのだ。日本語で書いてくれ!。Checking file system on K:The type of the file system is FAT.One of your disks needs to be checked for consistency. Youmay cancel the disk check, but it is strongly recommendedthat you continue.Windows will now check the disk. Volume Serial Number is 8E0A-4E40Windows has checked the file system and found no problem. 228278272 bytes total disk space. 106496 bytes in 2 hidden files. 57344 bytes in 1 files. 228114432 bytes available on disk. 4096 bytes in each allocation unit. 55732 total allocation units on disk. 55692 allocation units available on disk.　もともと二三日で復旧しようというのが、無理な相談なのである。疲れた。　大きいことはいいことだあ。ドンキホ－テも真っ青。

2006年05月06日

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再びwindowsを潰した

　再びwindowsを潰した。今度の犯人は明確だ。ネスケとウイルスバスタ－ズと小生の共同作業である。ファイア－ウオ－ルの設定が競合し、おかしな指示を出すので末端の操作者がクリックすべきところを間違える。そして二度と元には戻らないのである。　新バ－ジョンのアプリへ旧バ－ジョンを後からインスト－ルすることは本当に危険だ。そしてファイア－ウオ－ルの設定も、単一にしないと、とんでもないことが起きる。　事は、もじらサンダ－バ－ド（メ－ル用）がネスケ７の退避デ－タを読み取れないので、やむなくネスケ７をインスト－ルしたことに始まる。これでもじらが破壊され、そのうえネスケ７も、カギのかかった同一ユ－ザ－の古いメ－ルを読めない。　おまけにブラウザは重たいわ、終了儀式は延々とやるわで愛想をつかし、閲覧専用ブラウザとして（楽天などでは書き込めないので）使い慣れたネスケ４･７に戻すことにした。　最初の警告は試用版のバスタ－ズのファイア－ウオ－ルの囁きだった。「へんなポートがひらいてまっせ。よろしおまっか」　よろしいはずはない。あわててポ－トの閉鎖を指示する。これが間違いだった。　ネスケのメ－ラ－は二度と自分のメ－ルサ－バ－に接続できない。そこで自分のメ－ルサ－バ－が、ブラウザのサ－バ－と根本的に違うことを思い出した。ブラウザのサ－バ－を通じて呼び出して、認証して使うものとは異なる。全く別のプロバイダ－と契約してある代物である。（楽天やヤフ－のメ－ルとは、また機能が違うようだ）　アドミニストレ－タ－のログオンでファイア－ウオ－ルの設定をいじり倒したが、結局駄目だった。再度メ－ラ－もバスタ－ズも削除して、インスト－ルしなおしても駄目なのである。レジストリに書き込んでしまったようだ。　知識不足の悲しさ、結局０から、過去の設定にやり直すことにした。　買ってきたのは１万円しないata接続のhddで、容量がなんと２５０ギガ。これの一部をｃドライブに仕立てて、まずredhat9をインスト－ルした。　ところが旧来のｃドライブのフォ－マット中に致命的なエラ－。やはりウイルスの残滓が残っていたのだろうか。これを回避してやりなおしたら、LILOが使えなくなっていた（ブ－ト容量の確保を間違っただけかも）。redhatの起動は、なんとフロッピ－からである。まあ考え方によればこの方が安全なわけで、windows使用中のウイルスでブ－ト領域がやられても、linuxの連れ落ちが防げるかもしれない。LILOを使わないのだから、linuxがやられてもwindowsは使えるはず。　meのインスト－ル初っ端で、dosでは巨大ｈｄｄが扱えないことに気がつく。やむなくmeの自動機能で領域を確保させたら、なぜか容量が足らない。１００ギガちょっとしか認識しない。古いものに拘ることは苦労がかさむものである。scsi認識に再度手間取ったが、それでも本日なんとか一部復旧。むべなるかな。

2006年05月05日

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分裂の問題８

亀裂や乖離は、その周辺のものから押し計れるだけであって、そのものとしては認識できない。主観的視点、客観的視点という、いわば架空のこしらえ物を予定し、それを具体的な物に代置して、距離とか量とかが測れるようになる。　･･･である、というこの存在については、それが主体とか客体といった仮のアンカーを置いた思い込みの表明であるがゆえに、突き詰めて追及すれば形而上学が必要となってくる。しかし、そんなものは、もともと存在しないのである。仮のアンカを打ち込むために用意された主体や客体も、カントがその主著の序文で言う、あんよ紐や贋金の類いにすぎない。ズブエクトウムという贋金、エゴというあんよ紐である。　もともとあるのは、（もしかしたら無いのは)時間的な乖離、あるいは亀裂という名の深遠だけかもしれない。それが口を開いて、「いる」だけなのだ。それが私ども人間の存在「認識｣を構成していることはありうることである。単にメカニズム的なモデルとして言うなら、こんな事態だろう。　自己も世界も、この些細な亀裂が生み出している表象にすぎない。それが意味深く、また憂慮をもって迫ってくるのは、それが時間という亀裂だからである。但し間違ってはいけないのは、この亀裂は些細な個人事の表象ではなくて、もともと大自然のものだということである。表象の一つ一つの中身は些細な個人的なものだが、その事態は人智の果てにある。それを未到来の存在者の存在に押し込めて卑小化してしまうようなことは、私ども人間には許されていないと考える。　一神教徒であることから逃れられない、ハイデガー先生との決別がそこで始まる。子遠先生は、気まぐれのひやかしだったのかな？10：00から、NHKの鄭和の続きを見にゃあ。明の大航海者に感動！

