年末にさいし、パラノイア的に世界を憂う
イラク最大の勢力の党首を殺したから、戦争が終わると考えている人は誰も居るまい。殉教は、彼らアラブ人の待ち望むところであるからだ。古代ハッチ風に言うなら、フセインは神となった。 かって帝国に対して仕組まれたような緻密な国家戦略にもとづいてでなく、少数者の利益になる石油利権で起こした戦争は、もとより相手国元首を殺さねば済まないようなものだったのだろう。だが、仕組まれた陰謀の底が浅いだけに、殉教者を作り出してしまった今後の動向が気がかりである。日本は第一次湾岸戦争では、わずかの利権を保護するため中立を守ったので敗戦国扱いにされたが、今回は利権目当てに加害者に加担していることを忘れてはならない。 このところ世界の随所で、わが国の石油権益は先細りになっている。相手国の体制が堅固になってくると、金の力だけではどうしようもないことは、これも歴史が証明している。10%でも分け前に預かれるのは幸運なのだ。だからといって、最強の国家についていったら、それが賄えるという保障もない。 エネルギー戦略が、国家100年を保持するのは確かである。その方向からは、ブッシュは正しいと言えるだろう。但し宗教戦略は国家千年を保持する。ブッシュはアラブ人を敵に回し、マイナス900年を引き当ててしまったのである。 今のままで大国の中国やインドが経済成長を続けると、すぐに世界の石油需要はパンクする。地球温暖化防止などと言っているが、彼らの近代化を留める権利は誰にもない。大気からの二酸化炭素回収技術を早期に実現しなかったら、海面の30m程度の上昇は、もう決まったようなものだ。もともと狭い国土が半分近くになってしまうことも先の時代のことではなくなる。宗教戦争だの言っている前に、国土が沈む。いや、その前に、追い詰めた隣国から噛みつかれるかもしれない。 何度も述べていることだが、米国は北朝鮮には何の権益もない。彼らが北朝鮮を刺激するのは、日本が、というより、帝国の影があるからだ。たとえそこで敗北したからといって、米国は統一ベトナムを怖がってはいない。しかし中国やロシア、そしてインドは怖い。そして今の、しっぽを振る小さな日本やドイツは怖くもなんともないのだが、過去に潰した帝国の影は、今でも怖いのだ。その対策に関しては、石油問題などとは比較にならない、緻密な国家戦略が立てられているはずである。 提言 1:核融合エネルギーの利用を、あらゆる国家プロジェクトに優先して進めるべきである。但し、これは一切の産業とは切り離し、同盟諸国にも秘密裏にしなくてはならない。エネルギーも国土もない国家は先細りして、いずれ消える運命にある。 2:和をもって尊しとなす。祭祀を中心にまとまった古代の文化を今一度掘り返し、世界中に発信すべきである。無駄な戦争を避けるための交渉や妥協の場としての対話は、確かに今の世界の基調だが、和の文化は無い。もったいないや、恐れ多いや、恥や、遠慮は、白人の世界には無い。 漫画文化が世界の若者へ浸透したように、これらの文化も受け入れられる余地はある。いや、過去にそれがなければ、私どもの先祖である倭人を中心とする100余部族の殖民者たちは、狭い国土の中で相互に民族純化の大乱をやって滅びるしかなかった。世界はいまやグローバル化して狭くなり、相互に戦って滅びるか、全く新しい考え方で乗り切るか、その瀬戸際に来ているのである。 3:宗教と科学技術そして思想や新しい工学がもたらすシステム。これらの危機を察知し、統括して有効な対策を説明できる学問を、現代の世界は持っていない。哲学は久しく文献学や記号論理学の洞穴へ入っていって出てこないし、心理学や人間学は、すでに技術工学の様相を呈し、歴史や地理は、自らが文学であることをすら忘れている。その文学は著作利権確保の経営にばかり熱心である。 アカデメイアの学頭たちが、学問ではなく経営にばかり熱心だからだ。自分も日々の暮らし(金のことです)のことしか念頭にない毎日だけに、これの対策は思いつかない。この分野が現代の最大の危機だと思うのだが。 順調すぎるソラマメ。