嘘つき国民
どうも日本人というのは、やはり嘘つき国民であるらしい。北方4島は日本固有の領土であると主張しながら、ロシア当局の領土侵犯、意図的な殺人罪を、どちらもすんなり認めてしまった。今度のことは、日本人のこの嘘つき傾向を熟知しているロシア人たちが仕組んだ、猟場独占のための小ざかしい陰謀のようだ。 外務省のふがいなさ、邦人が殺されても声も上げないマスコミの報道姿勢も、彼らは先読みしていたのだろう。共犯のようなものだ。 どうも伝統的に、日本人はロシア人の謀略に弱い。アメリカ人の謀略にはもっと弱いのだが、それはアングロサクソンのずるがしこさについていけないだけで、そんな賢さの見えないロシア人のハッタリに対しても、それにあっさり嵌まる、どこか体質的な弱さを感じてしまう。 例えば過去のノモンハンというのは、ソ連が帝国に対して仕組んだ大バクチだった。 満蒙軍、関東軍は見事にこのバクチにはまり、局地戦のつもりで事変に介入して結果的には大敗北となった。ソ連はもともと、帝国とがっぷり四つに組むつもりなどなかったのである。その余裕もなかった。だから逆に最新鋭のほとんど全軍を、この狭い地域に十分事前準備して投入し、大バクチを先に打ったのである。 地上戦の勝利の後、さっと引いて和睦を結ぶ、その手法は鮮やかで、以後関東軍は、びびってしまって、この方面では弱腰一方となった。数の多いソ連空軍が、この局地戦でほとんど壊滅状態になっていたことなど気がつかなかった。そのソ連軍が再侵攻してきた時、かなわぬ敵と知っていた帝国は、あっさりと両手を上げたのである。 ノモンハン以降、関東軍はシベリア侵攻の意図を捨てた。それはモスクワ防衛戦にジューコフの最新鋭軍団が駆り出され、極東軍が空白になった時点でも変わらなかった。前面の仮想敵が居なくなっていることがわかっても、帝国は不可侵条約を破るつもりはなかったのである。完全に、びびっていたのだ。 ソ連は空軍が極東で壊滅状態だったので苦戦を強いられたようだが、ジューコフのT34部隊はモスクワを敵の手に渡さなかった。しかしこの時期に、ちゃちな戦車しか持っていなくても、擲弾筒と火炎瓶を持つ関東軍歩兵が本気で動いていたら、ソ連は背後の広大な工業地域を蹂躙され、崩壊するしかなかったのである。 日本人は根っから平和的な国民で、国民が殺されても声も上げない。それは自分に対して、自分たちに対しても、平気で嘘をつくことができるからである。 外国人は違う。自分や仲間には決して嘘をつかない。かれらは他人や敵を、嘘で騙すだけなのである。