2006年05月03日

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全メールアドレス喪失

夜の仕事が増えたので、毎日１時間はデスプレイの前に座って下手な文章をでっちあげるという、ほとんど中毒のような習慣維持が難しくなってきた。二三日分書き溜めておくという方法で対処しているが、どうしても心情と文章がちぐはぐになる。ブログというのは、その性格上、やはり毎日その都度の対応がいいようだ。　機械がこけたトラブルも、まだ続いている。最近またmeの起動がどことなく怪しいし、メールも復旧していない。　エクスポートしてあったネスケ７のメールデータ類が、モジラサンダーバードでは読み取れないので、再度ネスケ７･１をインストールした。そしたら、今度はモジラサンダーバードが破壊されてしまった。肝心のネスケ付属のメ－ラーは、過去のデータをインポ－トしても、ホルダ－が開かない。退避デ－タはカギがかかっていて、同一人であると認証できなければ開けられないようである。windowsもネスケ７もインスト－ルし直したので、同じアカウントを入れても、もはや同一人だとはみなされないらしい。　つまり、「どこが危機退避用エクスポ－トデ－タやねん。」「どうせ使われヘンのやったら、こんなメ－ラ－の退避機能なんてカスやないか、ボケ!」という具合である。　こんなことなら、ネスケ４･７のままで、テキストデ－タにして外部媒体に保存すべきだった。過去のクラッシュは、それで無難に回避できたのだ。カギのかかるデ－タなどというものは、もとがこけたら全てがオシャカだということである。　ここ数年の、すべてのメ－ルデ－タが、アドレスともども全て雲散霧消である。全てを失ってみると、今更にメ－ルの重宝さがわかる。そんなわけで、知人友人の皆さん、連絡用のアドレス再確保のためだけにも、とりあえずメールください。

2006年05月02日

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変わらないもの

　世の中で、不変のものなど何一つないのではあるまいか。　小生は、人間のこころは時間という認識の亀裂が作り出した穴ぼこだと思っているので、ころころ変わる代表であると考えている。記憶でさえも、いつのまにか変わっている。山河の姿は人間の一生という短期間でさえ変わってしまうし（富士山は今や活火山)、都市の形態など数年で全く別世界になる。科学技術の進歩はめざましいし、過去の技術さえ容易に変わる。芸術作品として評価済みの美術品の意義や解釈さえ変わる。ダビンチコードの流行がいい例である。　もちろん歴史も、天体の常識すら変わるのである。　最近でも、縄文文化や江戸文化の評価が変わってきたし、旧石器遺跡や発掘品の方は信頼が揺らぐという事態も起こっているようだ。極東の近代史に至っては、周辺のアジア諸国と日本で「日本の過去の行動に対する｣認識や評価がまるで異なるし、（｢｣部分が大切)天体では、太陽系で一番遠い惑星が冥王星ではなくなって久しい。（小生の世代は冥王星だと教科書に出ていた)　　この世にもし変わらないものがあるとすれば、それは常識とか真理という名の思い込みである。　もちろん常識とか真理の内容自体は、時とともに移り変わる。しかし思い込みの方は、自分で内容がずれてきていること自体に気づかない。だから永遠不変だという風に「思い込む｣その思い込みは変わらない。これを意志という場合もあるようだが、言い換えるなら「へんこ｣、「いごっそう｣、「頑固｣である。　そして、この思い込みの最右翼が、「存在」である。　ある、ということの意味はめまぐるしく変化しているのだが、それをいちいち認めていたら目が回る。現実のどこかにアンカーを打ち込んで、同じ物がおなじものであることは無意識のうちに確保していくしかない。それが普通の人間である。しかしヘン・カイ･パン（一にして全て)というパルメニデースの言葉も、パン・タ・ライ（万物は流転する)というヘラクレイトスの言葉も、常識とか真理の類いの言葉ではなくて、この思い込みの最右翼についての（思い込みの)言葉なのである。平成の子遠先生とやら、や～い。二度と来ないのかな？。過去にも落款も出してまっせ～。

2006年05月01日

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